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#転生
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その日も、僕は空振りに終わった約束の言い訳を聞くために、相談相手B子の元へ向かった。 「今日はどうして来れなかったのかな」 そんな僕の問いかけに、B子はいつもなら「用事があったんだって」と、嘘でもいいからクッションを挟んでくれたはずだった。
けれど、B子は僕の顔を見ようとしなかった。 彼女の手は、教室の机の端をぎゅっと握りしめていて、その指先が白くなっている。
「……もう、会いに行かない方がいいよ」
B子の声は、震えていた。 「え?」 「これ、A子から預かった言葉。そのまま伝えてって言われたから」
B子は深く息を吸い込み、まるで自分を傷つけるかのような顔をして、その言葉を吐き出した。
「私は自己満足のためにやっているので、じゃかさないでもらっていいですか?」
その瞬間、僕の周りの音がすべて消えた。 「自己満足」「じゃかさないで」。 5年生の時、学童まで一緒に歩いたあの時間は、彼女にとっては何でもない「邪魔なもの」だったのだろうか。 「じゃあね」と笑って振り返ってくれたあの顔は、ただの「自己満足」の演出だったのだろうか。
直接言われるよりも、B子の声を介して届いたその言葉は、余計な熱がすべて削ぎ落とされていて、ナイフのように正確に僕の心を切り裂いた。
「ごめんね」 B子が小さな声で言った。 でも、僕にはその謝罪さえ届かなかった。
目の前の景色が歪む。 5年生の時に二人で数えた歩幅も、一緒に眺めた野良猫も、すべてが「僕一人の勘違い」として、真っ黒なインクで塗りつぶされていくような感覚。
僕は何も言い返せなかった。 「じゃかさないで」と言われてしまった僕には、もう彼女に会いに行く権利も、理由を聞く資格も、一ミリも残されていなかったから。
6年生の春、僕たちの物語は、たった一行の伝言によって完結した。 ……はずだった。