心臓が、ばくばくと騒がしく打ち鳴っている。
呑み込んだ生唾が、耳を塞ぎたくなるくらいに大きな音を立てた。
「お、お邪魔します……」
「足下の段差に気をつけてくださいね」
そう言って、踵を擦り合わせて靴を脱ぐ間に、水戸が客用のスリッパを床に置いた。
恐縮しながら、スリッパにつま先を通し、両手に荷物を抱えたまま、猫背になった背を起こす。
先導する水戸に付いて廊下を歩くと、程なくして、リビングのドアが開いた。
その瞬間、視界がパッとクリアになったような錯覚がして、二度三度と目を瞬く。
どくんっ、と鼓動が音を変えた。
南向きのベランダ。今は日が落ちて、橙色の光が薄ぼんやりと射し込んでいるが、これが昼間ならきっと、温かな光彩が部屋を照らすだろう。
自然と部屋を見渡せば、どの角度からでも、伝わる。
必要なものだけを、必要な場所に適切に収めた、整然とし************
********
******
**********************
******
***********
************************
********************
コメント
1件