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午後十一時。私は暗く静まり返った部屋の明かりをつけ、十時間履いたストッキングを脱ぎながらソファに倒れこんだ。

「疲れた……」

呟きながら低い天井を見上げて、大きなため息をつく。仕事上、飲み会やランチ会などの誘いは必ず参加するが、頭と耳をフル回転させて情報を収集するため、帰宅後は耳鳴りや頭痛に悩まされる。


課長、楽しそうだったけど、結局ビール一杯しか飲んでなかったな……。


私はゆっくりと目を閉じ、大きく深呼吸をした。そして、目を開けると、足元のクッションに滑り落ちた。テーブルに置かれたファッション誌の間に挟んであるノートを取り出し、ページをめくる。

『三月二十日 牧課長の送別会

顧客管理部近藤和也、不正経理の疑い。三月十一日の出張及び接待記録を確認。

新川愛、医師との合コンに参加。恋人の横田大基にばれて破局。

青山奈々、ブランドアクセサリーを多数購入、パトロンがいるらしい。

新任課長については発表なし……』

今日の新着情報を次々と書き込んでゆく。

思い出せる限りを書き終え、ノートを閉じると、私は黒い鞄の奥から封筒の束を取り出した。テーブルに置かれたペンケースからカッターを取り出し、すべての封を切る。一通ずつ目を通し、返事の必要を見極める。


今日は収穫なしかな……。


そう思って手にした最後の一通を読み終え、私は先ほど情報を書き込んだノートを開いた。

手紙の内容と見比べ、「ビンゴ」と呟くと、私は手紙をそのページに挟んで、前のページをめくった。三ページ前に欲しい情報を見つけると、無意識に私の顔はにやけていた。

女は秘密の香りで獣になる

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