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わぁー凱人さん好きって言っちゃった⸜(> <⑉))⸝キャッ♡ 瑠璃ちゃんへの想いが溢れていて、思わずニヤけちゃいました💕
るりちゃんに想いを伝えられて良かった。 るりちゃんも好きだよね😊
「ねぇ、るりちゃん」
「はい?」
「もし俺が、新品の靴を履いて犬の糞を踏んだら、残念だと思う?」
「……そうですね。はい」
「え――」
「――せっかくの新品の靴なのに、いきなり汚しちゃったら誰だって残念じゃないですか?」
俺を残念な男だと思うか、を聞いたのだが、るりちゃんは靴を残念に思うかを考えたらしい。
いや、今の聞き方では当然か。
「……そう、だね」
「あ、でも、新品じゃなくても残念ですよね。犬の糞とか踏んじゃったら」
「そうだね」
「靴は洗えばいいですけど、踏んだ時の感触は残るんですよねぇ」
経験者のようだ。
ため息交じりに肩を落とす。
「あと、匂い! あれも――」
ああ、やってしまった。
でも、もう我慢できなかった。
きっとるりちゃんは目をまん丸にして、状況に混乱していると思う。
その姿を想像すると笑えるが、今は彼女の唇の柔らかさに酔いたかった。
逃げられないようにるりちゃんの腰に腕を回し、もう片方の手で肩を抱く。
彼女の身体に力が入るのがわかる。
下唇を食み、吸う。
「……っふ」
ああ、柔らかい……。
もっと味わいたいと舌先で彼女の唇の隙間を探る。
「ふぐっ!」
くぐもった声がるりちゃんの鼻から溢れ、反射的に唇を離してしまった。
るりちゃんは真っ赤な顔で、両手で唇を覆い、目を見開いたまま瞬きも忘れている。
よく見ると、彼女の手が覆っているのは唇だけでなく、鼻もだ。
もしかして、呼吸してない!?
「るりちゃん!? ごめ――」
「――……っ」
ぶんぶんと首を振り、ぎゅっと目を閉じた彼女の瞳から涙の粒が零れ落ちた。
「ごめんね? 嫌だったよね?」
るりちゃんの首を振る勢いが増す。
もう、これ以上は首を痛めるんじゃないかと心配になって両手を伸ばすが、勝手に触れてこれ以上泣かせてはと思うと躊躇した。
「もうしない。ごめん、もうしないから――」
バカだ。
出会ってからの時間なんて関係ないほど俺はるりちゃんを好きになってしまったけれど、彼女にしたら出会って間もない観賞用のイケメンだ。
「――ごめん! ホントにごめん!」
嫌いにならないで――!
俺は顔の前に両手を合わせた。
頭を下げるくらいしかできない。
せっかくいい雰囲気で彼女の誕生日を祝えていたのに、台無しだ。
「違うんです!」
両手に温かなぬくもりを感じ、顔を上げる。
るりちゃんが、やっぱり真っ赤な顔で、涙を滲ませながら、俺の手を握っている。
柔らかい手で、しっかりと。
俺のTシャツを着て、俺のハーフパンツを穿いて、俺の部屋で、俺の手を握っている。
「嫌だったなんて――! そうじゃなくて!」
「るりちゃん……」
こんな状況で我慢できる男がどれほどいるだろう。
「びっくりしただけなんです! だから――」
俺には、無理だ。
さっきだって、考えたり慌てたりと表情をくるくる変えるるりちゃんが可愛すぎて我慢できなかったのに、こんな風に、必死に俺とのキスが嫌じゃなかったなんて言われたら、もうエベレストくらい登れそうなほど調子に乗ってしまう。
「――好きだ」
るりちゃんの唇が小さく震え、パクパク上下に動く。
「好きなんだ、すごく」
きっと、俺の手を握る手に力が入り、痛いくらいだなんて気づいていないだろう。
それほど、俺の告白に動揺している理由を聞くのは怖いが、ここで臆しては男じゃない。
「出会って間もないし、るりちゃんは俺をそんな風に見たことないかもしれないけど、考えてほしいんだ。少なくとも、俺の顔は好きだよね? 性格も好きになってもらえるように頑張るから」
「そんな……」
「キスは嫌じゃなかったんでしょう?」
「えっ!? あ、はい。いえっ――」
「――本当に少しも好きじゃなかったら、嫌だったはずだよね?」
「それは――」
ピクピクと動く彼女の唇ばかり見てしまう。
それに気づいたのか、るりちゃんが俯き、そこでようやく自分が俺の手をしっかりと握っていることに気づいたようだ。
慌てて手を離す。
その手を、今度は俺が握った。
もう、ここまで曝け出しているのだ。
押すしかない。
押しまくるしかない。
「もう一度してもいい?」
「はいっ!?」
「もう一度、キスしていい?」
「ま、待って凱人さ――」
「――好きだよ、るりちゃん」
ダメだと言わなかった。
ヤメテと言わなかった。
それ即ち了承だと、俺の脳が受信した。
「好きだよ」
逃げ腰の彼女の腰を抱き、ついでに膝を立てていた足を伸ばして彼女のお尻の辺りで交差させ、囲い込む。
自分がこんなに強引なことをできる男だとは知らなかった。
それほど、キスしたい。
俺はゆっくりるりちゃんの唇に触れ、じっくり吸い付き、彼女が呼吸困難でギブアップするまで離さなかった。
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