杏樹は湯を張ったバスタブにゆっくりと浸かる。
あまり早く部屋に戻っても気まずい感じなのでなるべくここで時間を潰そうとした。
(それにしてもなんでこんな事になっちゃったんだろう? 全部正輝のせいだわ)
杏樹は正輝に対して怒りが湧いてくる。正輝があそこにいなければ今頃杏樹は自宅で普通に過ごしていたのだ。
それにしても正輝はなんであそこにいたのだろう? なぜ杏樹の住所を知っていたのだろうか?
色々考えてはみるが思い当たる節はない。
(あーっ、今夜副支店長と同じベッドで眠れるかなー?)
悶々とした気持ちのまま杏樹はあの日優弥と過ごした一夜の事を思い出していた。
優弥と再会してからはあえて思い出さないようにしていたが、あの時と同じようにホテルにいるとつい思い出してしまう。
あの夜の事を思い出した途端杏樹の身体がズキンと疼いた。
(ダメダメ……変な事は考えないで、杏樹!)
そう自分に言い聞かせると杏樹は勢いよくバスタブから出た。
パウダールームでドライヤーをかけているとドアの向こうから優弥の声がした。
「随分長いけど風呂で寝てないだろうなー?」
長湯していた杏樹の事を優弥は心配しているようだ。
「大丈夫です。スミマセン、すぐに出ます」
杏樹は慌ててドライヤーを止めるとパウダールームから出る。
「遅くなってごめんなさい」
杏樹の姿を見た優弥はドキッとしていた。
スッピンの杏樹はとても可愛かった。化粧をしている時よりもかなり若く見える。
洗い立ての髪は艶々と輝きシャンプーの良い香りがしてくる。
風呂上がりの杏樹はバスローブではなくワンピースタイプの白のナイトウェアを着ていた。その姿は何とも言えずセクシーだ。
(俺は今夜何もしないと言ってしまったが果たして本当に我慢できるのか?)
そう思いつつ邪念を振り払うように優弥が言う。
「じゃあ俺も入ってくるよ」
「仕事は終わったんですか?」
「いや、あと少し残ってる。続きは上がってからやるよ。だから先に寝てていいぞ」
優弥はちょうど欠伸をしている杏樹を見て言った。
「すみません、じゃあお先に、おやすみなさい」
杏樹はそのままベッドへ向かった。そして優弥はパウダールームへ入って行った。
なんでもない風を装い先に寝ると言った杏樹だが、心臓はバクバクと音を立てていた。
言ったはいいが果たして先に寝られるのだろうか?
風呂上がりに優弥はもう少し仕事をすると言っていた。ベッド脇のテーブルで仕事をする優弥にいびきでも聞かれたら最悪だ。かといって優弥が寝るまで起きて待っているのも微妙だ。
そこでま杏樹はまた欠伸をする。
(ふぁー眠い……、とりあえずベッドの隅っこで寝たふりでもしようかな?)
そう決心すると杏樹は窓際のベッドの端に身体を横たえた。
一方、シャワーを浴びながら優弥は悶々としていた。
風呂上がりのスッピンの杏樹を見た瞬間押さえていたものが一気に溢れ出していた。
杏樹と再会してからはあの夜の事は封印してきた。上司と部下という間柄では当然の事だった。
それにもし仮にあの夜の事を思い返してしまうと杏樹に対する欲望に収拾がつかなくなる。
優弥はあの夜、生まれて初めてとも言えるほどの素晴らしいセックスを経験をした。
『肌が合う』『身体の相性がいい』という言葉の意味を初めて知ったのだ。それほど杏樹の肉体は素晴らしかった。
本当はあの朝もう一度杏樹を抱くつもりでいた。すばらしい朝を過ごした後は、二人で朝食を食べてから杏樹をエスコートしてデートに連れて行く予定でいた。もちろんその間に杏樹の事を色々と知るつもりだった。
しかし優弥が起きた時既に杏樹は姿を消していた。杏樹がいない事を知った優弥はかなり愕然としたのを覚えている。
だから異動先の支店で偶然杏樹に再会した時、優弥は心臓が止まるかと思った。
偶然とはいえあまりの突然の出来事にかなり動揺していた。あの時優弥は神が与えてくれたこのチャンスを決して無駄にはしないと心に決めた。
そして今夜杏樹は同じ部屋にいる。上司と部下の関係でいる以上迂闊に手は出せないと頭ではわかっているが、身体がまったく別の反応をしている。
(一体俺はどうしたらいいんだ?)
