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良かった〜❣️ 1日待った甲斐がありました \(^o^)/ 結果的には楓ちゃんの一樹さんへの気持ちを楓ちゃん自身がはっきり認識する事になって〜👍 一樹さん、楓ちゃんの気持ちを受け取って回復早いだろうなぁ〜❣️早く2人のラブラブみたいですぅ〜💕💕
助かって良かった😭 誰よりも早く楓ちゃんの所に行きたかったはずやのに、 良を庇った一樹さん🥹 男の中の男やわ🩷🩷🩷 1日も早く怪我が治って 楓ちゃんと幸せな時間を❤️🔥❤️🔥❤️🔥
ご無事で何よりでした😭外部抗争も終わったのかな?後は内内の問題があるけれど早々に決着がつくことを祈ります🙏 楓ちゃんが自分の気持ちを伝えられて良かった😊一樹さんも嬉しいよね❣️早く元気にならないとね。
それから三人は、ヤスが運転する車で一樹が運び込まれた病院へ向かった。
「楓、ごめん……お前の事が心配で俺が勝手に中へ入ろうとした瞬間、いきなり銃声がして……とっさに俺を庇ってくれた東条さんが代わりに撃たれてしまったんだ。本当にごめん…許してくれ……」
そこでヤスが良を慰めるように言った。
「あれは仕方ないですよ。だって警察がいるのにまさか撃って来るなんて誰も予想しなかったですから。だからお兄さんのせいじゃないですよ。それに社長は撃たれたくらいじゃ絶対に死にません。あの人は昔から強運の持ち主ですからね」
「でも俺が余計な事さえしなければ……」
そこで楓が小さく息を吐いてから言った。
「お兄ちゃんのせいじゃないわ。一番悪いのは私なの。私さえ捕まらなければこんな事にならなかったのに……」
楓は自分の行動を激しく悔やんでいた。
美香に声をかけられても、そのまま無視して家に帰ればよかったと後悔する。
「それにしても美香が楓さんをおびき出すとは思ってもいませんでした」
「その美香って女は、梅島会の女だったって事ですか?」
「はい。さっき瀬尾さんも言ってましたが、最初からスパイ目的でうちに入ったんだろうって」
「そうですか。いや、まったく怖い世界ですね……」
「はい。ただ今回の件で梅島会は一掃されるでしょうね。警察も威信をかけて執念の捜査をしていましたからね。それに警視庁に睨まれたらもうおしまいです。もしかしたら九州にある梅島会の本部も解体されるかも?」
「そうなればいいですけど」
やがて車は一樹が運び込まれた慶尚大学病院へ着いた。
三人は救急外来を通って一樹がいる病棟へ向かう。担当者の話によると、一樹は今手術中のようだ。
手術室の前に行くと、入口の上には『手術中』の赤ランプが灯っていた。
「撃たれたのは心臓の辺りですよね? 大丈夫かなぁ?」
「大丈夫です。社長は決して死んだりはしません」
「…………」
不安のあまり楓だけが何も言えずにいた。
そして祈るような気持でその赤ランプを見つめ続ける。
(死なないで社長! 絶対に死なないで戻って来て……私を一人にしないで……)
楓は今にも泣きそうな顔で、ただ一心に祈り続けた。
一時間ほど経った頃、赤ランプがフッと消えた。
「…………」
「社長大丈夫かな?」
「手術、成功しているといいけど……」
三人はすぐに立ち上がると手術室の前に行く。
その時横の扉から執刀医が出て来て三人に言った。
「東条一樹さんの付き添いの方ですか?」
「「「はい」」」
「手術は無事成功しました。弾は心臓をかすめるくらいの位置にあり非常に危ない状態でしたが、いやぁ実に彼は運がいい。弾がギリギリで逸れていたので無事に取り出す事が出来ましたし心臓に損傷もありません。まあ傷が治れば以前と同じような生活に戻れますよ」
その瞬間楓が崩れ落ちそうになる。それを兄の良が支えた。
「ああ、あなたが楓さんかな?」
「は、はいっ」
「手術中、彼はあなたの名前を何度も何度も呼んでいましたよ。よほど心配だったんでしょう。麻酔から覚めたら是非声をかけてあげて下さい」
