テラーノベル
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薄暗い小屋の中、私はレディーススーツのまま鎖で椅子に縛り付けられていた。
血と獣臭の充満するひどい匂いが部屋中を包み込んでいる。
足元を見ると、なにやら血でしたためられた
魔方陣が描かれている。
私の目の前には、ガスマスクを着けた五人のテロリスト達が私に銃を向けている。
「あなた達何者なんですか!?一体何が目的ですか……!?」
身動きの取れない私は、テロリスト達を睨み付けることぐらいしかできない。
「くっくっくっ、ようやく見つけましたよぉ、地獄子様ぁ…..!!」
テロリスト達の中心にいた女が無邪気な笑顔がそのまま音になったような響きの声を出した。
するとポンッと音がしてテロリスト達が煙と共に姿を変える。
煙が晴れると、狸耳黒髪おかっぱの女子高生がお尻から生えた狸の尻尾を揺らしながら現れた。その肌は生気がないかのように白く、胸は私より二周り大きい。
彼女の周りには、四匹の狸が行儀よくおすわりしている。
「私は《四国連合》筆頭、刑部狭貫(おさかべさぬき)と申します。刑部っちとお呼びくださいぃ。」
闇の中を覗き込んだような真っ黒な瞳を細めて刑部っちはにやぁっと笑った。
「あぁ……この匂い……」
「ちょっ!?」
刑部っちは私の肩に顔を埋めるように鼻を近付け、何度も何度も匂いを吸い込んだ。
「舎蘭様と同じ匂いです……!」
「私のことをクソ狸と毎日のように罵ってくださった舎蘭様そっくり…..!!内に秘められたとめどない魔力もまるであのお方の写し形見のよう……!!」
すんすん、すんすんすんすんと刑部っちは容赦なく私の匂いをあちこち嗅いでくる。
「ちょっ……まじでやめなさいっ!!」
私は反射的に右足を蹴り抜いた
「げふっ!!?」
刑部っちが一直線に吹き飛び、小屋の壁に激突する。
「刑部っち!?」
「リーダー!!??」
狸達がざわつく。
「てめぇ!!」
一匹の狸が黒魔術でカツオを召喚する。
すると刑部っちが狸を静止した。
「鰹ミサイルを使用するのはやめなさい土佐。この程度の蹴り、ただのスキンシップです」
そう言って刑部っちがふらふらと立ち上がる。
「……ちっ」
土佐と呼ばれた狸は憎々しげにこちらを見ながら鰹をポンッと消した。
「……あぁ!!このキレのある蹴り!!まるで舎蘭様のよう!!毎日のように蹴りとばされていた頃を思い出します!!いやはや、やはり血は争えないのですねぇ……!!」
おなかを抑えながらも、刑部っちは恍惚とした表情を浮かべる。
「さっきから舎蘭様舎蘭様ってなんなんですか!!私と舎蘭って人は無関係です!!早く帰してください!!」
「そんなつれないことを言わないでくださいよぉ地獄子様。無関係なわけないじゃないですかぁ…….貴女は舎蘭様復活の贄なのですから」
「なっ!?」
そういうと刑部っちはポンッと赤黒い液体の入った注射器を取り出し私の肩に注射した。
ドクンッ…….!!
心臓が一度だけ異様な鼓動を打つ。
黒い何かが血管を這い回るような感覚。
憎悪とも殺意ともつかない感情が胸の奥から溢れ出した。
「これは、《呪いの魔女》舎蘭様の血でございます。これより、呪いの魔女復活の儀を執り行います。____その前に」
刑部っちは狸達の方を振り向いた。
「何やら強大な魔力を持つものがこちらに接近中です。おそらく地獄子様の救出に来た黒魔術師達でしょう。数は三人、儀式の邪魔をされるわけには行きませんねぇ」
刑部っちが頬に手を当て思案した。
おねぇちゃん、楓子さん、小守。助けに来てくれたんだ。
一縷の希望が私の心を照らした。
「土佐、伊予、阿波、室戸。あなた達四人は
魔女達の迎撃に向かいなさい」
刑部っちが指を鳴らすと四匹の狸は狸耳の少女の姿に変身した。
「まかしちょき」
土佐と呼ばれた青い法被にサラシと褌をつけた爆乳黒髪ポニテ少女は精悍な表情でそう言った。
「もちろん、全員ぶっころしていいんだよねー?」
伊予と呼ばれるオレンジ髪の女子高生は目をキラキラ輝かせながら快活に笑った。
「あわわ……足手まといにならないよう頑張らないと…….」
阿波と呼ばれたぼさぼさした黒髪のぐるぐる目の巨乳少女は魔方陣を展開し始めた。
「…….」
室戸と呼ばれた深くフードを被った少女は静かにコクリと頷いた。
阿波の魔方陣に包まれて、四人の狸耳少女達は姿を消した。
《四国連合》とやらの目的は分からない。
だけど彼女達は、私の大切な人達を傷つけようとしている。
許せない。許していいわけがない。
「……フフフ、では儀式を___」
「………ゴートゥーへブン」
刑部っちが私に振り向いた時、私は魔力を解放した。
私の背中から天使のような翼が生え、とめどない魔力が鎖と椅子を焼き払った。
「……おやおや、一応封魔の鎖で縛っていたのですが……やはり規格外ですねぇ」
私が拘束から逃れても、刑部っちはまるで動じた様子はない。
「流石は地獄子様ですそれでこそ贄に相応しい。血は既に投入したした。儀式は貴女を無力化し、貴女の仲間を殺した後ゆっくりと執り行いましょう」
刑部っちのまわりからにゅるにゅると大量のうどんのようなものが生え始めた。
「あなたは勘違いをしてます」
「ほぉ?」
刑部っちが首を傾げた。
「私は地獄子じゃありません」
「私の名前は宍戸天国美。宍戸地獄子のドッペルゲンガーです。」
私はおねぇちゃんから貰った名前を口にし、
手元に光の矢を召喚して構えた。
「私達には時間が無いんです。あなた達に構ってる時間はありません」
「どいてください」
「……まさか、一対一なら私に勝てるとでもお思いですかぁ?」
私は目の前で不適に笑う刑部っちに光の矢を放った。
タイムリミットまで27日。
コメント
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トド村さん、第31話読了しました……! 冒頭から一気に引き込まれました。薄暗い小屋の描写、血の匂い、魔方陣――緊張感がすごくて、ページをめくる手が止まらなかったです。 刑部っち、舎蘭様への執着が狂気じみてて怖いのに、蹴り飛ばされても恍惚とする姿がどこか異様で印象的でした。あの「鰹ミサイル」のワード、笑ってしまいそうになりましたが、笑えない空気の中で出てくるからこそ不気味さが際立ちますね。 そして何より、天国美さんの「私は地獄子じゃありません」の場面。お姉ちゃんからもらった名前を口にし、光の矢を構える姿に胸が熱くなりました。彼女の強さと決意が伝わってきて、応援せずにはいられません。 次回、お姉ちゃんたちとの合流が見られるのか、それとも戦いが続くのか……タイムリミット27日、どうなるのか気になって仕方ないです。続きを楽しみにしています🌷