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さすがちゃっかりな華子👍でも陸さんもイヤイヤな感じは皆無で分かってて甘えさせてるように見える〜😁💕 なんやかんやで家族会員だし立ち位置としては奥さん✨か? くぅ〜,羨ましい🥴
その日の仕事を無事に終えた華子は、五時になると店を出た。
そして真っ直ぐマンションへ向かう。
今日は夕方から陸とスポーツジムへ行く約束をしていた。
華子は真面目に痩せたいと思っている。
あのカフェで働いていたら重森と遭遇する確率はかなり高い。
だから絶対に綺麗になって見返してやろうと思っていた。
実は昨日体重計に乗ってみたら、既に1キロ痩せていた。
カフェで立ったままの労働は意外とカロリーを消費するらしい。
だからあと6キロ減らせばいいのだ。
華子は今日ジムへ入会したら、絶対に痩せるまで諦めないと心に誓う。
マンションへ戻ると既に陸は帰っていた。
「おかえり。コーヒー飲むか?」
「うん、飲みたい」
陸はマグカップにコーヒーを入れて華子に渡す。
華子はソファーに座ってコーヒーを一口飲むと、ホッと息をついた。
「で、今日はどうだった?」
「土曜日だから結構混んだわ」
「土日は平日と客層が違うだろう?」
「うん、そうね」
そんな会話をしながら華子が少し休んだ後、二人はマンションを出た。
「ジムは近いの?」
「ここから歩いて三分だ」
陸はカフェとは反対方向へ歩き始める。
華子は初めて歩く道だったので、キョロキョロしながら陸の後をついて行った。
ジムが入っているビルまではすぐだった。
ジムはビルの二階にあるようだ。ビルの外階段から上がって行くと入口があった。
そこは会員制の富裕層向けのジムのようだ。
昔華子が通っていた一般的なジムとは一味違う。
入るとすぐにフワフワの絨毯が足元を包み、フロントはまるで高級ホテルのようだ。
陸が受付に行くと、男性スタッフが陸に声をかけた。
「陸さんいらっしゃいませ。今日はお連れ様もご一緒ですか?」
「どうも! 実は彼女を入会させたいんだ、手続きを頼むよ」
「ありがとうございます! じゃあ陸さんの家族会員って事にしておきますよ。その方がお得ですし!」
「助かるよ、ありがとう」
二人の会話を聞いていた華子は驚く。そして陸の服を引っ張ると小声で聞いた。
「家族会員って、家族じゃないのにいいの?」
「ああ、大丈夫だ。向こうがそう言ってくれたんだから」
「じゃなくって、あなたがって事よ」
「問題ないよ。家族会員の方が安いしな」
「でっ、でも支払いが…」
「支払いは俺が払ってやるから気にするな。その代わり真剣に痩せろよ! 三日坊主になるなよな」
陸はニヤッと笑うと、スタッフが持って来た書類に記入を始める。
「君の生年月日は?」
「1996年4月24日よ」
「了解」
陸はそう言うとサラサラと書類に記入を続ける。
記入が終わると、書類にスタッフに渡してから声をかけた。
「ちょっとウェアを見せて貰うわ」
「どうぞごゆっくり! 何かあれば呼んで下さい」
スタッフは笑顔で言った。
陸は奥にあるショップへ華子を連れて行く。
本格的なスポーツショップが入っているジムなんて、華子は今まで見た事がなかった。
ショップには、有名ブランドのウェアからシューズ、各種トレーニンググッズが並んでいた。
「どういうのがいいんだ?」
陸に言われた華子は、まずウェアを物色する。とにかくストレッチが効いて洗ってもすぐ乾くような素材がいい。
沢山ある中から一つ一つ丁寧に見ていくと、華子好みの黒とピンクの可愛いらしいウェアを見つけた。
上下セットで揃っている。サイズもぴったりだ。
「これがいいわ」
「オッケー。じゃあ次はシューズだな」
「うん」
華子は素直に頷くと、トレーニングシューズを見ていく。
シューズも黒とピンクの好みのデザインがあったので、スタッフにサイズを告げた。
するとすぐに華子のサイズの在庫を持って来てくれたので華子は履いてみる。
「うん、良さそう…これがいいわ」
「OK。あと他にいる物は?」
陸が華子に聞く。
「とりあえずこれだけあれば大丈夫よ」
「了解。じゃあ会計をしてくるからそこへ座って待ってろ」
陸はそう言うと、華子が選んだ商品を手にして会計カウンターへ向かった。
(もしかしてウェアとシューズも陸が払ってくれるの?)
華子は、ウェアの代金くらいは自分で払うのだろうと思っていたので驚いた。
(全部払ってくれるって言うのなら遠慮なく甘えちゃおう)
華子はちゃっかりそう思うと、ご機嫌な様子でニコニコしていた。
陸は会計を済ませると、商品についているタグを全部外してもらってから戻って来た。
「じゃあ着替えたらトレーニングスタートだ。君は今日初回だから多分パーソナルトレーナーがつくと思うよ。その人に言われ
た通りやればいい。俺は一人でトレーニングしているから、何か困った事があれば言いに来い」
「うん、わかった。じゃあ後でね」
華子は着替えを受け取ってから、陸に手を振りながらロッカールームへ入って行った。