医師がニッコリと微笑んで言ったので、楓は大きく頷いた。
その時一樹が乗ったストレッチャーが手術室から出て来た。
楓は溢れる涙を抑えながら真っ先に駆け寄る。
麻酔がまだ覚めていない一樹は目を閉じて眠っている。
その後一樹はナースステーションの隣にあるICUに運び込まれた。
「楓さん、この病院の面会時刻は本当は8時までなんだけど、今日は特別10時までいていいそうです」
ヤスは楓の為を思い医師に交渉してくれたようだ。
「ありがとうございます。じゃあ私は10時までついていますね」
「目が覚めた時に楓がいたら喜ぶだろうから良かったな」
「うん。あ、お兄ちゃん達は先に帰ってて。私はタクシーで帰るから」
「じゃあ俺、今のうちに何か食べ物と飲み物を買ってきますよ。楓さん、何も食べてないでしょう?」
ヤスは気を利かせコンビニで食べ物を買って来てくれた。
その後ヤスと良は先に病院を出た。
二人が帰った後、楓は椅子を一樹の枕元まで引き寄せて腰を下ろす。
一樹の寝顔は、あんな大事件が起こった事がまるで嘘のようにとても穏やかだった。
聞こえてくるのはナースステーションから聞こえて来る話し声と、一樹に装着された生命維持装置の規則正しい機械音だけだった。それ以外には何も聞こえない。
楓は一樹の穏やかな顔を見守っていると、ふと何かの視線を感じた。
楓が窓の外を見ると、満月にほぼ近い月が眩しい光を放ちながらこちらを見下ろしていた。
(どうか月のパワーで社長が一日も早く回復しますように)
楓は両手を組み月に向かって祈る。
その時一樹が目を覚ました。
「うぅんっっ……楓っ……」
点滴がついていない方の手を一樹が少し持ち上げたので、楓はすかさずその手を握った。
「社長っ、目が覚めましたか?」
「楓か?」
「はい。あぁ良かった……本当に良かった……」
楓はぽろぽろと涙をこぼして泣き始める。
すると一樹がうっすらと目を開けて楓を見た。
「楓は泣き虫だな……」
「だって……だって……社長がいなくなっちゃうかもって不安で……うぅっっ……」
「俺がお前を置いていなくなる訳ないだろう? それより無事だったのか? 梅島に何かされなかったか?」
「大丈夫です。ごめんなさい……私のせいでこんな事に……うぅっっ……ごめんなさい……」
「泣かなくていいから。楓が無事ならそれでいいんだ」
「うぅっっ、ひっく……でもなぜ? なぜ兄の為に飛び込んだの? 撃たれるかもしれないのに……」
「楓のたった一人の家族なんだ。助けるのは当然だろう?」
「でも一歩間違えば社長が死んでいたかもしれないのに……なぜそうまでして?」
「前にも言ったろう? 楓と家族になったらお兄さんも俺の家族になるんだ。だから助けるのは当たり前じゃないか」
楓は一樹の言葉にただただ涙が溢れて止まらない。
しかしこれだけは伝えなくちゃと必死に言葉を口にした。
「でももうあんな危ない真似はしないで……絶対にしないで……お願い……」
「ハハッ、わかったから…もうしないよ。楓は本当に泣き虫だなぁ」
「絶対にですよ……約束して」
「ああ、わかった……」
そこで楓は今までの思いのたけを全て一樹にぶつけた。
「私を……私を一人にしないで……」
「ん? ああ大丈夫だ。これからは楓を一人になんてしないから」
「私は…社長がいないと困るんです……私には…社長がいないと駄目なんです……」
その時楓は初めて一樹に自分の想いを伝えた。
それを聞いた一樹は驚いた顔をしている。
しかしその後すぐに嬉しそうに頬を緩めると、泣いている楓の頭を優しく撫でながら言った。
「わかったよ。俺はずっと楓と一緒にいるから安心しろ」
「本当に?」
「ああ、本当だ」
その言葉に安心した楓は、一樹の枕元に突っ伏してワンワンと泣き始める。
子供のようにただ泣きじゃくる楓の頭を、一樹はいつまでも優しく撫で続けていた。