コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
キッチンは料理をしたり洗い物をしたりする空間だ。それ以外の使い道なんてワタシは知らないのだが、スキアは違うらしい。彼の口から出てきた『キッチンプレイ』という単語を聞いて、最初はてっきりおままごとに使うキッチンセットとかの話をし始めたのかと思ったのだが、呆れた様な視線を向けられたので流石に間違っている事に何となく気が付いた。それと同時に着ていた服のエプロン以外の一切を瞬時に消されてしまったので、それは確信に変わった。
普段は垂れ目がちなのに妙に色っぽい雰囲気のある瞳が、今は据わっているような気がする。ぎゅっと容赦なく抱き締めてくる腕の力はやけに強くって骨から少し軋む様な音がしたが、彼に『ちょっと痛い』と伝える前に、スキアの大きな手がワタシのお尻をもにゅっと掴んできた。
「んんんっ⁉︎」
スキアの手品で服が消えているせいで彼の手が直にワタシのお尻に触れてしまっている。恥ずかしさから体を少し捩ってみたのだが、全然彼の腕からは逃げられない。『夫婦らしい事』ってもしかして、い、いやらしい事でもする気なんだろうか?
(だけど、こ、こんな、場所で?)
で、でも確か、特殊性癖を持つヒト達はベッド以外の場所ででも、そういった行為をする場合があるという。まさか、スキアはそういう類のヒトなんだろうか?だから此処でワタシをこんな格好にしたのだとしたら、この先の行為は火を見るよりも明らかだ。
「ね、ねぇ、スキア」
「——ん?」
心ここにあらずといった声が返ってくる。本当にこのままこんな場所で不埒な事をされてしまうのかもと思った時、脳裏に夜の行為が蘇った。毎夜の様に下着の中に手を入れられ、ゴツゴツとした男性らしい指が体のナカを容赦無く弄ってきた感覚を思い出してしまい、その感覚が勝手に体中を駆け抜ける。彼はただ、契約印が体内にあるので、仕・方・な・く、ワタシのナカに触れてきているだけなのに、触れられる度に可笑しな反応をしてしまっている自分の姿を客観的に捉えてしまい、今更すごく恥ずかしくなってきた。
彼の背に腕を回して服をぎゅっと強く掴む。お尻を揉んだり、撫でたりされているせいで、このままではまた変な声が出てしまいそうだ。昨夜だけじゃなく、その前も、更に前も。執拗にナカを弄られ、我慢が出来ずにアホな声や熱い吐息が口からこぼれ出てしまった。ただ彼は魔力を馴染ませているだけなのに、スキアに触れられると頭の中が真っ白になってしまうのは、優しく丁寧に、傷が付かない様にナカがたっぷり濡れるまでゆっくり触れてくるせいだ。正直、今まで全く経験のなかった感覚を知っていく心地良さもあって、いつも抗えない。きっと他者が自分だけを見てくれているという事への喜びも加算されるせいもある。
「…… あれ?もう濡れてきたのか」
その一言でビクッと体が跳ねてしまった。そのせいか、一層ナカから液体が溢れ出して太腿をつつっと伝い落ちる。まだお尻しか触られていないのに、別に彼はいやらしい事をしようとしている訳でもないだろうに。
「じゃあ、後ろを向いて、両手はそこを掴んでて」
スキアがそう言ってキッチンの洗い場を指差しす。でもそんな事をしたら、背中側が全て彼に見られてしまうじゃないか。 躊躇し、「で、でも、そうしたら、見え…… 」とまで言って口籠ったワタシを見下ろし、「だから、だろ?」と冷たい視線を向けながら返されてしまう。
(あ…… 。これは、自分が何かしてしまったんだ)
やっとスキアの心情を察し、恥ずかしさのせいでゆっくりとではあったが、言われた通り背後をスキアの方へ向けた。さっきまでは上がっていた尻尾が、今の感情と連動して一気に下がったが、そのおかげで恥部を隠せたので返って良かったのかもしれない。
「もしかして、今日は明るいから恥ずかしい?」
耳元で囁かれてまた体が跳ねてしまった。喋り方は少年っぽいのに、低音の声質が色っぽ過ぎて脳に響く。
「う、うん…… 」
素直に頷くと、クスッと小さな笑い声が背後から聞こえた。
「顔どころか、首まで真っ赤だ」
