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気がつくとそこは、砂漠だった
第三話 蟹
「えっ?」
ここはどこだ。
森にいたはずが、気づけば砂漠にいた。
突然砂漠にいることと、変なことが立て続けに起こったことにより、私は放心状態になってしまった。
「なあ」
「!?」
びっくりした。さっきの洋風の人だ。
「君も、突然ここに来たのか?」
「はい、、」
「そうか、俺達もだ」
「また[裂け目]に巻き込まれた」
「あの、裂け目ってなんですか?」
「ああ、裂け目ってのはな、時空の歪みが現れたものらしい」
「らしい?」
「俺も詳しくは知らなくてな」
「裂け目に巻き込まれると、こんな風に変なとこに飛ばされる」
なるほど、それで私はこんなところにいるのか。
というか、【俺達】?
「あの、俺達ってどう言う、、」
「あぁ、他にも仲間がいてな」
「近くにあった建物に隠れてるところだ
」
「そうなんですね!」
よかった。2人だけというわけではなさそうだ。
「あそこの建物内にテント張ってるはずだ」
なんだ、テントなんてあるのか。
とてつもない安心感に襲われた直後、
ボゴン
「えっ」
「なにっ?」
地面の中から爆ぜるような音が。
「おいおい、まさか」
ズガッ
音の主が地上へと姿を現す。
蟹だった。しかし、その大きさは私の身長を軽く超え、3メートルはある体躯を持っていた。頭からは針金のような触角が数え切れないほどに蠢いている。触角の先端は膨らんでおり、とても気味が悪い。
驚きのあまり立ち竦んでいたところを、「何やってんだ!」と腕を引っ張られる。
「キャンプまでいけば盾がある!盾がないと太刀打ちできん!」
「アイツってなんなんですか!?」
「サークレーシェンだ!早くしねぇと蜂の巣だぞ!」
なんだって?サークレーシェンなど聞いた事がない。
後ろを振り向くと、意外に小素早く走る蟹の姿が。
「アイツ早いですよ!」
「知ってる!何度も戦ったからな!」
なんと、何度も戦った事があるのか。
そうこうしている間に目的地に着いた。
「おっ来たか、、、」
「馬鹿野郎盾だ!サークレーシェンが来るぞ!」
「!?」
「ギーツ!鉄槍(てっそう)をもってこい!早くしろ!」
男が言っているうちに、もう目の前まで来ていた。触角の先端が突然震え出す。
「グラッツェ!」
「オラァ!」
目の前に盾を持った男が飛び込む。その瞬間、触角の先端から空気の槍が噴き出す。視認できるほどに速いのだ。
ガンガンガン!
空気は盾にあたり勢いを無くすが、あの蟹の勢いは無くならない。盾もかなりボロく、これほど信用ならない盾はないくらいだった。ついに盾がピシピシいいだした時、建物の影から槍を持った男が腹目掛けて走り出す。
グサッ
見事下腹部あたりに槍が刺さり、蟹はよろめく。
かと思えば、金髪の男が剣を手に懐へ潜り、右、左、右、と、脚の節いくつもを切り裂き、蟹が倒れた。
「うし、爆発槍持ってこい!」
「そう言うと思って、持ってきてるよ」
ザクッ
蟹の頭に槍が刺さった。しかし、まだ蟹は動いている。男が槍を思い切り引き抜くと、先端が抜け突然爆ぜた。蟹は完全に沈黙したのだった。
第三話 完