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本当に…しつこそうな都会の夜にたくさんいそうな女が出現🙀www!! きっと健吾の方が上手だと思うけど、理沙ちゃんが誤解しないよう「健ちゃん」呼びしてもらってしっかりと恋人アピールしてラブラブ💓モード全開でお願いしますね🙏
健吾〜『ケンちゃん』呼びにほんと頬が緩むじゃなくて、口元はゆるゆるデレデレだったでしょ(〃>З<)ぷぷぷww💗 そんな2人の前に勘違いの気持ち悪そうなのが現れましたねぇ。 何をしても無駄ですが(*´^`*)フン 健吾ここはしっかりと『恋人』であると見せつけよー(๑و•̀Δ•́)وオーッ
モテ男は大変ですね....💧 健吾さんは理紗子ちゃんひとすじだから大丈夫でしょうけれど、しつこそうだから くれぐれも気をつけて....
理紗子はジュースのおかわりをして席に戻って来る際、健吾をじっと見つめる女性がいる事に気付いた。
その女性はとても女らしい服装で隙のないお洒落をしていた。
同性の理紗子が見てもつい目を奪われてしまうほど色気のあるとても美しい女性だ。
もしかしたら健吾の知り合いなのでは? そう思ってしまうほど、女性は健吾の事を食い入るように見つめていた。
そこで理紗子は健吾に聞いた。
「ねぇねぇ、私の斜め後ろのテーブルの人って知り合い?」
「いや。知らないな」
「ふーん、さっきからずーっとケンちゃんの事を見てるよね」
そこで理紗子が今日初めて『ケンちゃん』と呼んだので、健吾の頬が緩む。
「いや、本当に知らないな。人違いか何かだろう」
「ふーん、そっか」
理紗子は「なーんだ」という顔をしてまた食事の続きを始めた。
その後食事を終えた二人は、ホテルの出発時刻を十時半に決めた。
それまでの間、健吾は理紗子にガイドブックを貸してくれと言った。
ガイドブックを見ながらこれから行く場所をチェックしたいらしい。
理紗子は一度部屋へ戻ると、歯磨きを済ませてからガイドブックを持って健吾の部屋を訪れた。
健吾の部屋に入るのは二度目だ。
初日の夜、酔いつぶれてこの部屋で一夜を過ごして以来だ。
あの時は気が動転していたので、部屋の事は細かく覚えていなかった。
しかし今日改めて室内を見回すと、この部屋は本当にスイートルームなのだという事を実感する。
なぜならどこもかしこも理紗子の部屋とは大違いだったからだ。
(やっぱり凄いわ…)
静かな感動を覚えながら、理紗子はソファーに腰を下ろす。
そしてガイドブックをパラパラとめくった。
健吾は「ちょっと待ってて」と言うと、テーブルの上のパソコンをじっと見つめて何か作業をしている。
よく見ると、パソコンの脇にはスマホが三台が置いてあった。
おそらく相場に入っているのだろう。
大型テレビには投資情報番組が流れ、今日の株価や為替相場などが表示されている。
(凄いな。沖縄にいても仕事ができちゃうんだ)
同じフリーランスでも、理紗子の場合小説は家か行きつけのカフェじゃないと書けない。
それに比べて、健吾はいつでもどこでも仕事が出来るらしい。
そんな個人投資家の日常生活を垣間見て、理紗子は改めて健吾の凄さを知ったような気がした。
10分程経つと健吾がノートパソコンをパタンと閉じた。
そして、備え付けのバーカウンターへ行きコーヒーを入れ始める。
スイートルームには、スイッチ一つで美味しいコーヒーが淹れられるマシンがあるらしい。
あっという間に室内にコーヒーの香りが漂い始めた。
コーヒーが入ると健吾はカップを理紗子に渡す。
「ありがとう」
理紗子は早速淹れたてのコーヒーを飲む。
店以外で人が淹れてくれたコーヒーを飲むなんていつ以来だろう?
