TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

テントのペグを引き抜く音。ガサガサとブルーシートをたたむ音。


片付けが進むキャンプ場の中、3人は無言でそれぞれの作業を進めていた。



蓮司「……日下部、それ、どう考えても詰め方おかしい。バッグの外に寝袋ついてんの、野営ガチ勢だけだよ?」


日下部「中に入らなかった」


遥「もうちょい考えろよ……」


日下部「無理だった。遥、おまえの荷物、軽すぎじゃねえか?」


遥「寝袋持ってきてない。てか寒かった」


蓮司「……え、お前テントで寝てない?」


遥「起きてた」


蓮司「怖いなおまえ。あの夜中に、焚き火のとこで一人ぼーっとしてる高校生、ホラーだぞ」


遥「……お前が寝てたからだろ」


蓮司「俺のせいか。そうか」



荷物が整うと、3人はなんとなく歩き出す。

駅までの山道、くだらない話も、まともな話も、どっちも特に出てこない。


でも、不思議と沈黙が嫌じゃない。



蓮司「……帰ったら風呂入りてぇ」


日下部「着替え、ない」


遥「俺、洗濯してない。ずっと同じ服」


蓮司「お前だけ漂う“帰れない感”。いや実際、服より魂の洗濯必要でしょ」


遥「……殺すぞ」


蓮司「はいはい、元気で何より」



駅が見えてくる。日差しが強くなってきて、蓮司が小さく目を細めた。



蓮司「んー、なんかさ。……別に仲良くなったわけじゃねーのに、こうやって時間潰せるのって、ちょっとだけ、変じゃね?」


遥「変だな」


日下部「……変だけど、いい」


蓮司「……うわ、今のめっちゃ真顔で言ったな。ずるいな、そういうの」


遥「お前が言うなよ」


蓮司「自覚あるけど?」



電車の音が近づく。


ホームに立って、特に話さないまま、同じ方向を見ている。


誰も“また来よう”とは言わないけど、誰も“二度とやらない”とも言わなかった。


それが、この3人にとってのちょうどいい“距離感”だった。



無名の灯 余白、三人分。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

0

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