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話者:柴崎ゼナ(女性・30歳・白虎機関所属A級研究官。保健教諭に偽装中)
場所:童ノ宮第二中学校 保健室
日時:2025/4/12 11:03~
「そっか。……じゃあ、キミカちゃんは今日が初めてだったんだね。しんどくても、不安だったかもしれないけど――これ自体は怖いことじゃないからね。……うん。大丈夫大丈夫」
(トントンとキミカの背中を優しく叩く音)
「じゃあ、その噛まれたって言う傷、見せてくれる? ……うーん……。傷口から霊毒が漏れている感じは皆無だね。これなら特に心配することもないかな」
(数秒間の沈黙)
「キミカちゃんにとっては災難だったとは思うけど、噛まれたこと自体が何か障りをもたらすことはないよ。……安心したかい?」
(ボソボソと不明瞭なキミカの音声)
「取りあえず噛み跡を普通に消毒しておこう。……少し沁みるかもしれないけど、我慢して動かないでね。……そうそう、えらいえらい」
(手当てを受けていると思しきキミカの呻き声)
「ところで、キミカちゃんの背中にしっかりとしがみついている子……。言うまでもないだろうけど、所謂呪物の類いだよね? 一体、どこから連れてきてしまったんだい?」
(数秒間の沈黙)
(ボソボソと不明瞭なキミカの音声)
「童ノ宮の宝物殿? ……だったら、君ら塚森家の氏神様の御眷属も同じじゃないか? どうして、そんな……。まあ、体調が落ちている時は、どうしてもこの世ならざる存在が寄って来やすくなるからねぇ」
(数秒間の沈黙)
「さて。キミカちゃんのお父さんが迎えに来る前に――ウバリヨンだっけ? そのヌイグルミを近くで見せてらってもいいかな?」
(ボソボソと不明瞭なキミカの音声)
(数秒間の沈黙)
「……うん。思った通り、この子にキミカちゃんを攻撃しているつもりはない。しがみついているのは、ただ甘えていたいからだ。……さっき、キミカちゃんを噛んでしまったのは、無理矢理引き離されそうになって驚いたからだな。キミカちゃんには気の毒だが……」
(ボソボソと不明瞭なキミカの音声)
「それと、首すじの肌が少し赤くなっているね。これはキミカちゃんの霊的な物を受け入れやすい体質に依るものだ。消えるまで少し時間はかかるだろうが、噛み傷と同じでそこまで怖いものじゃないから安心していい」
(ボソボソと不明瞭なキミカの音声)
「うん。ヌイグルミに宿っているのは十中八九、小さな子供だね。多分、生まれたばかりの……。さっきから私のお腹の子と凄く意識し合ってる。お互い、興味を覚えているだけで敵意はなさそうだが……」
(数秒間の沈黙)
「だからこそ――と言うのも変だけど、この子に限って言えばあまり強硬手段には訴えない方がいいだろう。おとなしい相手をわざわざ刺激してトラブルを呼び込むことほどナンセンスなことはないからね」
(ボソボソと不明瞭なキミカの音声)
「……ということで今回、この子に対処するのは私よりもキミカちゃんのお父さん――、塚森レイジに任せたほうがいい。……ちゃんと伝えておくから、心配しなくていいよ」
(数秒間の沈黙)
「それで? ここに来る前、生活指導の進藤先生に何か嫌なことを言われたんじゃないのか? ……そりゃ顔を見れば分かるよ。……悪いようにはしないから、ありのままを話してごらん」
(躊躇いがちに何事かを話すキミカの声)
「ほぉ。あの男、嫌なやつだとは思っていたが、子供にまでそんな態度を取るのか。(声が急に低くなる)……これは痛い目に遭わせる必要があるかもな。場合によっては青龍機関と連携し、パージする必要も……。いや、こっちの話だよ。キミカちゃんは気にしないでいい」
(アハハハ、と乾いた笑い声をあげる柴崎ゼナ)
(声を精一杯柔らかくして)
「キミカちゃんは何も気にしないでいいからね」
#和風ファンタジー
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