うなじを指先でそっと撫でられ、獣耳を甘噛みされる。「ひゃんっ!」と変な声をあげて背中を反らせると、スキアが、のけぞった背中のラインを楽しむみたいに舌先を這わせてきたせいで、ゾクゾクッと、寒気とはまた違った感覚で体が震えた。
「気持ちいいみたいだね。…… 好き、か?舐められるのは」
はぁはぁと息が乱れ、頭が働かず、すぐに返事が出来ない。
「じゃあ、噛んだりとかは、どうだ?」
耳だけでも変な感じがしたのに、背中や腕といった具合にあちこちをかぷりと噛まれ、そのたんびに甘ったるい息を吐き出してしまう。脚がガクガクと揺れて力が入らない。
昨日まではされていなかった事をされて目の前にチカチカと火花が散った。その場で崩れ、ペタンと座ってしまいそうになる体を掴んで、スキアが支えてくれる。
「身体中を噛まれるのが好きとか、ルスはイジメられたい子だったんだな」
また耳元で囁かれるとか、脳にめちゃくちゃ響くので本当にやめて欲しい。なのに、もっとして欲しいとも同時に思ってしまい、返事なんかする余裕は全く無かった。
「こんな場所で、こんな明るい中でイジメられて気持ち良くなっちゃうだなんて…… とんだ変態だな」
ワタシに対して呆れていそうな発言をし、体を支えてくれていた手がじわりと動いてスキアが再びお尻の辺りをまさぐってきた。
(ワタシが、変態?そ、そうなの?…… だから、さっき冷めた目で見られたの、かな)
胸の奥がチリッと痛む。それと同時に、そんなふうに見られているのかと思うと、より一層顔が真っ赤に染まった。途端に羞恥で頭の中がいっぱいになり、反射的にこの場から逃げ出したい気持ちで体が勝手に動く。
「おいおい、逃げるのか?“夫”から?」
不快そうな声と共にスキアの体が後ろから覆いかぶさってきた。体格差のせいで拘束でもされたみたいに動けなくなる。
「は、はずか、しくて…… つい、反射で」
「僕しかいないんだから、気にする必要は無いだろ」
スキアに見られるのすらも恥ずかしいのに、離してくれる気配は全くない。それどころかお尻に触れていた手が濡れそぼる箇所にまで移動していく。
「——っ!」
口元を引き絞り、必死に溢れ出そうな声を腹の中に飲み込む。なのにその努力はスキアの太い指が容赦無くナカに入り込んできたせいで、一瞬にして崩れ去った。
「んあぁぁぁっ!」
ビクッと激しく体が震え、ぷちゅっと大量の液体が秘部から噴き出した。スキアの綺麗な手が濡れたが、彼は構わず隘路を撫でてくる。
(魔力を流し入れているだけ、魔力を流し入れているだけだから!——だって、スキアがそう言っていたもんっ)
自分に言い聞かせるみたいに心の中で唱え、声を我慢しようと自らの手の甲を噛んだ。だがその事に気が付いたスキアがワタシの顎を掴んで無理矢理に引き剥がす。
「簡単に治せるからって、安易に自分を傷付けるな」と言い、口蓋を撫でるみたいにスキアが指を突っ込んでくる。上に下にと彼が入り込んでくるせいでワタシの唾液と液体とで美しい指を汚してしまっているのに、彼は全然気にしていないどころか、チラリと見えたスキアの青鈍色をした瞳はやけに興奮している様に感じられた。
(…… 魔力を、馴染ませているだけ…… だよ、ね?)
子宮口までも届くくらいに長い彼の指が、じゅぼじゅぼと淫猥な水音がキッチンに響くくらいに動くせいで訳が分からなくなってきた。『魔力をワタシの体に馴染ませるだけなのに、ココまでする必要はあるんだろうか?』とちょっと思っても、その考えは、的確に気持ちいい箇所を擦り上げてくるせいですぐに霧散していく。
ただただ彼の与えてくれる快楽が気持ち良くって勝手に腰が動き、もっともっとと強請ってしまう。もう『恥ずかしい』とか、『何で?』だとか、そんな事は瑣末ごとに思えた。この時間がいつまでも続けばいいのにとすら考えてしまう。
「あぁ…… 君のその顔が、僕は見たかったんだ」
だらしなく開いた口は彼の指が入り込んでいるせいで唾液が溢れ出るままに流れ落ち、目は焦点が合わない。絶対に酷い顔をしているっていうのに、そう言ったスキアの顔は何故か愉悦に満ちていた。