第11話 距離の変化
「やっと見つけた、銀二!」
声をかけながら、寝転んだままの灰色の猫に駆け寄る冬花。
「……」
「……」
すぐそばで足を止めて見下ろす冬花を、無言で見上げる灰色の猫。
見つめ合いながら、冬花はふと思った。
(あ、あれ……銀二、だよね? でも……もしかして、今までのことって全部夢だったんじゃ……)
傍から見れば、猫に話しかけるおかしい女状態であることに気づいたらしい。
そもそも、銀二と入れ替わる前から冬花は愚痴っており、今更そこを気にするのもおかしな話なのだが。
元に戻ってしまった今、あのときのことを証明する手段はないわけで――
「……なんだようっせーなぁ……せっかくいい気分で昼寝してたのによぉ」
「!」
などと冬花が考えていると、若い青年のような、気だるげな声と共に、灰色の猫――銀二はむくりと起き上がった。
(あ……ゆ、夢じゃ、なかった……)************************
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