テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
ほ、ホラー展開…ですね。本当に意味深です…。その溝も、何もかも全部意味があってのことなのでしょうかね…。書庫なのかも図書館なのかもわかりませんが、途中途中図をくれるのが本当にありがたいです!!そして絵について…は、余りわかりませんが、もしかしたらその絵を買った方について関係あるものとか…?本当に茨さんは語彙力がありやまりすぎますね…。ちょっと分けてほしいです!!お体に気をつけて頑張ってください!!
※あらすじの注意書きをしっかり見てからご覧ください。
2.摩訶不思議な図書館
倉森が手に取った本は童話だった。 「いるかのなみだ」という題名だ。おそらく子供向けだと思われる。 ページを捲ると、やはりどこもかしこも濡れていた。字や挿絵が滲んでいて読みづらい。
だが、読めないわけではなかった。
ーいるかのくーちゃんは、ずっとひとりぼっちだった。広い海の中を、1人で泳ぐだけの毎日。くーちゃんはそれが大嫌いだった。だから、近くの貝殻やわかめにいつも話しかける。喋れないってわかってても、話しかけた。ー
倉森「これお前好きそうだな。」そう言って、隣にいる赤山に見せた。
赤山「バカにしてるんですか?」赤山はイラっときた。
倉森「そうじゃない、俺にはわからない話だったんだよ。『イルカが喋るわけないだろ』と、生物学的なことしか俺は考えられんからな。」
赤山「まぁ…確かにあなたは想像力が豊かではありませんね。ドラえもんやアンパンマンもフィクションとして見れないんでしょう? 」
倉森「ああ。タイムマシーンなんて無理だし、食べ物が喋るのもありえないからな。」
倉森は、おとなげない割にそういうのには興味がなかった。
倉森は次のページをめくった。
ーある日、くーちゃんはお星様にお願い事をした。「お願いお星様…僕にお友達をちょうだい…」くーちゃんは1人、眠りについた。
朝、目が覚めると、くーちゃんの前には大きなサメがいた。銀色の体に、ギザギザの歯。目はとんがっていて、頬には大きな傷跡が。くーちゃんはびっくりしてひっくり返った。するとサメは、『がっはっは!面白い動きをするやつだ!』と大きな声で笑った。 「あなたは誰なの…?」くーちゃんはサメに尋ねた。すると、『俺はシャーくんだ。遠い遠い海から、友達探しをしにやってきたのさ。』と、サメは答えた。くーちゃんは、初めて生きてる海の子と出会えて、とても嬉しかった。「僕と友達になってよ!」サメのシャーくんは『もちろんだ!』と、こちらも嬉しそうに答えた。ー
ー2匹は、毎日遊んだ。貝殻を使って神経衰弱をしたり、綺麗な石ころで宝探しゲームもやった。2匹は、ずーっと楽しい時間を過ごした。
でもある時、シャーくんが姿を消した。心配になったくーちゃんは、いろんなところを探し回った。すると…
『ムシャムシャ…美味い美味い…!ムシャムシャ…ムシャムシャ』
シャーくんの声が聞こえた。くーちゃんは、いつもと違うシャーくんの声が少し怖くて、ゆっくり後ろから、岩陰を覗いた。
そこには、くーちゃんとそっくりなイルカ達をムシャムシャと食べるシャーくんがいた。
くーちゃんは驚いて声も出なかった。シャーくんはくーちゃんに気づくことはなく、ずっとイルカ達を食べていた。
くーちゃんは遠くへ逃げた。逃げて逃げて、何もない海に来た後、静かに涙を流した。
「周りに誰もいなかったのは、シャーくんが全部食べてたからだ…良い友達ができたと思ってたのに…」
そしてくーちゃんは、誰にも会えなくなったのでした。ー
倉森は思わず唖然した。「こんな子供向けみたいな表紙して、表示詐欺だろ!」と暴言すら吐いた。 倉森はため息をついた後、元の本棚に本を戻して、次々と別の本を読んでいった。
一方、赤山は倉森の場所を離れ、奥の部屋へ続く2つの廊下の絵画を眺めていた。
