テラーノベル
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結局、ベルの訴えは棄却され、レンブラントは御者席に座ることになった。
御者席に座ったレンブラントに毛布1枚と薬箱を与えたのは、フローチェにも人の心があったということか。
色々思うところがるベルは、ぎゅっと口を閉じて大人しく馬車に揺られている。
向かいの席に座るフローチェといえば、ベルの複雑な気持ちに気付いている様子はなかった。
「ベルちゃん、寒くはないかしら?」
「大丈夫です」
「まぁ、嘘はいけませんわ。さぁ、こちらにいらっしゃい。わたくしが温めてあげますから」
「いえ、大丈夫です。それにフローチェ様のお召し物が汚れてしまいますから」
「……いじらしいわね。なんて、可愛いらしいのでしょう。はぁー……好き。大好き。さ、早くこちらに来なさいな」
両手を広げて目を細めるフローチェは、控えめに言って不気味だった。
ベルは未確認生物を見たような表情で、首を横にふるふると振る。そうすれば、フローチェはうっとりとした目付きになった。怖い、怖すぎる。
自分の言動が彼女のツボを刺激しているのはわかるし、好意的に接してくれているのもわかる。
しかしこれまで虐げられ、人との関わりが稀薄だったベルからすれば、理由もわからず距離を詰められることに嬉しいと思うより困惑する気持ちのほうが強い。
さりとて恩人の彼女の機嫌を悪くするのは、愚行である。
だからなるべくフローチェを刺激しないよう、空気と化す努力をしているのだが、どうも上手くいっていない。
ならば思い切って、尋ねてみよう。
「……あのう、聞きたいことがあるんですけど」
「あら何かしら?お夜食のリクエスト?それとも、ベットカバーの柄が気になるのかしら?それとも──」
「申し訳ありません、全然違います」
「そう……残念だわ」
しゅんと肩を落としたフローチェは、とても可憐だった。
月の明かりすら雲に覆われていた真っ暗な森の中で、美人だとわかっていたが、そこそこ明るい車内で見る彼女は女神のように美しい。
陶磁器のような滑らかな肌。ぽってりとした唇。紫色の瞳は完璧なアーモンド形だ。少し乱れた茜色の髪は、妙に艶かしくて、同性だというのに大人の色気を感じさせる。
(あの人は、こういう女性がお好みなんだ。ふぅーん……趣味はいいじゃん)
ちょっとだけ上から目線で、そんなことを現在御者席で生死の境目をさ迷っているであろう彼に向けて言ってみる。無論、心の中で。
すぐチクリと胸が痛んだのは、怪我人相手にそんなことを言う自分に神様が罰を与えたからなのだろうか。
ベルは胸に手を当てながら、むむっと呻いてみる。
「……ベルちゃん?」
気遣うフローチェの声がやけに遠くに聞こえた。
でも、ベルは返事をすることができなかった。急に襲ってきた寒気のせいでカタカタと唇が震えて、声を出すことができないのだ。
毛布はレンブラントと違い4枚も身体に巻き付けているのに、凍えそうなほど寒い。これも神様からの罰なのだろうか。
そんな的外れなことを考えるベルは、この雨のせいで熱を出してしまった。
「ちょっと、ベルちゃんっ。しっかりしてっ」
ひたりと額に冷たい手が当たったと同時に、フローチェの切羽詰まった声が遥か遠くから聞こえる。
(あ、大丈夫です。こう見えて、年の割にはしっかりしていますので)
そう返事をしようとしたベルだったが、鈍器で殴られたかのような頭痛に襲われ、そのまま意識を手放してしまった。
日暮ミミ♪
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鷹槻れん

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#ハッピーエンド
れもん データ飛んだ人
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コメント
1件
ベルちゃん、寒さで熱出しちゃったの!!😭💦 フローチェ様の不気味な愛情表現とベルの困惑が面白すぎてニヤニヤしたよ〜「あの人はこういう女性がお好みなんだ」って心の中でレンブラントに上から目線するの、ちょっと可愛いし嫉妬じゃん??笑 続き、レンブラントが御者席で生死の境なのにどうなるの…!?次回が待ちきれないよ〜🌸