優弥は悶々とした気持ちをかき消すように頭をゴシゴシと洗い始めた。
バスルームを出た優弥にはもう仕事の続き等はどうでもよくなっていた。
今はベッドの上にいる杏樹にしか意識が向かない。
バスローブを羽織った優弥はベッドの傍まで近づくと杏樹の様子をうかがう。
杏樹は窓側を向きこちらへ背中を向けたままスース―と寝息を立てている。しかしその寝息はどうも不自然だ。
(寝たふりか?)
優弥はニヤリと笑うとすぐに杏樹の隣へ滑り込む。
その時寝たふりをした杏樹はベッドが沈んだ事に気付く。
(あれ? まだ仕事をするって言ってたのにどうしてベッドへ?)
緊張気味の杏樹の呼吸が乱れる。
その時杏樹の腰に手が回された。優弥の手だ。
(ど、どうしよう……寝たふり…寝たふりよ杏樹……)
杏樹はギュッと目を瞑ったまま必死に寝たふりを続ける。
しかし優弥の左手は杏樹の腰の辺りを彷徨った後、胸の方へと上がってきた。
(!)
優弥の左手は杏樹の左胸を布越しに弄り始める。手のひら全体で優しく撫で回したかと思うと柔らかな胸をゆっくりと揉みしだく。そして今度は硬くなった蕾を指で摘まんだり弾いたりし始めた。
その時杏樹の口から熱い吐息が漏れた。
「はぁっっ……んっっ」
その吐息に勇気づけられた優弥は上半身を起こすと杏樹に覆いかぶさって来た。
そして杏樹の唇にキスをした後、今度は耳の裏にキスを始める。
気付くと杏樹はゴロンと仰向きにされていた。
「あっっ……」
優弥がもたらす巧みな愛撫により杏樹の口から声が漏れる。閉じていた目をうっすらと開けた杏樹は真上から自分を見下ろしている優弥の顔を見た。二人の目が合うと優弥が言った。
「狸寝入りさん」
「副支店長……駄目ですっっ」
「何が駄目なの?」
「……だって上司と部下だから」
「こんなに可愛い部下がいても駄目なのか?」
「だっ…駄目ですっ……あぁんっっ」
言葉とは裏腹に杏樹の声が一層大きくなる。優弥の激しい攻めにより杏樹は身体をよじり始める。それはまさにあの夜の動きと同じだった。
「ふ、副支店長……あっっ……いやっ……ダメッ……」
「もう一度『副支店長』って呼んで……なんかイケナイ事をしているみたいで燃えるな」
優弥が楽しそうに言ったので杏樹は抗議をする。
「だっ、だからっっ、副支店長駄目ですっ……はぁぁんっっ……あっっ」
その時優弥はナイトウェアをはだけると杏樹のツンと尖った乳首を口に含む。
「アァ―ッ……はぁっっ……んっ」
そこから自分がどうなったのか杏樹はあまり覚えていなかった。
とにかくあの夜と同じように優弥は貪るように杏樹の身体に吸い付いてきた。
杏樹の全身を舐め回した後杏樹が感じやすい部分を積極的に攻める。そして何度も何度も杏樹をイかせた。
杏樹が充分過ぎるほど潤うと今度は優弥自身が中へ入ってきた。
最初はゆっくり、しかし徐々にスピードを上げながら優弥はくまなく奥まで杏樹の内部を味わい尽くす。
熱く吸い付くような杏樹のヒダの中で優弥は一気に持って行かれそうになる。
一方杏樹も優弥の巧みなテクニックにより失神しそうなほどの強い快感を得ていた。
優弥が刻むリズムにより杏樹は恍惚とした表情になる。そして美しい乳房が上下に揺れる。
二人の快感が頂上へ達した時、優弥と杏樹は同時にチカチカとした閃光の中へ迷い込み一気に意識を手放した。
コメント
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やっぱりそうなるよね(*ノェノ)キャー 身体は正直😂
キャァー(〃ω〃)❤️🔥❤️🔥❤️🔥 そりゃこうなるやんなぁ(*´艸`*)❤️🔥 ごちそうさまでした🤭🩷🩷🩷
きゃー、そりゃあそうなりますよね (*´罒`*)ニヒヒ♡︎ 期待通りの展開に瑠璃マリコ先生ありがとう!と思いました٩(ˊᗜˋ*)و