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(童ノ宮神社に隣接する公園のベンチに画面転換)
(宮司姿からラフな普段着に着替えた塚森レイジが
少し緊張した面持ちでカメラに顔を向けている)
塚森レイジ:
あれ?
……トウヤくん、ひょっとしてもう録画を始めてる?
トウヤ:
あっ、はい……。お疲れのところ、申し訳ないですけど。
(数秒の沈黙)
トウヤ(オフ):
と言うわけで――、修祓の祭祀を執り行って頂いた宮司の塚森レイジさんでーす!
塚森レイジ:
ど、どうも塚森レイジです……。
(画面下にテロップ:童ノ宮第125代目宮司 塚森レイジ氏)
トウヤ(オフ):
早速、今回のお祓いについて話を伺いたいんですが――。
一応成功したってことですよね?
「無貌」から出てきた黒い煙……、あれがあいつの本体ってことでいいんですよね?
塚森レイジ:
いや、あれは「無貌」じゃない。
……Aくんと言ったっけ。今回、あの呪物に憑かれてしまった子。
あの黒いのはね、Aくんの残滓だね。
「無貌」に吸い上げられたAくんの魂と言った方がいいかな。
神様が力を貸してくれたから、何とか解放することはできたけれど肉体のほう、
Aくんが元に戻ることは多分、もう……。
トウヤ(オフ):
それは……。そう、ですか……。
(かすれた声を発するトウヤ)
塚森レイジ:
柴崎博士は肉体さえ健康に保つことができれば、魂もまた回復するはずだと言っていたが――
どうだろうね。科学者じゃない、私にはわからないなぁ……。
(数秒間の沈黙)
トウヤ(オフ):
じゃあ、「無貌」は?
あいつは今、どういう状態なんですか?
塚森レイジ:
空っぽ、だね。言葉通りの意味で。
「無貌」の名前通り、あの怪異にはそもそも何もない。
人間に憑いてその感情を吸い上げ一つにして――、暴走させる。そして廃人にする。
たった一つの思いに囚われたまま凝り固まってしまえば、人間だって怪異と何も違わない。
「無貌」が地獄由来の怪異と言うならば、そう言うことを我々に伝えるがために
浮かび上がって来たのかも知れないね。
トウヤ(オフ):
……。
(沈黙)
(カメラが揺れ――、左にアングルを移動)
(ハルを片手で抱きかかえ、ブランコに乗っているマリンの姿を映す)
塚森レイジ(オフ):
そう言えば――、こうしてトウヤくん達と会うのも久しぶりだよね。
……トウヤくんは本当に立派だと思うよ。
ほんの数年前まで怪異とは縁遠い一般の人だったのに、仕事も生き方も全部変えてマリンちゃんやハルくんを守ってるんだから。
トウヤ(オフ):
立派?俺なんかが?(自嘲的に)どこがですか?
ハルのために何かしてやりたいってずっと考えてるのに何もできてなくて……。
嫁に対しても申し訳ない事だらけです。
塚森レイジ:
……トウヤくん?
トウヤ(オフ):
あ、すみません。変なこと言いました。
俺のできる事なんて、家族との今の生活ができるだけ破綻しないよう、
必死でしがみつくことぐらいですよ。
塚森レイジ:
(心配そうに)……無理はするなよ、トウヤくん。
君はもう十分、家族のために頑張っている。我々塚森家はいつだって君達の力になるからね。
トウヤ:
ありがとうございます、レイジさん。
……いえ、当主。
塚森レイジ:
よ、よしなさいよ。その呼ばれ方、苦手なんだって……。(苦笑い)
(スマホの着信音)
(カメラのアングルが動き、再び塚森レイジの姿を映す)
塚森レイジ:
――もしもし、キミカ?
……うん、今終わったところ。
神様のお陰でね、今回は何事もなく鎮まってくれた。
ああ、もうすぐ引き上げるから。
少し待っててね。
(スマホを切るレイジ)
トウヤ(オフ):
キミカちゃんですか?
……今、中一でしたっけ?
塚森レイジ:
うん。今日は休日だから修祓が終わるまでリョウ君のところで預かって貰ってたんだ……。
あ、トウヤくん達もちょっと家によってお茶でも飲んでいってよ。
マリンちゃんやハルくんに会えたら、キミカも喜ぶからさ。
トウヤ(オフ):
あ、それじゃ申し訳ないですけど、少しお邪魔しようかな……。
(画面暗転)
(スタジオに画面が切り替わる)
トウヤ:
はいっ、と言うことで――。
以上が今回の動画となります。
(BGM:エンディングテーマ)
マリン:
白虎機関の柴崎ゼナさん、童ノ宮の宮司塚森レイジさん!
その他取材に協力頂きましたみなさんには大変お世話になりました。
トウヤ&マリン:
本当にありがとうございました~!
ハル:
じゃあまた、次回の動画でね~!
チャンネル登録、ヨカッタネも忘れずに~!
(画面暗転)