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強い男からの甘い言葉はもうね…(❁´ω`❁)ポヤヤン♡ 過酷な冬山でのほんの少しのリラックスを優羽ちゃんからもらえて、気持ちを切り替えられるんだろうね。 待ってる人がいる。それがどんな言葉やものよりも岳大さんにとって無事下山するという活力にもなるんでしょうね。 みんなガンバレ꒰՞⸝⸝•̀𖥦•́꒱و ̖́-
お互いに気持ちを伝えて本当の恋人になった後の岳大さんが甘い❣️甘々で甘すぎる😍🫶🫶 きっと北穂高アタックがそれだけ厳しいとので翔真さんもいて気を緩めれないから尚更優羽ちゃんの優しさの海に身を投じたくなるのかも⁉️ それでいい😉❤️そして優羽ちゃんの愛❤️を心に秘めてまた明日からの難関も乗り越えて無事下山のあかつきには優羽ちゃんを朝まで抱きつくす最終目標もクリアしないとね🛏️👩❤️💋👩🫂🩷💛❤️
テントの設営を始めr。→テントの設営を始めた。 ですかね!?
岳大のパーティーの北穂高アタックは二日目を迎えていた。
初日は問題なく計画通りに行程を終えた。
そして今日は北穂高の初めての難所へぶつかっている。
「翔真君! 『天狗のコル』からは気を抜かないようにアイゼンやピッケルワークの基本動作をしっかりね。滑落が多い場所なのでみんなも充分注意して下さい」
岳大の言葉にパーティーのメンバーは「はいっ!」と返事をする。
そして降り積もった雪の上を岳大が先陣を切ってルート開拓を始めた。
ここから『ジャンダルム』へかけてはかなりの難所だ。
ジャンダルムは奥穂高岳の西南西にあるドーム型の岩稜で高さは3163 メートル。
名前の由来はスイスのアルプス山脈アイガーの垂直絶壁から取ったものだ。登山上級者の憧れの場所でもある。
頂上は岩塔の為クライミングロープが必須だった。
雪のない時期は頂上を通らずにトラバース出来るが積雪期はクライミングロープで岸壁を制覇しなくてはならない。
その為遭難事故も多く決して気を抜くことができないエリアだ。
岳大が開拓したルートに翔真とテレビクルーが続く。誰もが無言で真剣な表情だった。
その時スタッフの一人が、
「あっ」
と叫び5メートル程下に滑り落ちた。
「大丈夫か?」
サポートで入っているベテランの小野がすかさず声をかける。
「すみません、大丈夫です」
落ちたスタッフが無事を知らせたので一同はホッとする。
初日は余裕の表情で饒舌だった翔真もこの日は口数が少ない。
次から次へと難易度の高い場所へぶつかるのでさすがの翔真も余裕が全くなかった。
(この仕事は俺の分岐点になる! だから絶対に成功してみせる!)
翔真は心の中でそう思いながら確実に前へと進んで行った。
天気に恵まれたお陰で全員が難所を無事に突破した。
予定よりも少し早く今日の宿泊地である穂高岳山荘前に到着した。
一同は喜びの声を上げ早速テントの設営を始めた。
その夜は焚火を囲み皆で盛り上がった。食事はキャンプ飯なのでご馳走はなかったがベテランの小野と坂本が具沢山の味噌汁を作ってくれた。
身体が冷え切っていたメンバーは味噌汁で身体の芯から温まった。
食事が終わり岳大がコーヒーを入れていると翔真が隣にやって来た。
「佐伯さん、今日はご指導ありがとうございました。俺、冬山登山は何度か経験があるんですが今日はかなりヤバかったです。今日佐伯さんに色々教えていただいてすごく勉強になりました」
「この辺りは次から次へ難所が来るから気が抜けなくて大変だったろう? でも翔真君の動きはとても良かったよ。やっぱり国内のあちこちの山を登って来ただけあるよ」
岳大に褒められたので翔真は嬉しそうだ。そして岳大から淹れたてのコーヒーを受け取った。
「ありがとうございます。うーっ、あったけぇ」
翔真は鼻の頭を真っ赤にしたままコーヒーを飲んだ。そこへベテランの小野と坂本も加わり明日のコースについて打ち合わせを始める。
翔真はベテラン勢が話しをしているのを見ながら憧れの人達の仲間に入れてもらえた幸せを噛みしめていた。
皆が寝る準備を始めても岳大はまだ焚火の前にいた。空を見上げると山の向こうに沈んでいくぎょしゃ座が見えた。
この時期のぎょしゃ座が天頂に来るのは午後5時前後だ。そして今そのぎょしゃ座は徐々に山の向こうへと沈み始めた。
岳大は携帯を取り出すと優羽にメッセージを送った。
「無事に2日目を終えたよ。今、目の前ではぎょしゃ座が沈もうとしているよ」
メッセージには雪山とぎょしゃ座の写真を添付した。
そして岳大は輝く星を見つめながら優羽の柔らかな肌と甘い香りを思い出していた。
その時優羽は流星を寝かしつけた後自室で本を読んでいた。そこへ岳大からのメッセージが届いたので驚く。
優羽は山は電波が届かないので携帯は使えないと思い込んでいた。
そして慌ててメッセージを開いた。
開くと同時に見事な写真が現れた。真っ白な雪山のすぐ傍に輝くぎょしゃ座がとても美しい。
ぎょしゃ座のカペラがひときわ明るく輝いている。その星の煌めきはとてもクリアだった。おそらく空気が澄んでいるのだろう。
優羽は嬉しくてすぐに返事を送った。
「カペラがとても明るいわ。無事に目的地へ着いたようで良かった」
「まだ2日しか経っていないのにもう優羽に会いたくて仕方ないよ」
岳大が珍しく甘いメッセージを送ってきたので優羽は驚いた。
山にいると孤独を感じ少し気弱になるのだろうか?
「すぐに会えるわ。あ、あと素敵な指輪をありがとう。とても嬉しかった」
「今も指にはめてる?」
「うん。24時間ずっと着けてる」
「優羽、立山で初めて出会った時の事を覚えてる?」
「もちろん。流星が転んだ時の事でしょう?」
「そうだよ。実はあの時僕はもう君に惹かれていたんだと思う」
そのメッセージを見た優羽はなんともいえない穏やかな表情になる。
そしてすぐに返信する。
「私もよ」
岳大は優羽の返事を見て微笑む。
「同じだね」
「うん」
「帰ったら優羽を朝まで抱くぞ」
「うん」
「一睡もさせないからな」
「フフッ」
「ベッドの中で君の指に光る指輪を見せてくれ」
「わかったわ」
「じゃあ明日に備えてそろそろ寝るかな」
「うん、明日も気をつけてね。おやすみなさい」
「おやすみ」
優羽が窓辺へ行き夜空を見上げるとちょうど森の向こうにカペラがキラリと輝くのが見えた。
3月の終わりのとても静かな夜だった。