弘人と付き合っていた頃だって、弘人にコーヒーを淹れてもらった事は一度もない。
理紗子はなんだかほっこりと幸せな気分になり温かいマグカップを両手で包み込むように持つと、
美味しいコーヒーじっくりと味わった。
隣を見ると健吾は理紗子が持って来たガイドブックを熱心に見ている。
その横顔を眺めながら、なんて端正な顔立ちのイケメンなのだろうと感動すら覚える。
それと同時に、健吾といると理紗子はいつもリラックスしている事に気付いた。
普通イケメンと接する時は誰もが緊張するはずだ。もちろん理紗子だってそうだ。
しかし健吾に対しては全く緊張しない
その理由を考えてみるとこんな結論が出た。
ハイスペック過ぎるイケメンとは住む世界が違い過ぎるので、理紗子は健吾に対し最初から何も期待をしていなかった。
健吾の事を自分とは全く違う別次元の人間だと思っているので、自分を良く見せようとか気に入られようとかいう感情が一切湧
いてこない。
だからありのままの自分で素直に付き合えるのかもしれない。
そして健吾との付き合いがあまりにも楽なので、理紗子はこの関係がずっと続けばいいのにと思った。
その後理紗子は一旦自分の部屋に戻ってから、十時半にロビーへ行った。
健吾は既にロビーのソファーで待っていた。
「お待たせしました」
「じゃあ行こうか」
「今日は車に乗せてくれてありがとう。すごく助かります」
「俺が来なかったらどうやって回るつもりだったの?」
「うーん、バスかなぁ」
「それじゃあ全部回りきらないうちに日が暮れるだろうな。やっぱり俺が来て正解だったな」
「うん。ほんと助かる―」
理紗子がニコニコして言ったので健吾は満足気に頷く。
そして二人がホテルを出ようとした時、ふいに女性の声が聞こえた。
「健吾さんですよね?」
健吾は立ち止まると声の方を振り向く。
すると先程レストランで健吾をじっと見つめていた女性が、笑顔を浮かべて近づいて来た。
「えっと、以前どこかでお会いしましたっけ?」
健吾は誰だったか思い出せないので女性に聞く。
「いつも動画配信で拝見しておりました。まさかこんな所でお見掛けするとは思ってもいませんでしたわ」
それを聞いた健吾は納得する。
彼女は動画の視聴者だったのだ。だから健吾の事を知っていたのだ。
「ご視聴ありがとうございます。こちらへはご旅行ですか?」
「はい、友人と…….」
その時健吾は、女性と一緒に座っていたのは確か50代位の男性だった事を思い出した。
記憶の中の男性はパッと見たところ会社経営をしているような雰囲気だった。
(あれが友人? パトロンか愛人の間違いじゃないのか?)
健吾は心の中でそう呟く。
しかしそんな健吾の思いには全く気付かずに女性は続けた。
「私、先月開催された証券会社主催の健吾さんのセミナーにも参加しました。あの日会場でもお会いしているんですよ」
女性はクネッと身体をよじらせると恥ずかしそうに言った。
その時健吾は先月のセミナーの様子を思い出してみる。
健吾のセミナーには彼女のような女性が常に半数以上を占めている。彼女達は投資を学ぶことが目的ではなく健吾に近づくこと
が目的だった。
だからもし彼女がその中にいたとしても全く記憶にない。
もし記憶に残っているとすれば、健吾目当ての派手に着飾った女ではなく真剣に投資を学ぼうとしている男性参加者の顔だけ
だ。
しかしそんな事は口に出さずに健吾は当たり障りのない返事をした。
「そうでしたか! それはありがとうございます」
健吾は爽やかな笑顔を返す。
すると女性は一瞬うっとりしながらこう聞いた。
聞きながらチラリと理紗子へ視線を向ける。
「健吾さんもご旅行ですか?」
「ええ、まあ」
健吾はこれ以上この場に長居は無用と思ったのか、そこで会話を終わらせた。
「これから外出しますので、これで失礼します」
健吾は軽く会釈をすると、理紗子と手を繋いで駐車場へ向かった。
女性はそのまま二人がベンツに乗り込むのをじっと見つめていた。