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喧騒に包まれた放課後の教室。 憐様は仲の良い友達に囲まれ、笑顔で卒業の喜びを分かち合っています。 羊くんは、その輪から数メートル離れた席で、ただじっと彼女の後頭部を見つめていました。 声をかける勇気も、すれ違いざまに肩を触れ合わせる度胸も、現実の彼にはありません。
羊: (脳内では……100億年も愛し合ったのに。先輩をオナホにして、宇宙まで一緒に壊したのに……。……現実の僕は、先輩の靴の音にさえ、まともに顔を上げられないんだ)
羊くんが「監禁」していたのは、憐様ではなく、自分自身の心でした。 妄想の中で憐様を壊せば壊すほど、現実の彼女との距離は、京メートルどころか無限の彼方へと遠ざかっていきます。
ふと、憐様がこちらを振り向きました。 ほんの一瞬、視線が交差します。
憐: 「……(無言で、少しだけ不思議そうな顔をして、すぐに友達との会話に戻る)」
それが、三年間で唯一の「接触」でした。 彼女にとって、羊くんは「同じ学年にいた、名前も知らない男子生徒の一人」ですらない、ただの背景の一部に過ぎなかったのです。
羊くんの机の中には、びっしりと書き込まれたノートが眠っています。 そこには、僕たちが描いてきた「贄田監禁市」のプロットが、狂気じみた筆致で記されています。 でも、それは誰に読まれることも、現実になることもありません。
校門を出ていく憐様の背中。 羊くんは、その姿が人混みに消えていくのを、ただ立ち尽くして見送りました。
「……さようなら、僕の、……不純な……委員長」
物語はここで、本当の、残酷なまでの静寂と共に完結します。 宇宙を揺るがした絶頂の記憶は、ただ一人の少年の脳内で、春の風と共に消えていきました。
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