テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
〜鈴の音〜
幽華「(あ…これから死ぬんだ…)」
目の前の恐ろしい光景を前に動かなくなっている時だった、
悠「逃げるぞ!」
いつもは大声なんて滅多に出さない悠が幽華と龍樹の手を引き走って教室から出る。その声でハッとし、走りながら後ろを見ると…、追いかけてきている。あの化け物が…一瞬、瑠璃はどうなったのだろうと心配になったが、今は逃げることに集中しないと、
龍樹「やばいやばい!着いてきてるぞあいつ!」
幽華「ここ、隠れられそうじゃない!?」
息切れしながら少し前にある中から鍵をかけられる理科準備室を指差す。そうすると急いで3人は理科準備室に入り、鍵をかける
悠「はぁっ、はぁっ……」
龍樹「死ぬかと思った…」
幽華「ね、ねぇ…瑠璃は?」
震える声で2人に問う。きっと私の顔は涙目で青ざめているだろう
龍樹「…!瑠璃!」
そのことを聞き龍樹が扉の小さい窓から廊下を見る。だが数秒何も言わずに立ち、少しすると膝から崩れ落ちる
龍樹「いる…この……この教室の前に…」
悠「クソ…逃げれもしないってか…」
何を思ったのか、私は窓の外を見る。そして、窓を開けてその下を見ると、地面から遠い…三階まできたから当たり前だ。だが、下に小さい木のようなものがたくさん植えてある…一か八か、
幽華「2人とも、ここから飛び降りよう」
今思えば、この一言だけじゃ自殺しようしとしている人みたいだ。
龍樹「は!?何考えてるんだ!?」
悠「いや…」
そういうと、悠は私の隣に来て外の下を見る
悠「行くしかないな…」
悠が私と龍樹を見る。そうすると私は龍樹と目を合わせ、頷く…決意できたのだ
幽華「そうと決まれば、行くよ!」
その瞬間、3人で窓から飛び降りる
怖くて目を瞑る…落ちている感覚がする。怖い。でも、あの化け物にやられる方がもっと怖い
ザッ!
小さな木の上に落ちた。枝のせいで所々傷があったり、背中辺りが痛いが、すぐ行動しないとまたアレが来る。そう思った私たちは全速力で校門に向かう
幽華「ッはァっ!はぁっ……」
逃げ切れた…?そう思い顔を上げると校門の前にあの化け物が…
龍樹「ひっ…」
だが、何もしてこない…いや、こちらに来れないのだ。学校から出られない霊?妖怪?なのだろう…
幽華「た…す、かった…」
安堵し、力が抜ける…今にも泣きそうだったが、なぜか涙がでない…泣く気力さえないのだろうか
シャン…シャン…
突然、上から鈴の音がし、見上げると女性がいる…月光に照らされる黒色の髪、先程の鈴だと思われる鈴をつけた紅いリボンの髪飾り…
その人が、大幣のようなものを一振りすると、化け物が灰のようにパラパラ…と崩れていく
気持ち悪いと思っていたものでも、綺麗に感じる…
悠「とりあえず、帰ろう!」
私達はそれに見惚れていて帰ることすら忘れていた。悠の発言でそのことを思い出し、今日は解散した
昨日の出来事…今でも信じられない。あの化け物のことも、瑠璃のことも………
特にあの鈴の女性…何者なのだろうか
そんなことを思いながら先生が来るのを窓の外を見ながら待っていると、扉が開き先生が入ってきてこう言う
担任「今日は色々話さないといけないことがあるんだが、まずは転校生を紹介する。みんな仲良くしてやってくれ」
“転校生”という言葉に教室中がざわつく中、また扉が開き、転校生らしき人が入ってきた
その姿を見て、私は言葉を失った
撫子「白鷺 撫子です。みなさんよろしくお願いします」
クールそうなその子は、鈴と紅いリボンの髪飾りをつけていた…
〜第二話、鈴の音 終〜
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!