…遠くから声が聞こえる、誰かの声…
聞いたことがある、あの声。光が見えた。
光に向かっていくと、意識が…
「らっだぁ」
「…ぐち、」
…おれ、確か
ぐちつぼに風邪ってのがバレて、寝させられたんだっけ…?まあ自分で寝たが
ってか…
「なんで、膝…」
「ん?なんでって、枕無かったから。俺の膝枕なだけ」
「やだよ…」
「おいおい、辛辣だなぁ…」
いやって、言うか…恥ずかしいんだけどな本当は。だけど言ったら絶対いじられるし
「恥ずかしい?」
「ぇ、」
…心読んでるのかな、こいつ…
昔からの付き合いとは言え、こんなやつだったっけ?
「図星か…まあ枕無いってのは嘘で、寝顔可愛かったから膝枕しただけだけど 」
「は、!?なに言ってんのお前!こーんな30代おっさんなのに…ゲホッ、 」
「あーほら、無理すんなって。いつもは生意気だけど静かだったしさ」
「ガキが…けほ、」
「ガキて(笑)」
あーむかつく…こいつに可愛いって言われるのが一番むかつく。
おれで遊んでるじゃん…
「あ、はい水」
「ありがと…てか今何時?」
「8時。ご飯食べるかなって思って起こした」
「飯作ってんの…、?」
「お粥は作っといた」
「げほ、やるやん…」
気遣いができる男になったな、こいつ…
てか頭がふわふわする…
「ねつ、はかる」
「じゃあ俺が測るな」
「ガキじゃないんだから、自分でやるし…」
「いいよいいよ。俺の膝座って」
「…ん、」
相変わらず身長が大きい。俺がガキみたいじゃんか…
ピピピ…
「37.9℃か…下がったけどまだあるな」
「は、なんで下がったってわかるの」
「寝てるときに測った」
「…まじ、きもい 」
「いいじゃん別に~」
良くない。おれのプライドってもんがあるんだよ…それに寝顔じろじろみられたってこと?やだ…
「くすり飲むから、もってきて。あっちの部屋にある」
「はーい」トコトコ
「…はあ…」
そういやあいつ、身長も高くて、風邪のときなんだかんだ看病してくれて、顔も、良くて
「すこしは、甘えてもいいのかな… 」
「らっだぁ~、これ?」
「うん、ありがと」
コップに入っていた水を飲んで、薬を飲む。
てかもう8時なんだ、
「お粥食べる?」
「うん…」
「じゃあ持ってくるな」
「遅い…」
お粥持ってくるだけでこんなにも時間が掛かるものなのか…?
そんな慎重に運んでいるのか?
さすがに遅い。もう10分だし、
喉痛いから叫べないし…
「ぐちっ、げほ…」
なんだか悲しくなってくる。おれだって人間だから、風邪のときくらいひとりだと悲しい
「ぐちぃ、つぼっ…」
大人がこんなにも泣いていて、自分でも気持ち悪いというのはわかる。
「ぐちつぼ…はやくきて…」
「らーっだぁ」
「え、」
「いやあ、らっだぁも俺が居ないとダメだなぁ!」
「…ずっと、みてたの 」
「あ、うん…反応みたくて」
「っばか…」
「ちょ、ごめん…!はい、お粥…あーん、する…?」
冗談っぽくおれに「あーんする?」と聞いてきた。おれをナメるなよ。
「する」
「え、するの…?」
「そっちが聞いてきたんじゃん」
「わ、わーった…」
ぐちつぼ焦ってる、ちょっと面白い。
「くち、あけて?」
「あーんっ」
「可愛いな…」
「は?」
「いやなんでもない、はいあーん」
ぱく、とお粥を一口食べる。
味は想像以上で、かなり旨い。
「うまい」
「良かったよ、まだ食うか?」
「あとちょっとたべる」
「はいはい」
ぐちつぼはお粥とスプーンをテーブルに置いた。こいつ…まさか、まだおれがあーんをしないとでも思っているのか?
「あーんして」
「えっ…」
「してよ、してほしい」
「わ、わわわかった…」
んふふ…反応相変わらずいいな
「あーん」
「あむ…んまい!んへへ」
「…可愛すぎるぞ、お前」
「?なにが」
「…らっだぁが可愛すぎるってこと」
「うそだろ~もっとあーんする」
「グッ…わかった」
それから5回ほどあーんをして、お腹がいっぱいになったのでごちそうさまをした。
「もう9時か…」
「らっだぁは寝る?」
「はやいじゃん」
「風邪なんだから寝ろよ
…一緒に寝る?」
今日くらいは、甘えても…いいよな
「…寝る」
「…(笑)今日はやけに素直じゃん。じゃあ一緒に寝ようか」
「だけど、風邪うつしちゃうかも…」
「マスクするし大丈夫、じゃあ寝よ」
「うん、
おやすみ」
「…おやすみ」
続くよ!たぶん!()
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ガハッ