今日は何処か騒がしい 。
汐 依 「 ぅゎ ー … 嫌われた … 」
小さな独り言が階段の踊り場に溶ける
羽 多 野 「 誰に ? 」
聞き慣れた声が降ってくる
汐 依 「 先輩ぃ … って 、 はっ !? 」
言う迄も無く
其処に居たのは先輩だった 。
汐 依 「 … 忘れて下さい 」
何時もの冷ややかな顔に戻そうと顔を手で覆う
羽 多 野 「 無理 、 笑 」
こういう時の先輩は意地悪だ
羽 多 野 「 虐めは何時から ? 」
また其の質問
私が嫌なこと知っている癖に
汐 依 「 … 先輩 」
羽 多 野 「 ん ? 」
優しい眼差しの先輩を見ると泣きそうになる
汐 依 「 先輩は哀しむかもしれませんが 、 」
ひと呼吸置いて突き放す様に告げる
汐 依 「 ‘ 虐め ’ なんて当たり前ですよ 」
当たり前だった
先輩が現れなければ
私は既に彼奴らに殺されていた筈で
私が先輩と出逢ったから
先輩が私と関わるから
神が私達を繋ぎ止めるから
そうやって
‘ 虐め ’ に対しての辛さを思い出してしまったの
羽 多 野 「 俺は君に掛かった呪いを解きたい 」
そう言う彼は淋しそうな瞳をしていた
清く澄んでいる瞳は何時もにも増して優しい
汐 依 「 王子様なんですか ? 笑 」
少し茶化した
嬉し過ぎて脳が可笑しくなってしまいそうで
素直になれなかった
羽 多 野 「 うん 。 」
静かな踊り場に溶け込む其の声に
乾き切った筈の涙が溢れた
汐 依 「 狡いじゃないですか 、 笑 」
嗚呼 、 此の気持ちは何処へ棄てようか 。
羽 多 野 「 羽希 」
先輩の優しい声が私に降り注ぐ
羽 多 野 「 また辛くなったら俺を呼んで 」
そうやって何人の女の子を堕とすのだろう
汐 依 「 本当狡いですね 、 笑 」
苦笑する事しか出来なかった
汐 依 「 先輩って好きな人とか居ますか 」
気付けば口をついていた
羽 多 野 「 居るよ 笑 」
何時もと少し違う柔らかな笑みは
誰かを愛おしんでいる様にも視えた
汐 依 「 応援してます 、 笑 」
此れは飽く迄 、 保身だ 。
コメント
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あらすじ回収気づけたの嬉しいっ(は 王子様は汐依ちゃんのもとに現れたのか…!!(?) 羽多野先輩推します(( 私も明日終業式です!!通知表破ってきます←