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オホホホホホホーーー!!と、高笑いが部屋に、響き渡った。
「お前達、聞いたかい?華蓮殿は、あの、小さな中庭で、茶会を開くそうじゃ!ホホホ、策が尽きたのか!!」
自身が放った侍女の報告に、耀我《ようが》は、ご機嫌を越えている。
「勝負は、すでに、こちらのもの。さて、勝っただけでは、つまらぬ。皆を圧倒させるほど、派手に設《しつら》えよ!」
──その頃、色白、鼻筋すっきり、切れ長の瞳を持つ、美男の条件満載の宦官が、華蓮の宮を訪れ、頭《こうべ》を垂れていた。
「……でも、何故、後宮に属する宦官《あなた》が、耀我様の事を、私に?」
「はい、下品だからです」
ぶっ、と、側に控えていた三人組が、吹き出した。
宦官は、ちらりと目をやると、何事も無かったように、華蓮へ再び向かった。
「そこまで言わなくとも。あなたの、主《あるじ》筋にあたる方なのですからね」
「私どもは、あくまでも、陛下に仕える身。たまたま、このような体で、後宮へ出入りしているだけの話です」
「と、とにかく、こちらの様子を探っているということね。知らせてくれて、ありがとう」
「いえ、礼には及びません。私共は、丹厳《たんげん》様に、期待している、ただ、それだけの事ですから」
言って、宦官は、華蓮の部屋から出ていった。
「なんだったのでしょうか?」
「あれは、たしか……、秀英《しゅうえい》とかいう、宦官では?」
「相当な、美男でしたわね。いえ、それより、なんで?」
三人組は、顔を見合わせる。
「どうして、丹厳様に、期待を寄せるのですか!!!」
インドクが、鬱陶しげに叫んだ。
「華蓮様!これで、何人目です?!頼んでもないのに、あちらの様子を報告に来る。しかも、口を揃えたように、丹厳様の為って!!」
「まあまあ、インドク、落ち着いて」
「……と、言われますけど、丹厳様を、と、言うなら、ご本人へお伝えすれば良いでしょう!」
「あー、それが、素材集めの為、宮殿を開けているんだよ」
と、聞き慣れた声が、戸口から流れてきた。皆が振り向くと、案の定、斉令《さいれい》が、戸口に体を預ける様にして、佇んでいる。
「このところ、あやつ、の動きが、激しくて、皆の、目に余っていてね、それでだろう。何せ、丹厳殿は、人気者だから」
「はあああーーー?!」
「おや、相変わらず、腹心三人組は、息ぴったり!」
「兄上!」
「おっと、ここにいるのが、あやつに、バレたら」
おお怖っと、身を縮ませ、斉令は、出て行った。
「それで、この所、静かだったのですね?」
「丹厳様が、いらっしゃらなかったから」
「で、なぜ、華蓮様が、伝言係に?」
ほんとほんと、と、三人組は、どこか、不満げだった。
「確かに、なぜ、私?それもだけど、丹厳様って、人気があるのね。だって、相当数の報告受けているわよ?」
「華蓮様、確かに、そうですわね」
「それより、ここを開けているって、戻って来るんでしょうか?」
あーーーー!期日に間に合わなかった!って、事になりそうーーー!!
三人組は、叫びつつ、丹厳の人となりを思い浮かべるのだった。