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31話 電子マネーを買い足し
620スポット。
明るい通路。
足音が一定。
リカは、
少し厚めの上着。
袖を折り返して立つ。
腰元で、
電子マネーとお守りが
静かに触れる。
棚が、
五面。
同じ形。
色が違う。
中が見えるもの、
見えないもの。
札はない。
数字もない。
代わりに、
小さな札が差してある。
20
30
50
回数。
リカは、
赤系を取る。
いつも、
これになる。
指に伝わる重さが、
ちょうどいい。
「二十は軽いよ」
横で、
派手めな服の友達。
キーホルダーが
じゃらっと鳴る。
「男の子はさ」
スケルトンを持ち上げる。
中の石が、
詰まって見える。
「減るのが
見えるのが好きなんだって」
リカは、
別の棚を見る。
30。
50。
少し迷って、
30を戻す。
「今回は二十で」
髪を後ろでまとめた友達が、
手帳を抱えたまま言う。
「移動は
ジャーニー通るでしょ」
リカは、
うなずく。
レジの人が、
何かを見ながら淡々と言う。
「1080ジャーニーを
二十回分の電子マネーね」
どこのスポットでも同じ。
場所の前に、
必ず通る数字。
少し間を置いて、
言い換えられる。
「480スポット$を、
二十回分」
店員は
「9600sになります」
これが普通だ。
二十。
三十。
五十。
数字じゃなく、
使える感じ。
スポット$で支払う。
店員は、
無言で渡す。
それぞれ、
選んだ分。
リカは、
赤系の二十回分。
派手めな友達は、
スケルトンの五十。
髪をまとめた友達は、
三十。
買い足して、
キーホルダーにまとめる。
重さが、
変わる。
ジャーニーは、
残らない。
通っただけ。
でも、
通らないと、
どこにも行けない。
外に出る。
それぞれの腰元で、
違う重さが揺れる。
回数を足す。
それだけで、
しばらくは
安心だった。