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「流石イザベラの提案ですね、たくさん人が来てますよ!」
「イザベラ、楽しそうにゲートボールしてるぞ、嬉しいか?」
明らかに私を元気づけようと、ひたすらに機嫌をとってくる兄ルイスとルイ王子。
見た目が可愛いとなんの努力もしなくても、このような幸せが待っていたのかと失望する私。
「見た目が良い女が好きな男というのは、結局は選んだ相手が干からびだら若い女に行きそうですよね。良いサンプルでした。今日は2人で協力してパーティーを成功させてください。私は疲れましたので戻ります」
友人もいないのにノルマを達成しようとして奮闘した兄ルイスも、完璧な仕事をこなし思いやりのあるルイ王子も急に安っぽい存在に思えた。
幼い男の子の態度にここまで傷つくのは、私が傷だらけでこの世界に堕ちてきたからだろう。
「兄上、ここはお任せします。イザベラ、王宮まで送りますね」
沢山協力して準備をしたパーティーを投げ出して帰宅する。
このような粗相をしても、付いてくる男がいるのだ可愛い女の人生なのだ。
「結構です。今は、ルイ王子の顔も見たくありません」
私がいった言葉に明らかに傷ついたのが分かった。
でも、私だって傷ついている。
思い出してしまったのだ、CAと聞いて期待してきた商社マンが私を見るなり仕事があると行ってすぐに立ち去った日を。
お友達の紹介というもので知り合って結婚することを夢見ていたのに、私には傷つく出来事だった。
王宮の自分の部屋に戻って、私は頑張った2人の男の子達に申し訳ないことをしたことに気がついた。
今こうやって我が儘な振る舞いができるのも、イザベラが1000年に1人の美少女級に可愛いからだろう。
どのような我儘を言おうと愛おしがられ、むくれたら心配されるのだ。
思えば私は仕事運は絶好調だった。
就職氷河期でも内定をとって選べるだけの会社があった。
対して可愛い親友は内定を取れず、卒業後日雇いのイベントコンパニオンになった。
それでも、青年実業家にみそめられ今はセレブ妻でSNSで自慢三昧だ。
「イザベラ、会は大成功だったぞ。具合が悪いみたいでルイも心配している。もし、よかったら顔だけでも見せてくれないか?」
なぜだか急に態度が甘くなった兄ルイスが扉の外から私に問いかけていた。
「私の顔を見たかったのでしょ。満足ですか? 私のこと好きなんですか? こんな夜更けに訪れるなんて非常識です」
私はいつも以上にお色気のある兄ルイスをおちょくった。
「好きだ。こんなこと許されるわけじゃないって分かっている。俺には婚約者もいるし、お前は弟の婚約者なのに。でも、気持ちを抑えきれないんだ」
私の腕を引いて突然抱きしめてくるルイスに私は驚きを隠せない。
可愛い女の人生はこんなことがあるのだろうか。
まさに、ドラマのような泥沼展開だ。
「待ってください、私にはルイ王子がいるんです。彼を愛しています」
39歳の心を持ったはずの私はなぜかドラマの主人公になったような気分に陥っていた。
10歳の男の子を愛しているとのたまわっている。
私は珠子時代、若造りの天才と言えるほどのメイクの達人で可愛く自分を盛れるていると信じていた。
でも、実際に生まれながらの可愛い子には特別な逆ハーレムな人生が用意されていたのだ。
「兄上、何をしているのですか? イザベラは僕の婚約者ですよ」
そして、なぜだか昼ドラ顔負けのラブバトルが開幕していた。