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日暮ミミ♪
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気の無い返事をするフローチェに、ミランダとレネーナは眦を吊り上げる。
しかし、二人の中で打算が働いたのだろう。彼女たちは、噛みつくより情に訴えることを選んだ。
「お願いです!どうか妹に会わせてください!大切な……大切な妹なんです……」
「わたくしたち、妹が心配で心で、もうずっと眠れぬ夜を過ごしているんですっ」
眠れない夜を過ごしていると言いつつ、二人の目の下には隈など無い。
肌つやも良く、なんか記憶より二人そろって頬がふっくらしている。
探していると口では言っているが、ここに向かう道中、絶対にご当地の美味しいものをたらふく食べていただろう。
(なぁーにが大切な妹だ。けったくそ悪いっ。大切なのは、自分の保身じゃん)
よくもそんな嘘が吐けるもんだと、ベルは激しい苛立ちに襲われる。
その気持ちが、隣にいるモーゼスに伝わったのだろう。
皺がたくさんある大きな手がベルの頭に乗り、無言でよしよしと撫でてくれる。
尖った心が落ち着きを取り戻せた頃、サロンにいるフローチェが眉を八の字にして口を開いた。とても悲しげな口調で。
「ミランダさんもレネーナさんも、本当にお優しいわね。わざわざ国境近くの領地からこんな王都近くの街まで探しに来るなんて。……わたくし一人っ子だから、お二人のような妹想いの姉が欲しかったわ……でも、ごめんなさい。貴方たちのお力にはなれそうにないわ」
ふぅっと申し訳なさそうに言い切ったフローチェは、今、義理の姉二人が話していないことまで口にした。
しかしそれは、うっかりミスではない。わざと言ったのだ。突然押しかけて来た招かれざる客を牽制するために。
その意図に気付かないミランダとレネーナは、自分たちの要求が全く通らないこと怒りを覚え、取り繕うことを放棄した。
「ちょっと、人の妹を監禁しといて何言ってるの!?さっさとここに連れてきなさいよ!」
「そうよっ。あなた一体何様なの!? わたくしたちを馬鹿にするなんて身の程知らずもいいところだわっ」
(いや、身の程知らずは、あんたたちだ)
ベルは至極冷静に義理の姉二人に突っ込みを入れた。
同じケルス領の人間としてものすごく恥ずかしい。叶うことならフローチェに「うちの領民は、あんな常識ナシの大馬鹿者ばかりじゃないんです!!」と強く訴えたい。
そんなことを考えながらベルは居たたまれなさに耐え切れず、両手で顔を覆ったその時、場違いなほど穏やかなフローチェの声が耳朶に響いた。
「ところでお二人の妹のお名前をわたくし伺っていないんですけど……教えていただけるかしら?」
「アルベルティナ・クラースよっ!」
そんなこといちいち聞かないでよね!とでも言いたげに、レネーナは食い気味に言った。
その瞬間、フローチェは言質を貰ったと言いたげに「そう」とつぶやくと、猫のように目を細めた。次いでぽってりとした形の良い唇をゆっくりと動かした。
「あなた方が言っていた妹とは、ね」
ここで、一旦言葉を止めたフローチェはパチッと手を叩いた。
「きっとこの人のことでしょう……入室を許可するわ。入りなさい」
言うが早いか、廊下に控えていたメイドの手によって扉が開く。
すぐにお芝居でも見に行くような品の良いドレスを着た人物が入室した。
その人物とは──完璧に女装をしたラルクだった。
コメント
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おお、第75話!めっちゃ面白かったわ! フローチェ、あの義理の姉たちを相手に完全に余裕の立ち回り。名前を聞き出すところで「言質取った」感がすごいし、入室してきたのがラルクってオチには笑ったw しかも女装って…軍人がこんな場面で登場するとは思わんかった。ベルの「うちの領民はこんな馬鹿ばかりじゃない」って心の叫びにも激しく同意。続きが気になる!