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(海辺。白い砂浜。観光客の声と波の音。青い空の下、三人は水着に着替えて浜に立っている)
蓮司「っし、やっぱ海はこうじゃなきゃなー。空も波も、全部夏!」
(日下部はタオルを肩にかけ、日焼け止めを塗りながら苦笑)
日下部「元気だな。……遥は?」
(振り向くと、遥はTシャツを着たまま足先だけ波に入れている)
蓮司「おいおい、せっかく海来たのに服着たままかよ」
遥「……焼けると痛い」
日下部「そういう理由か?」
遥「……あと、冷たい」
蓮司「子どもかよ」
(日下部が砂にタオルを敷いて、クーラーボックスを置く)
日下部「無理に泳がなくてもいい。砂浜で座ってても楽しいだろ」
蓮司「甘やかすなよー。せっかく来たんだし水に入れよ。……ほら!」
(蓮司がいきなり遥の腕をつかんで引っぱろうとする。遥が抵抗)
遥「……やめろ!」
(日下部が間に入って止める)
日下部「おい、嫌がってんだろ」
蓮司「ちょっと足つけるだけだって」
遥「……嫌なもんは嫌」
(日下部に庇われて遥が少し肩をすくめる。蓮司は手を離し、肩をすくめて笑う)
蓮司「はいはい。チキンだな」
遥「……チキンじゃない」
日下部「言い返せてんじゃねぇか」
(遥はむすっとしながらも、砂を指先でいじる)
(しばらくして、蓮司がビーチボールを持ってくる)
蓮司「んじゃ、浜辺でやるか。こっちなら遥も参加できるだろ?」
日下部「それなら……まあいいか」
遥「……俺、下手」
蓮司「大丈夫だ、俺らがフォローすっから」
(三人でビーチボールを軽く打ち合う。最初は遥の動きがぎこちないが、何度か続けるうちに返せるようになる)
日下部「ほら、できてるじゃねぇか」
遥「……たまたま」
蓮司「言い訳ばっかだなー。でも顔ちょっと笑ってるぞ?」
遥「……笑ってない」
(日下部はその様子を見て、安心したように息をつく)
(ゲームの途中、蓮司がわざと大げさに砂に転がる)
蓮司「うわっ! 俺、溺れるー!」
日下部「砂浜で溺れるか」
(遥が少しだけ吹き出す)
遥「……アホ」
蓮司「お、笑ったな? 証拠押さえたぞ」
遥「……うるさい」
(その後、三人は浜辺に座り、飲み物を片手に海を眺める)
日下部「……なんか、こうしてると普通の高校生だな」
蓮司「“普通”って案外特別なんだよ」
(遥はその言葉に一瞬だけ目を伏せるが、すぐに海を見つめ直す)
遥「……波、きれい」
日下部「そうだな」
蓮司「おー、ポエマー遥くん。記念に録音しとく?」
遥「……消せ」
(三人の笑い声が波音に混じる)