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そして今真子は美桜と二人で工房を運営している。


冬が長い北国の主婦たちは、手芸を趣味にしている人が多い。

そんな中、普段あまり体験出来ない染色や織物に関心がある人も多く、わざわざ札幌や滝川から通って来る人もいる。


この教室は自由な雰囲気がウリで、初回の一日体験を受講するとほとんどの人がそのまま入会する。

ホームページ以外では特に宣伝していないのに、いつの間にか口コミで広がり生徒の数は増え続けてい

だから教室の収益は比較的安定していた。

今後はどうやってこの事業を広げて行こうか、二人は色々と模索中だ。


30分ほどすると生徒が全員揃ったので講座が始まった。


「では、染液につけ込んでみてください。やけどをしないように」


この日は松ぼっくりで染める草木染の講習だった。

生徒達はまつぼっくりで染めた布が淡いピンク色に染まったのを見て、思わず歓声を上げる。


「うわー、可愛いピンク色」

「てっきり茶色く染まるかと思ったわー」


岩見沢は自然が多いので、草木染の材料には事欠かない。

身の回りにある物で手軽に楽しめるところが草木染のいいところだ。

出来上がったストールを手にした生徒は皆満足気な様子だった。


講座の最後に、皆でコーヒーとお茶菓子をいただきながらお喋りを楽しむ。

こういったところもこの教室が人気の理由だ。

お喋りを楽しんだ生徒達は、その後大満足な様子で教室を後にした。


生徒達が帰った後、秋子も立ち上がって言った。


「じゃあそろそろ私も失礼するわ」

「秋子さん今日はありがとうございました。これほんの少しですけど」


そう言って美桜が封筒を差し出す。


「謝礼なんていらないって言ってるでしょう、趣味でやってるんだから」

「いえ、謝礼って言うほど入ってないですから。でもケーキ2~3個は買えるかなぁ? だからご主人とお茶でもして下さい」


真子は笑いながらそう言った。


「そうお? じゃあ『エクラ』のケーキでも買って帰ろうかしら! ありがとう。じゃあまたね」


秋子はそう言って工房を後にした。


「ありがとうございました」

「お気をつけて」


秋子を見送った後、二人は教室の片付けを始める。

そして夕方その日の仕事は終わった。


「真子、また来週か再来週辺りに居酒屋で企画会議しようよ」

「うん、いいよ。今度は飲んでばかりじゃなくてちゃんと話し合いもしようね」


真子がそう言うと、


「あははそうだね。前の時は結局飲んで終わりだったもんねー」


美桜は楽しそうに言った。


「じゃあまた明日」

「お疲れー」


真子と美桜は手を振りながら交差点で別れた。


真子の家はここから歩いて15分程だ。

雪のない時期には、早足で歩けば10分ほどで着く。

真子は商店街のアーケードを抜けて、いつも買い物をしている激安スーパーへ寄った。


(今日は何を作ろうかな?)


真子はそう思いながら、カゴを手にして買い物を始める。

一人暮らしを始めてから、料理の腕はかなり上達した。

両親がまだ北海道にいた時に、真子は母から少しずつ料理を教わっていた。

今はたまに秋子からも教えてもらったりする。


一人暮らしを始めたばかりの頃は何かと緊張したが、もう二年目なのでだいぶ慣れた。

一人でも意外となんとかなるものだ。


今は誰にも邪魔されない一人時間を満喫している。


休日には市内の公園やカフェを訪れたり、時には札幌へ行くついでに美術館にも寄ったりする。

今はそんな暮らしがとても心地良い。


手術をしてからは、とにかく疲れにくくなった。

だから多少無理をしても昔みたいに具合が悪くなる事もない。

だから北海道で手術を受けて良かったと思っている。


買い物を終えた真子は、アパートへ向かった。

真子が住んでいるアパートは、少し広めのワンルーム。

家賃は29000円という破格の安さだ。

東京でこの家賃はあり得ない。


今はとにかく少しでも貯金をしておきたかった。

将来がまだ不安定な状態なので、

なるべく無駄遣いはしないようにと真子はしっかり家計管理をしている。


アパートへ着くと、真子は一階の部屋の鍵を開けて中へ入った。

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