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#ハッピーエンド
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その後、意気消沈したレンブラントに代わり、フローチェがベルの疑問に答えてくれた。
フローチェとレンブラントがいとこ同士であることは間違いなく、ダミアンとも幼馴染である彼女は、どんなツテを使ったのかはわからないが、危機的状況を察してあの森に駆け付けてくれたらしい。
移動中の馬車の中で気を失ったベルは、信じられないことにフローチェの別邸に到着してから3日も意識が戻らなかった。
ちなみにベルが目を覚ました際に見た光景の真相は、レンブラントがベルの看病をしながら己の傷の手当をしていたところ、我慢の限界を超えたフローチェが部屋に飛び込んできて馬乗りになって責めていた──ということだ。
つまり、寝起きで聞いたフローチェの罵倒は嫉妬からくるものではなかった。
誤解が解けた今、レンブラントはベッドの端に座って項垂れ、ベルはフローチェの手厚すぎる看病を受けている。
「はぁーい、ベルちゃん。ちょっとうなじを拭いてあげたいから、頭、持ち上げられるかしら?うん、そうそう上手ね、良い子」
汗でベタベタした首筋に濡れたタオルが触れて、ベルは心地よさに目を細めた。
けれどすぐ、フローチェに耳をくすぐられ「ひゃん」と変な声を出してしまった。
「ふふっ、ここ弱いの?」
「……わかりません」
耳たぶを弄ばれながら、ベルはそっとフローチェから視線を逸らして答えた。
看病されているだけなのに、どうしてフローチェのことを”優しい人”というより”いやらしい人”と感じてしまうのだろう。そんな自分は、相当性格がねじ曲がっているのかもしれない。
そんな自己嫌悪に陥りながらも、ベルはフローチェから距離を取ろうとする。
「あの、フローチェさま、もう……大丈夫です」
「あらあら、そんなこと言っては駄目よ。寝汗を沢山かいたのだから、お着換えをしないといけませんわ」
そう言うフローチェの息ははぁはぁと荒く、ベルは熱の悪寒ではない寒さを覚えててしまう。
しかしフローチェはそんなベルを無視して、一旦ベッドから離れると、チェストから新しい寝間着を取り出して、再び戻って来てしまう。
「さぁベルちゃん、わたくしがお着換えさせてあげますからね」
うっとりと目を細めて横たわるベルの毛布を剥ごうとした瞬間、鋭い声が飛んできた。
「いい加減にしろ、フローチェ。ベルが怖がっているだろう」
ついさっきまでベッドの隅で打ちひしがれていたレンブラントは、そんなことなどなかったかのように怖い顔でフローチェを睨んでいる。
「後は俺がやっておく。部屋を出ていろ」
(いや、あなたも出て行ってくださいよ)
ベルはそう言いたかったけれど、声が出なかった。有無を言わさないレンブラントの視線を受けてしまったから。
「……ダミアンの言っていたことは本当だったのね」
てっきりレンブラントに向けフローチェは罵声を浴びせると思っていたが、予想に反して、あっさりとベルから離れた。
ただフローチェはすぐには部屋を出て行くことはせず、ベッドから3歩離れた場所で腕を組む。
「独占欲を丸出しにしているけれど、レン、あなたベルちゃんに、ちゃんと言ったの? レイカールトン侯爵は実は……んぐぅ」
俊敏な動きでフローチェの元まで移動したレンブラントは、荒々しくお喋りな彼女の口を片手で塞いだ。
「いらんことを喋らないように、その口を縫いつけるぞ」
極限まで怒りを抑えた低いレンブラントの声音は、聞いてるだけで狼狽してしまうほどだった。
しかし、フローチェは口を塞がれたまま、にこっと目を細めて、レンブラントの脇腹を殴った。
「……痛っ」
手加減なしに傷口を殴られたレンブラントは、思わずフローチェの口元から手を離してしまった。
「レディに対して失礼極まりない態度を取ったのですから、自業自得ですわ。でも、怪我人に免じてこれくらいで許してあげますわよ。感謝なさいレン。あと、お喋りが過ぎたのは認めてあげるから、わたくしは部屋を出てあげますわ。床に額を擦り付けて感謝なさい──じゃあね、ベルちゃん。また後で」
ひらりとドレスの裾を靡かせ、廊下に出るフローチェはまるで妖精のように軽やかな動きだった。
コメント
1件
ああ、面白かったです!フローチェの看病が「優しい」の枠を超えて「いやらしい」になってるのがもう、笑っちゃいました。ベルちゃんが「ひゃん」って声出しちゃうところ、可愛すぎます。レンブラントの独占欲が滲み出てるシーンも良かった。早く続きが読みたいです!