赤山「何か一貫性はないのかな…」じっくりと、その濡れた絵画達を見つめている。赤山はペンとメモ帳を取り出し、しっかりと記録することにした。
・絵画は全てで20個。廊下1つに10個の絵画が左右交互に飾られている。
・右の廊下は、山羊や牛、人間など生物の絵である。
・左の廊下は、海や空、小さな家など風景の絵である。
・絵が飾られている位置も左右対称であった。
・絵画に名前はなく、作者も不明。ただ、描いた人はそれぞれ別々と思われる。
・全て濡れていて、色落ちしているような絵も見られる。
赤山は一通りメモを書き終えたが、ここからでは何もまとまりそうになく、頭を悩ませた。
そして次は、一枚一枚絵画に番号を振り、それぞれの特徴を書くことにした。
すると、生物の絵画の方から、とある共通点が見られた。
”人間が描かれている絵画は、全て風刺要素がある”
①牛の処刑を見ながら鶏肉を食べる貴女
これはおそらく、「牛を殺しても、食べるのは鶏肉。牛を殺す必要なんて本当はないけれど、それでも人間は牛を殺す。」という、動物の虐殺を風刺している。
③女性の血を吸う太った吸血鬼の息子
女性は息子に対し、温かい眼差しである一方、息子は母親の血を吸い、嘲笑うような表情である。太っているのは、母親の精気そのものを吸い取っていることを表している。無償の愛を
④ゴミを拾って喜ぶ少年少女
この絵画には、小さくてみずらいが、馬に乗った貴族の姿が端に描かれている。おそらくこのゴミは貴族が出したゴミだ。それでも少年少女が喜んでいるこの構図は、貧困による価値観の違いを風刺している。
⑨ベットで横になっている首輪をつけられた裸の少年
少年は髪が長く、顔立ちからもまるで少女のようだった。でも、描かれている生殖器から男であるのがわかる。少年は、少し不安そうな顔をしていた。 後ろのドアには大人の姿があり、首輪の紐を遠くから持って少年を覗いていた。おそらく少年の親だ。だとすると、少年が少女のような格好をさせられ、かつ裸で首輪をつけられているのはつまり……
…赤山は、これ以上考えたくなくなった。
⑩貼り付けられた男の死体を見て泣く女性と笑う女性
後ろに描かれた槍や大砲から、男は戦争に負けて貼り付けにされたと思われる。泣いている女性は、おそらく男の妻だ。手には赤子を抱えている。一方笑っている女性は、服の系統の違いから見て敵国の者だ。誰かの不幸の涙は、誰かの幸せの笑みであるという戦争を交えた風刺になっている。
赤山「この図書館を使っていた人は、風刺画が好きだったのかな…」赤山は顎に手を置いて考えた。
赤山「女性が多いのは何か関係があるのか…でも、少年も描かれてはいるし…」
赤山「もっと他の絵画に注目した方がいいのかな…」
そう言うと、赤山は風景画の方に重点を置くようにメモをしていった。
風景画の中でも、印象的だったものを選んでみた。
③富士山?の見える川辺と林
富士山らしき山が大きく描かれていて、その下には浅瀬の川と高い林が描かれていた。富士山だとしたら、ここは日本ということだ。残念ながら確証はないが、その絵画のリアルさから実際に行って描いたものだと思われる。
④大きな森に囲まれた黄金の王城
王城以外は森と青空しかなく、どこか王城に孤独感がある絵画だ。鳥も雲も描かれていない、リアルとはかけ離れたファンタジー、想像で描かれたように見える。
⑦地獄と天国の境目に立つ小さな小屋
右半分は、真っ赤な空にギザギザとした地面の地獄、左半分は、真っ青な空に雲のような地面の天国が描かれており、それを境になるよう小さな小屋が真ん中に描かれている。小屋は木製で、ドアと小さな小窓しかついていない。
しかし、風景画の方に詳しい共通点は見られなかった。自然が描かれていることだけでは、共通点とは言い難い。
赤山はしばらく黙ったまま、頭をかいて悩ませた。
遠くからチャイムが聞こえた。今は5時らしい。
倉森「赤山くん、何かわかったことはあったかい?」
