「どう? こうやって髪をアップにするといいわよね?」
凪子は髪を持ち上げたまま二人にその姿を見せる。
その瞬間、男性店員がハッと息を呑んだのがわかった。
スタッフは色っぽい凪子の姿をうっとりと見つめている。
その視線は、まさに『オトコ』としての視線だった。
それに気づいた良輔は、その空気を遮るように強い口調で言った。
「こっちも凄く良く似合ってるな」
その声にハッとしたスタッフは、
急に表情を営業スマイルに戻して言った。
「本当に良くお似合いでございます」
そんな男性店員の様子が気に入らないのか、
良輔は不機嫌な顔をしている。
しかし凪子はそんな良輔の様子に全く気付いていなかった。
「じゃあ二着とも買っていい?」
「もちろん」
良輔は笑顔で答えると、
「じゃあこの二着を!」
と男性店員に告げ、クレジットカードを渡した。
会計を待っている間、凪子はショップ内をまだ見ている。
凪子の後ろ姿を見ながら良輔は思った。
(あの若造、凪子に色目を使いやがって…まるですぐにでも凪子を押し倒しそうな目つきだったぞ! フンッ、だがそうはいく
か! 凪子は俺の妻なんだからな。あんなチャラい若造に指一本でも触れさせてたまるか。それにしても凪子は本当にイイ女
だ。特に今日の凪子には色艶がある。今夜は久しぶりに抱いてやるか……)
良輔はニヤッと笑うと凪子へ近づく。
そして棚の服を見ている凪子を、後ろからギュッと抱き締めた。
「なんか今日はやけにそそるな…」
背後からいきなり抱き締められた凪子は、びっくりして思わず声を上げそうになる。
それと同時に体中に鳥肌が立った。
今まで夫に抱き締められて、鳥肌なんて立った事はない。
これは凪子の身体が夫を拒絶している証拠だ。
今自分の腰に巻き付けられている夫の腕が、
昨夜絵里奈を抱いていたかと思うと、軽い吐き気を覚える。
しかし、凪子の鳥肌に気づいた良輔は凪子が喜んでいると勘違いしているようだ。
そしてご機嫌な様子で凪子の耳たぶを軽く噛んで言った。
「今夜、久しぶりにしよっか」
その言葉を聞き、今度は寒気が走る。
それと同時に、あのブログの文章が凪子の頭を過る。
【夫から求められたら必ず応じましょう。あなたが嫌なのはわかります。拒否したい気持ちもわかります。しかし我慢して応じ
て下さい。そうしないとまずいのです。なぜまずいかというと、あなたが拒否すればあなたの方が不利になります。
夫が妻にセックスを求めるのは当たり前の事です。それをあなたが拒否したとなれば、夫はそれを理由に不倫に至ったと主張す
るでしょう。ですからまだ戸籍上の夫婦である以上、夫の求めには素直に応じて下さい。そして、その際に絶対に忘れてはいけ
ないのが避妊です。くれぐれも妊娠しないように注意して下さい。避妊の方法については、過去記事にまとめてありますので、
そちらをご覧下さい】
(そうよ…疑われない為にも我慢して応じないと…)
凪子は一度深呼吸をすると、わざと明るい声で言った。
「いやんっ、こんな所でそんな事言わないでー」
凪子の甘えたような声を聞いて、良輔は満足気な様子だった。
そしてもう一度凪子をギュッと抱き締めると、今度は凪子の尻に自分の硬いモノを押し付けながら言った。
「ハハッ、帰ったら思いっきり可愛がってやるからな!」
良輔はそう言って再び凪子の耳たぶを噛むと、
最後にもう一度腰をグイッと押し付けてから漸く離れた。
その途端凪子はホッとする。
新婚の頃はよくこんな行為をされた。
あの頃は嫌ではなかった。むしろ嬉しかった。しかし今は嫌悪感しかない。
今凪子の心の中は、虚しさでいっぱいだった。
コメント
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浮気,不倫する人って自分のこと棚に上げて人のこと非難するんだ👀👎挙げ句の果てに店の中で夜のこと仄めかして恥ずかしくないんだか😡💢凪子さんが何も知らないと思ってるのも失笑で、デキる女凪子さんに復讐されて全てを失って泣けばいい🤭 でも良輔、その復讐は今始まったばかりだから先は長いよ〜😈😈😈