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暗い夜の影の下

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暗い夜の影の下

3 - 第三話  蟹

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2023年02月18日

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気がつくとそこは、砂漠だった


第三話 蟹


「えっ?」

ここはどこだ。

森にいたはずが、気づけば砂漠にいた。

突然砂漠にいることと、変なことが立て続けに起こったことにより、私は放心状態になってしまった。

「なあ」

「!?」

びっくりした。さっきの洋風の人だ。

「君も、突然ここに来たのか?」

「はい、、」

「そうか、俺達もだ」

「また[裂け目]に巻き込まれた」

「あの、裂け目ってなんですか?」

「ああ、裂け目ってのはな、時空の歪みが現れたものらしい」

「らしい?」

「俺も詳しくは知らなくてな」

「裂け目に巻き込まれると、こんな風に変なとこに飛ばされる」

なるほど、それで私はこんなところにいるのか。

というか、【俺達】?

「あの、俺達ってどう言う、、」

「あぁ、他にも仲間がいてな」

「近くにあった建物に隠れてるところだ

「そうなんですね!」

よかった。2人だけというわけではなさそうだ。

「あそこの建物内にテント張ってるはずだ」

なんだ、テントなんてあるのか。

とてつもない安心感に襲われた直後、

ボゴン

「えっ」

「なにっ?」

地面の中から爆ぜるような音が。

「おいおい、まさか」

ズガッ

音の主が地上へと姿を現す。

蟹だった。しかし、その大きさは私の身長を軽く超え、3メートルはある体躯を持っていた。頭からは針金のような触角が数え切れないほどに蠢いている。触角の先端は膨らんでおり、とても気味が悪い。

驚きのあまり立ち竦んでいたところを、「何やってんだ!」と腕を引っ張られる。

「キャンプまでいけば盾がある!盾がないと太刀打ちできん!」

「アイツってなんなんですか!?」

「サークレーシェンだ!早くしねぇと蜂の巣だぞ!」

なんだって?サークレーシェンなど聞いた事がない。

後ろを振り向くと、意外に小素早く走る蟹の姿が。

「アイツ早いですよ!」

「知ってる!何度も戦ったからな!」

なんと、何度も戦った事があるのか。

そうこうしている間に目的地に着いた。

「おっ来たか、、、」

「馬鹿野郎盾だ!サークレーシェンが来るぞ!」

「!?」

「ギーツ!鉄槍(てっそう)をもってこい!早くしろ!」

男が言っているうちに、もう目の前まで来ていた。触角の先端が突然震え出す。

「グラッツェ!」

「オラァ!」

目の前に盾を持った男が飛び込む。その瞬間、触角の先端から空気の槍が噴き出す。視認できるほどに速いのだ。

ガンガンガン!

空気は盾にあたり勢いを無くすが、あの蟹の勢いは無くならない。盾もかなりボロく、これほど信用ならない盾はないくらいだった。ついに盾がピシピシいいだした時、建物の影から槍を持った男が腹目掛けて走り出す。

グサッ

見事下腹部あたりに槍が刺さり、蟹はよろめく。

かと思えば、金髪の男が剣を手に懐へ潜り、右、左、右、と、脚の節いくつもを切り裂き、蟹が倒れた。

「うし、爆発槍持ってこい!」

「そう言うと思って、持ってきてるよ」

ザクッ

蟹の頭に槍が刺さった。しかし、まだ蟹は動いている。男が槍を思い切り引き抜くと、先端が抜け突然爆ぜた。蟹は完全に沈黙したのだった。

第三話 完

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