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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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ハジメテではないと言っていたけれど、慣れていないことはすぐに分かった。

どこをどう触っても敏感に反応し、何を言っても何をしても恥ずかしがって顔を背け、声を堪える。

その姿がまた可愛いから堪らない。

「ん……っ」

長い黒髪がベッドに広がり、揺れる。

透き通るような白い肌が、火照り、色づく。

「気持ちいい?」

キスの合間に聞くと、椿は涙を浮かべて小さく頷いた。

押さえつけられていた胸もそうだが、大きめのTシャツや、作業服に隠れていた身体は、驚くほど魅惑的。

全身にキスをして、紅い花を散らす。

「椿……」

身体を起こして、彼女の両膝を曲げ、広げ、露わになった秘部に顔を寄せる。

湿ったソコに息を吹きかけると、椿の腰が浮いた。

「やっ――」

大きく口を開けて、食いつく。

「ひゃぁっ!」

悲鳴にも似た声が寝室に響いた。

ゆっくりと下から上へと舌を動かす。

「あ……あぁっ――!」

太腿が震え、腰が強張る。

何度も何度も舌を上下させ、時々吸い付いたりして、柔らかな蕾が色づいて膨らみ、尖っていくのを待つ。

「やっ、や――、あっ――!」

視線を上げると、椿は両手で顔の横のシーツを握り、蕩けた表情で喘いでいる。

こんな彼女を見た男がいる。

ふっとそう思うと、無性に苛立った。

俺にだって過去に女がいて、嫉妬されたってそれは変わらなくて。だから、俺が椿の過去に嫉妬したって、彼女も困るだけだし、そもそも嫉妬できる立場にもない。


ん?

セックスしたら……?


今度は焦りが生まれた。

その焦りを、不安をかき消すように、より激しく舌を動かし、強く吸い付くと、椿の腰が大きく跳ねた。

「ひゃあっ! んんっ――!!」

規則的に腰が緊縮し、達したのだとわかった。

口を離し、自分の唾液と彼女の愛液を指に絡ませて、ゆっくりと入口を撫でてほぐす。

大きく、小さく、強く、弱く。

それから、ゆっくり、ゆっくり、彼女の膣内なかに指を差し込んだ。

「いっ――」

え――――!?

椿の表情が歪み、それまでとは明らかに違う声色で呻く。


『いい』の『い』じゃないよな……?


久し振りだからではないかと、第二関節の少し手前で指を止め、胸への愛撫と同時に第一関節を曲げてみる。


せま……。


「う……っ」

すぐに指を抜き、椿の顔の位置まで上体を伸ばす。

「ごめん」

椿が首を振る。

「ハジメテ……ではないんだよな?」

椿が頷く。

「久し振り……だから……」

「どのくらい……?」

「……十年……くらい……」


十年!??


椿は明日で二十八歳になる。


明日――!?


ベッド横のチェストの上の時計をバシバシ叩き、ライトをつける。

零時三分。

「誕生日おめでとう!」

「え――?」

椿の瞳がまん丸に見開かれ、美しい碧が輝く。

「やった! 最初に言えた」

言ってから、驚いた。

おめでとうを最初に言えたことが、こんなに嬉しいなんて。

裸で、セックスの最中で、挿入まで辿り着けるかもわからない中途半端な状況での、おめでとう。

かなり格好がつかないことは自覚しているが、それでも、日付が変わったこの瞬間に言えたことが嬉しかった。

「おめでとう」

もう一度、冷静に言う。

椿の碧い瞳が見る見る間に輝きを増し、こぼれた。

「ありがとう……ございます」

無音の寝室で、彼女の涙がシーツに落ちる、ポタッという音が聞こえた。

なぜ、泣いているのか。

もう、酔いは醒めているのか。

この状況を後悔しているのか。

彼女の気持ちは何一つわからないけれど、後悔されているのなら嫌だなと思った。

「キス……していい?」

今更だ。

散々、めちゃくちゃ濃厚なのしたくせに。

だけど、今は、ちゃんと、椿の意思で受け入れて欲しかった。

そうでなければいけない気がした。


受け入れて欲しい……。


聞いた意味があったのか。

願望が見せた幻覚かもしれないとすら思えてしまうほど、俺は彼女を欲していた。

だから、頷いたように見えただけかもしれない。

けれど、そう見えてしまったら、止まれるはずなんてなくて。

「好きだよ、本当に」

椿の唇は、泣きたくなるほど温かかった。

さあ、ふたりの未来を語ろう

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