それから一年後、凪子は信也と共に産婦人科を訪れていた。
今日は三回目の妊婦検診だった。もちろん三回とも信也が一緒に来てくれた。
凪子はつわりが始まり最近食が細くなっている。
信也はその事が心配で、産婦人科医にあれこれ質問をしていた。
産婦人科を出た二人は、
「久しぶりに外で食べるか? あのうどんだったら凪子も食べられるんじゃないか?」
「ああ、あの創作うどんのお店?」
「うん」
「あそこのうどんは酢が効いているから食べられるかも」
凪子がそう答えたので、信也はその店へ向かって車を走らせた。
店へ行くと、思った通り凪子はうどんを全部平らげた。
「おいしかったー」
「食べられて良かったな。凪子が食べないと、お腹の赤ちゃんがやせ細っちゃうぞ。お腹にいるうちからモデルにでもするつもりか?」
「ウフフ…それはさすがにないわ。それにまだ性別だってわからないのよ」
凪子は可笑しそうに笑う。
その時信也のスマホが鳴った。
知らない番号が表示されていたので信也は思わず首をかしげる。
「ちょっと出てくるよ」
信也は店の出口へ向かった。
(まさか浮気相手とかだったりして?)
凪子はついそんな事を考える。しかし冷静に考えるとそれはあり得なかった。
なぜなら凪子が妊娠して以来、信也は仕事で外へ出る時以外は毎日事務所と家の往復だけで夜は一切外出しなくなった。
(どうやっても浮気する時間なんてないわね)
凪子はそう思いながらフフッと笑う。
その時信也が戻って来た。その表情は少しこわ張っていた。
「何かあったの?」
ただならぬ気配を感じ凪子が聞いた。すると信也は凪子を見つめたまま言った。
「俺の絵が…日本絵画展で文部科学大臣賞を受賞したらしい」
その言葉を聞いて凪子は思わず目を見開く。そして興奮して言った。
「凄いっ! 凄いわ信也! やったじゃない!」
「うん…凪子のお陰だよ、全て君のお陰だ」
「ううん、私はモデルをしただけだから関係ないわ。全てあなたの実力よ。凄いわ! これで信也も著名な画家の仲間入りね」
凪子は満面の笑みで嬉しそうに言った。
「まだ信じられないよ…でもありがとう、凄く嬉しいよ」
そこで二人は、とりあえず目の前にあるほうじ茶で乾杯をした。
その日の帰り、二人は高級スーパーへ寄り美味しそうな総菜類とパンを買って帰った。
そして夜は二人だけで入賞祝いのささやかな宴を楽しんだ。
コメント
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凪子さんご懐妊に 👶、信也さんの絵が受賞..🏆️💐🎉 こちらのご夫妻は おめでたいことが続いていて....💖ヨカッタ-🎶✨
下げ◯ン絵里奈とは真逆の上げ◯ン凪子さん⤴️✨ まさかの凪子モデルの絵が賞を取るなんて🏆本当に素晴らしい🎖️🏆🎊おめでとうございます㊗️ 信也さんの実力も当然ながら、凪子さんの姿勢や考え方や行動全てがきっとパートナーの運気も上げてくれるんだろうな〜🤗🙌✨ だから信也さんとお子さんもきっと末長く幸せで安泰で過ごせる気がしてならない😉🌟💓