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散って舞う

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散って舞う

24 - 願われた場所と死-2

♥

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2024年07月24日

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パチッと目を開けると次は今までの清潔感のあった部屋とは程遠い


飲みかけのペットボトルや脱ぎっぱなしの服、大きいゴミ袋が何個も。

黒統一の電気の付いていない暗い部屋に居た。

そこは居るだけで気味が悪くて吐きそうになる。


するとカチッと音がしてぼんやりとした白い光が部屋を照らした。

部屋が明るくなった事でよりいっそ汚さも見えて気分は最悪だった。


そしてその部屋に光を灯した人物はシルバーの髪色にウルフカット。前髪は前が見えているのか分からないくらいに伸ばされていて、洋服は黒のキラキラとした萌え袖の服とダボッとした黒のズボンを履いているいかにも地雷系で食事をとれているのか不安になる細さの20代くらいの男性だった。


男性が台所の前に立ちなにかをガサガサと探しているとチラッと耳が見えそこには何個も大量にピアスが付いて手首にはなにかで切った様な沢山の切り後が見えた。


「(なんか苦手なタイプだな…)」

と思っていると探していた物が見つかったのか手に大量ななにかを持って台所に乱雑に置いた。

何を置いたのかと覗きこむとそこには


風邪薬

頭痛薬

胃薬

咳止め

吐き気止め


と市販の沢山の薬が置かれていた。

男性は安心した様に狂った様に笑いながら

プチプチと1粒、2粒…3粒……

と取り出していった。正直見ていて気持ちが悪い。できる事ならその事から目を逸らしたい。

そんな願いを体は聞こうともしなかった。

そして山盛りになるまで沢山の薬を出し終えると


「ふっ……は、アハハ…」

と狂気じみた様に笑いながら泣いていて、次の瞬間


ガッ!と薬を鷲掴みすると口の中へとほおりこみボリボリも食べ始めた。

するとすぐに男性はフラフラとし始めてその状態のままお風呂場へと向かった。

それに私の体は付いて行った。


お風呂場のドアを開けると普通なら洗濯物をかける場所に縄がかけられていて男性は紐を掴み浴槽の上に立つと

縄で作られた輪っかに首を通し


浴槽から足を外し浮いた


「うっ……」

一瞬苦しそうな声を出した男性に慌てて


「何やってるの!?」

と声をかけた。

でも残念ながら私の声は相手には届かないみたいだった。


男性は時に身を委ねる様に体をダラっとし少しすると今までの2人同様ふわふわとした白いなにかが胸から出てきた。

そして同時に私はまた後ろへと引っ張られた。


パチッと目を開けるといつも通り砂利の道に綺麗な川が流れている場所。

自殺だ。

男性は自殺をした様だった。

また少し遠くから男性が歩いて来るとこちらでもフラフラとしていて首には縄で縛った様な青いアザがあった。


「ふ…ね…」

とどこか通り抜ける様に声を出すと川の前で立ち止まりゆっくりと足を入れた。

そしてバタリと倒れた。

私はまた後ろへと引っ張られた。


パチッと目を開けると次は夕日に照らされた通学路だった。

普段小学生が帰るには遅い。

そんな時間にいかにもやんちゃな小学生1年生が1人歩いていた。まだランドセルに背負わされていると言った方がいい位に背の低い男の子。


周りには自転車でどこかへ向かう男性や立ち話をしているおばさん達、部活終わりの中学生からまだ幼稚園児の子供と一緒帰っているお母さん。と 沢山の人がいた。

少し遠くからは公園で楽しく遊ぶ子供の声が響いて、 男の子は石を器用に蹴りながら歩いていた。


信号の無い横断歩道。


少し遠くには通学路を走るにはスピードの早いトラックがこちらへと向かって来ていた。


男の子はそんな事に気づきもせず蹴っている石に夢中で前も、横も見ず横断歩道へと飛び出した。


次の瞬間


ドンッ

と男の子と車がぶつかり鈍い音を出した。男の子はぶつかった衝撃で倒れていた。

そしてトラックは逃げる様にスピードをあげ走り出すと


「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」

と言う中学生の悲鳴と


「痛い!!痛いよっ!!!痛い!!!!」

と姿の見えない先程の男の子の苦痛の声が聞こ始めた。

周りのおばさん達は慌てて救急車や警察を呼んで幼稚園児の子供が居るお母さんは必死に子供の目を隠した。

そんな事が起きるまでの時間は約30秒。


私は何が起きたか分からない中とにかく男の子を探した。

ふと地面を見るとトラックの通った道路から引きずられる様に人の血が伸びていた。


「ひっ……」

思わず息をのみ手が震えているとそのトラックの下から男の子の先程よりもボロボロになった靴が出てきて


ゴトゴトッ!!

と音がするとランドセルの紐だけがトラックの下から顔を出し、男の子はその場に置いて行かれた。

どうやらトラックの下にランドセルが引っかかってしまい引きずられることになってしまった様だった。


男の子はと言うと引きずられていたであろう右半分は筋肉や骨が見えていて

左の手は大きな切り傷が何個もあり、足はタイヤに巻き込まれてしまったのかぐるりと皮膚が捻れ、筋あたりの場所がグチャリと骨や筋肉が顔を出していた。


男の子は引きずられなくなった安心感からか目をつぶった。

私はそんな男の子とは真逆であまりにも悲惨な姿から少し過呼吸になっていた。


目を逸らそうとしても体が言う事を聞かない。どうする事も出来ない私はただその悲惨な男の子を見る事しか出来なかった。

すると男の子の胸あたりからいつもの白いなにかが浮いてきてやっと私も後ろへと引っ張られた。


パチッと目を開けるといつもの川の場所にいた。

やっと目を背けられるとホッと肩を下ろすと遠くから元気な男の子の声が聞こえ


「(あの男の子かな?)」

と目をやると事故の後。引きずられた後の見た目で楽しそうに走りながらこちらへと向かって来ている男の子の姿があった。


「ひっ……」

とまた情けない声を出すと男の子は


「でっかい舟だー!!!!」

と見た目通りのやんちゃで元気いっぱいな声を出しながら舟に飛び乗る様に川へダイブした。


それでも川は水1滴も跳ねずに優しく男の子を受け止め、男の子は先程とは真逆で静かに意識を失った。


まだ私には恐怖心が残る中「知ったこっちゃ無い」と言いたげにまた後ろへと引っ張られた。

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