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お母様あんたどうかしてるわよ( あれだよね、人の相談に乗る人って自分は人に相談できないもんね…
昔から、人の相談に乗るのは得意だった。
だから、誰かが悩んだらその人に寄り添って、自分の事のように考えた。
それが相手のためだと思っていたから。
思っていたのに
「ねぇ諏禾ぇ聞いてよぉ〜」
今日も私に友達が話しかけてくる。
『どうしたの?』
私は困っている友達の相談に乗る。
「彼氏と別れたんだけどさ…あいつ浮気してたんだよ?!許せなくない?!」
『確かにそれは許せないね…』
「そのくせ別れたら俺にはお前だけだーもう一度付き合おうーとか抜かすんだよ?!」
『うわー、ないね…1度浮気してすぐに復縁求めようとする人は反省してないから…』
「やっぱりそう思うよね?!チャットブロックしていいよね?!」
『いいと思うよ。もしほんとに反省してるならしっかり反省の色見せてもらわないと』
「よーし!そうなったらブロックするぞー!」
こんな風に軽い相談から
「諏禾…」
『どうしたの?元気ないね。話聞くよ。』
「実は、成績下がったからお母さんがすごい怒ってて…スマホも没収されて……」
『ありゃ…今度一緒に勉強しよう。確かに怒るのはやりすぎだと思うけど、こちら側が勉強に対して本気だって見せたら、多分お母さんも許してくれるよ。』
「うん……!」
少し深刻な相談まで、色々あった。
だから私は、色んな人の相談を聞き続けていた。
家でも……
『お母さん、元気ないね。話聞こうか?』
「……そうね、話聞いてもらおうかしら…」
お父さんやお母さん、お兄さんの相談に乗ったりしていた。
そんな日常が続いていたある日。
バンッ
「ったく、うるさいのよ話聞くよって!」
『お、お母さ……』
「あなたまだ学生でしょ?!学生のあんたに何がわかるのよ!!」
『っ……』
「だいたい、相談に乗ってればいい子だって思われるとでも思ったの?!そういうのは“偽善”って言うのよ!!」
『っ………』
「ほんとに誰かの役に立ちたいって思うのならその人の代わりに解決して見せなさいよ!あんたなんて話を聞いてるだけじゃない!!」
『っ…………』
ショックだった。
私が正しいと思ってやってきたことを全て否定されたから。
「……出ていきなさい。」
『え……』
「あんた目障りよ。もう一度言うわ。出ていきなさい」
『っ…………』
私は言われるがまま家を出た。
夜道を歩きながら泣いた泣いた。
誰かに相談したかった。
でも出来なかった。
──人の為に生きなさい。人を助けて生きていきなさい。
昔から親に言われていた言葉だ。
これのせいで、相談したら人に迷惑をかけてしまうと思って相談ができなかった。
だから私は、目に涙を溜めながら、涙が溢れ出しながら、視界が悪くなりながら、視界が暗くなりながら──
歩き続けていた。
『……んん…』
「あ、起きた。」
目が覚めると、目の前にはポニーテールの女性がいた。
『貴女は…?』
次に辺りを見渡すと、知らない神社にいた。
私はいつの間にこんなところに来ていたのだろうか。
『ここは……』
「ここは麗流楼水。僕は本李遥花。君は?」
『私は…嵐諷諏禾…。麗流楼水って一体…』
「それは私から説明しよーう!」
その声はそれまでの静かな空気をぶち破った。
「ったく、未彩はうるさいな。」
「私の名前は月影未彩だー!わっはっはー!」
「なんだこいつ」
ハイテンションで話す未彩に遥花はツッコミを入れる。
「麗流楼水とは!居場所を失った人達がたどり着く町なのでーす!つまり貴女は居場所を失ってしまったと言うことだね!」
『居場所を…』
心当たりはやっぱり母親との事だった。
「その様子、何かあるみたいだね。」
遥花が言った。
「話してもらえるかな?」
私はその言葉に、情けなく大声で泣いてしまった。
ずっとずっと、ずっとずっとずっとずっと
誰かに相談したことなんてなかったから。
そして泣き止んだ後、私は一つ一つ説明していった。
「なるほどねぇ」
「別に偽善じゃないと思うけどなぁ」
「というかそれで偽善だったら世の中全部偽善でできてるくね」
「確かに」
「まあ何はともあれ!諏禾さん!貴女を麗流楼水に歓迎致します!」
「母さん、諏禾がどこに行ったか知らない?」
「知らないわよ。今頃死んでるんじゃないかしら」
「しっ……?!なんで?!」
「なんでって、家を追い出したからよ」
「なんでそんなこと……!」
「ウザイのよあいつ。自分は何も干渉しない癖に偉そうに口だけは出して…あんな偽善娘いらないわ」
「酷い……父さんも何か言ってよ」
「知らんな。俺はどうでもいい」
「チッ」