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もう、麗香の女の先輩感すごい……!😳 亜紀さんの迷いとか「遼と同じことしてる」っていう自責、めちゃくちゃ刺さったよ。それでも今泉さんに会いたい気持ちが止まらないって、感情がリアルで切ない。 麗香の「第一関門突破」とか「ウブな女ほど乱れる」発言、思わずニヤついちゃった笑。でもその奥にちゃんと亜紀を思ってる感じが伝わってきて、いい関係だなって思えた。 二人の会話のテンポが心地よくて、次の展開がますます気になる回でした!
「ん? 何がごめんなさいなのよ。今から蛍の君とデートなんでしょ? 今日はどこへ行くの?」
麗香は唇を綻ばせた。
「どこって……」
「あっ。この前見つけたホテル、内装がすごくお洒落で設備も良かったの。場所、教えてあげよっか?」
急に目を輝かせた麗香は、私の耳元へ顔を寄せ、期待を滲ませた声で囁く。
「ええっ!?……やめてよ。私たち、そんな関係じゃないし……」
――それに、麗香が使ったホテルを勧められてもねぇ……
口をもごつかせながら視線を泳がせる。
今泉さんとホテルって……
そう意識した途端、今泉さんの顔が浮かび、ますます言葉に詰まった。
若い娘でもないのに。
そんなことくらいで動揺してしまう自分が、何だか恥ずかしい。
電車は立ち客の体を大きく揺らし、到着を知らせるアナウンスとともに停車した。
「はぁ? そんな関係じゃないって……。じゃあ、どんな関係なのよ」
麗香は呆れたように私を見つめると、さらに声を潜めて耳打ちした。
「手を繋いだら次はキス。キスをしたら次はエッチ。それが大人の常識でしょう? 初めてのキスのあとも二回デートして、未だにキス止まりなんて信じられないわよ」
「信じられないって言われても……本当なんだもん。それに、そんな雰囲気にならないし……」
呆れ返ったように言い切る親友の背中を遠慮がちに見つめながら、私はそのあとを追うように電車を降りた。
改札口へ向かって流れる人波。
私のもとへ歩み寄った麗香は、再び私に視線を向け、問いの続きを口にした。
「そんな雰囲気にならないって……キスは毎回してるんでしょ?」
「……うん。帰り際に。軽く……ね」
目の前を歩くスーツ姿の男性の背中へ視線を落とし、私はその背にも届かないほど小さな声で答えた。
「帰り際に軽いキスねぇ……。二人は一体どんな話をしてるの? 蛍の君は、本当に亜紀を開花させる気があるのかしら。……うーん。蛍の君の考えが読めないわ」
麗香は眉間にしわを寄せ、不満そうに口を尖らせる。
「今泉さんには、旦那のことを正直に話してる。それだけで、気持ちが少し楽になる気がして……」
「正直にって……旦那の浮気も?」
「……うん。彼は私の話を静かに聞いてくれるの。話しているとね、不思議と心が安らぐ。どんな話をしても、受け止めてもらえる気がするの」
行き交う人波へ目を向けながら、私は今泉さんの穏やかな微笑みを思い浮かべた。
「……そう。なるほどねぇ……」
「……私、自分が分からないの。遼のことで傷ついて、相手の女性に嫌悪感を抱いているのに……こうして自分も別の男性に会いに行く。やってることは、遼と変わらない。
でも――
矛盾してるって頭では分かっているのに、それでも彼に会いたいという気持ちが止まらない。
私、本当はどうしたいんだろう……」
階段を上っていく人たちの背中を見つめながら、込み上げる自責の念に顔を歪めた。
「……そう。良いんじゃない? それで」
麗香は私の横顔から視線を外し、満足そうに柔らかな笑みを浮かべた。
「えっ……」
……それで良いって?
予想もしなかった麗香の答えに驚き、私は思わず親友の顔をまじまじと見つめ返した。
「その迷いや苦しみは、今の亜紀にとって必要な試練なのよ。きっと蛍の君は待ってる。……亜紀の覚悟を。
なるほどねぇ。ただの口の上手いスケベオヤジじゃないってことか。まずは第一関門突破ねっ」
私の困惑をよそに、麗香は意味ありげにふふっと笑った。
「第一関門突破?……なにそれ」
「ほら、私が前に言ったでしょう? 蛍の君が亜紀に相応しい男かどうか、試してみたいって。
さすがは亜紀! 私が直接手を下さなくても、ちゃんと自分で見極めるチャンスを作ってるじゃないのぉ」
相変わらずの麗香節が続く。
私は苦笑いを浮かべたまま、小さく首を傾げた。
「見極めるチャンス……?」
「これから服を脱ぎ捨て、裸になることにおいて、信頼がおける男かどうかを見極めるチャンスよ!」
きっとまた「本当に鈍感なんだから」と呆れているのだろう。
大きなため息をついた麗香は、私の二の腕を肘でつついた。
「これから服を脱ぎ捨てって……もう。すぐ話がそっちの方向へ行くんだからっ」
「亜紀ちゃんたら、ウブねぇ。本当は期待してるくせに。
――だけど。ウブな女ほど、乱れていく姿は男にとってたまらなく刺激的なのよ。蛍の君も運が良いわねぇ」
麗香はくくっと喉を鳴らしながら、改札口にICカードをかざした。
「もうっ、麗香っ」
「分かってるわよ。からかうのはもう終わり。
亜紀はどっち? 私はデパ地下で買い物して帰るけど」
麗香は私の言葉を遮るように、にっこりと笑った。
なにぃ!? やっぱり、からかってたんだっ。
「……バスに乗り換えるから、ロータリー方面」
私は拗ねたように答え、小さくため息をこぼした。