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1話 出立
ここはクレリック王国の中心部の神殿
多くの聖職者が各々の仕事をこなす場
神殿の中央にある祈りの間には神殿の司祭と金髪に水色の瞳の女性がいた
彼女の名前はリナエール、小さい頃から神殿に仕え聖女の務めを果たしていた
司祭「さて、リナエール…呼ばれた理由はわかっているだろうな」
リナエール「はい…神秘の力ですよね」
神秘の力は初代聖女の血筋の者にしか使うことができない
リナエールはそんな初代聖女の力を受け継ぐ聖女なのだが
臆病な性格のせいなのかまだ聖女の持つ神秘の力を上手く解放できずにいた
司祭「リナエールはよく頑張ってきたと思う、初代聖女の血を引いているから他のものより強いのも知ってる」
リナエール「お褒めいただき光栄です」
司祭「しかし性格が皆より劣っている」
リナエール「申し訳ありません…司祭様のおっしゃる通りです」
司祭「しかしだからと言ってそなたを追い出すなどできるわけがない」
初代聖女の血を引くものはものすごく重宝される
それがどれだけ見た目が劣っていようが、何もできなかろうが同じ待遇を受けるのだ
それはリナエールもそうだ
臆病で自分の意見も言えず神秘の力をうまく解放できない期待の薄い存在
ここにいられるのは初代聖女の血筋であるからだ
だから他の聖女から妬まれるし嫌がらせや影口なんて日常茶飯事だ
“使えない無能な臆病聖女”
それがリナエールの周りからの評価、見え方である
司祭「しかし今このクレリック王国は危機に面しておる」
リナエール「私の力不足で皆を危機に晒してしまったことは理解しています…」
司祭「状況は把握しておるようだな」
リナエール「極限まで弱っていた魔王が力を取り戻しつつある…ですよね」
クレリック王国は以前から魔王の影に怯えてきた
魔王に立ち向かう術などなく日々魔王の影を気にして生きてきた
そんな魔王に立ち向かう一人の女性がいた
彼女は神秘の力を使い魔王の力を極限まで弱め国を救った
それが初代聖女のことだ
国に伝わる伝説の御伽噺にもなっている
代々初代聖女の血を受け継ぐものは魔王の力を唯一抑えられるため重宝されるのだ
しかしリナエールは一度も神秘の力をうまく解放できずそれを好機と捉えられ魔王に力を取り戻されつつあったのだ
司祭「決してリナエールが悪いわけではない…だが魔王が完全に力を取り戻してしまうと我らも困るのだ」
リナエール「………」
司祭「そこでリナエールには1つ頼みをしようと思ってな」
リナエール「頼みですか?」
司祭「魔王の討伐をしてくれないだろうか」
リナエール「魔王の…討伐…ですか…?」
司祭「ここまで力を取り戻した魔王の力を弱めるのは至難の技だろう…だとしたら討伐してしまった方が皆も安心するだろう」
つまりはリナエールを追い出すということをオブラートに包んで言っただけ
一応初代聖女の血を受け継いでるのだから最後くらいは民のために役に立てということだ
誰もリナエールには魔王を打ち倒すことなどできないと思って期待もされてない
きっと皆役に立たないリナエールを喜んで送り出すだろう
力を解放できない邪魔な存在を国から追い出すことができるのだから
司祭「何もリナエール1人に行かせるわけではないから安心しろ」
リナエール「え…?」
司祭「リナエールは初代聖女の血を引くもの、護衛をつけることにした、入りなさい」
祈りの間の扉が開き男性3人と女性2人が入ってきた
司祭「騎士のルイス、魔法使いのレイム、弓使いのミーナ、スナイパーのカルタ、治癒士のフィオ、この5人を護衛につける…全員腕は立つから安心しなさい」
リナエール「お心遣い感謝いたします、司祭様…」
司祭「荷物をまとめ次第出立してくれ」
リナエール「わかりました」
祈りの間を出て自分の荷物を纏める
持っていくのは小さなカバン1つだけ
ミーナ「リナエール、準備終わった?」
リナエール「ミーナ…弓使いの試験…受けさせてあげられなくて…ごめんね」
ミーナ「リナエールのせいじゃないし、アタシは自分から護衛役に立候補したの、勘違いするなよ?」
ミーナはリナエールと昔から仲良くしてくれてる幼馴染の一人で心強い味方である
ミーナの話によると護衛役は皆リナエールを信頼してくれてるらしい
ミーナはリナエールの荷物を持つと神殿の出口に向かう
ルイス「荷物はそれで全てか?」
リナエール「はい…全てです…」
レイム「少ないな…」
カルタ「聖女様の護衛なんて光栄です!」
リナエール「あ、あの…私…敬語使われるの…苦手ですから…使わなくても…それに…私みたいな…役立たずには……」
フィオ「この5人の中にはそう思ってる人はいないよ、大丈夫だから」
ミーナ「そうだ!リナエールは絶対に歴史に名を残す立派な聖女だ!」
ルイス「それでは出発しようか」
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