赤山「少しだけですけどね。」赤山は、メモ帳に書いたことを全て話した。
倉森「なかなかいい視点なんじゃないか?さすが俺の弟子!」と言って拍手した。
赤山「倉森先生は何か分かりましたか?」
倉森は自信げに胸を張ってから、「ない!」と大きく否定した。
赤山「何してるんですか!」怒って倉森に詰め寄った。
倉森「落ち着きたまえ!冗談だ冗談。だが、少し俺には理解がし難かった。」
そう言うと、倉森は近くの本を取って見せた。
倉森「この本、一見子供向けの幼稚な本に見えるだろう?」
その本は「お菓子の家」という題名で、表紙もカラフルで、子供向けらしさがあった。
倉森「でもこの本の結末は、”少年はお菓子の家の全てを食い尽くし、家の中にいた住民も食ってしまった“というなんとも残酷なものだった。こんなん詐欺と言っても過言じゃない。」
倉森「こんな感じの本がほとんどだったんだ。図書館の持ち主はイカれてるな。」
それを聞いた赤山は、一つ仮説を立てた。
赤山「この図書館が使われなくなったのは、本や絵画のせいじゃないですか?」
倉森は「確かに、一理あるな!」と赤山に指をさして納得した。
倉森「万人受けしないコアな作品が多く、客も呆れて来なくなったと言うことか。」
赤山「はい。奥の部屋は政治の本しかないらしいですし、少なくとも子供は来ませんね。」
「あっ」と赤山は何かを思い出し、倉森に話しかけた。
赤山「倉森先生、2階の写真は見ましたか?」
2階にはたくさん写真があったと倉森が言ってたのを思い出したのだ。
倉森「あ〜!すっかり忘れていたよ。」
赤山「じゃあ今から見に行きますか。」赤山はホールから見て右側の広場から、螺旋階段に向かって歩いた。
すると、ドタっと階段近くで転けた。「いってて…」足を少し擦ってしまった。
倉森「大丈夫か?足元はしっかり見ないと。」
駆け寄ってみると、床に違和感があることに倉森も気づいた。
倉森「なんだ。この床よく見たら、真ん中に少し溝があるな。」
赤山「なんのための溝でしょうか…」
倉森「…あ、あれじゃないか?」
倉森「この図書館、左右対称だったろ?きっと建築する時、目印として残しておいたんだよ。」
赤山「そうなんですかね…でも、建て終わったのに目印を残す意味ってなんですか?」
倉森「…わからんな。」倉森は溝をよく見た。
その溝は入り口からずっと続いていて、よくみると壁にも同じように溝があった。
本当に、この図書館を左右対称に分ける溝のようだ。
倉森は顎に手を置き、ぼそっとつぶやく。
倉森「そもそも、なんで左右対称なんだろうな。」
赤山「確かに…珍しいですよね。あまり見られない気がします。」
倉森「そもそもこの図書館、図書館にしてはかなり小さめだ。本当は文庫だったんじゃないか?」
赤山「ただの書庫だったってことですか?でも、それならもっとおかしいですよ。」
赤山「書庫ならこんな複雑な形してる必要ないですし、何より、ここが図書館って名義だってのは、役所からも聞いてたじゃないですか。」
倉森は頭を抱え、悩むように下を向いた。
倉森「何かに形が似ている気がするんだが〜…」
倉森「…“教会”か?」
その時だった。
上から何か音がする。
二人はすぐに天井を見上げた。確かに何かがぶら下がっている。
しかし、電気がないせいで上手く見えない。
すると…
天井から大きな粘土の塊のようなものが落ちてきたように見えた。
しかしそれは、恐ろしいものだった。
色は青白く、
それは水を多く含み、ぶよぶよになっていて、
床に落ちると同時に、水と赤黒い液体が飛び跳ねて、
それは、風船が弾けたみたいにバラバラになっていた。
“水死体”だ。
図書館内に、赤山の甲高い悲鳴が響いた。
倉森は目を大きく見開き、声も出なかった。
少し経って、倉森は自身を冷静にさせるように語る。
倉森「ああ…そういえばそうだったな。」
倉 森「我々の本来の目的は、こっちだったな。」
ー2話・終ー
るるくらげ
19
458