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トウヤ(オフ):
えっと……。
柴崎ゼナ:
じゃあ、悲しい報告から行こうか。
……この実験を六十秒を限界としたのは、怪異が人間の精神を乗っ取る時、
だいたい三十秒から六十秒と言うデータがあるからだ。
少年Aが六十秒以上、「無貌」の面を着用していたのは間違いないが、
我々の知見では危険ラインである六十秒を超えないよう厳守した上で
手厚いアフターケアを行えば安全は確保される、そう定義づけた。
トウヤ(オフ):
……それで実際はどうだったんです?
柴崎ゼナ:
うん。みんな、それぞれ疲弊はしたが順調に回復している。
十人中、六人は既に通常業務に復帰している。
トウヤ(オフ):
じゃあ、悲しいどころか喜ばしい報告じゃないですか。
みなさん無事で何よりというか……。
柴崎ゼナ:
で、悲しい報告というのは私個人の話。
さっきの解説ボードの通り、着用二十秒を経過したあたりで私もあの日のことをフラッシュバックしたが――、特に異変はなかつたよ。
ま、そりゃそうだよね。
私はあの人を失った時のことを忘れたことなんて、この四年間一度もない。ずっと反芻し続けていたんだから。
トウヤ(オフ):
柴崎さん……。
柴崎ゼナ:
その後、他の人間と違って私には感情の統合も、自我の分離も生じなかった。
それはつまりね――、(コンコンと人差し指でこめかみを叩きながら)
私の精神構造とやらはとっくに壊れてるってこと🎵
トウヤ(オフ):
……。
柴崎ゼナ:
それともう一つ。まあまま喜ばしいほうの報告。……頭の中を書き回された時、
何となくあいつの「無貌」の正体がわかった。
一言で言えば、あれはこの世のものじゃない。
悪霊の類が宿っているとかでもなくて――、地獄から流れ着いた力がこの世で形をなしたものだと思う。
トウヤ(オフ):
……つまり?
柴崎ゼナ:
つまり、あれを大人しくさせるには、私達の力だけじゃどうにもならない。
本気でどうにかしたいのなら――、例えば君達塚森家の氏神様、童ノ宮の稚児天狗の力を借りるとかしなきゃ、だろうね。
怪異研究の特務機関だのなんだの言ったって、結局最後は神頼みだ。情ない話だよな。
トウヤ(オフ):
し、柴崎さん……。
(画面暗転)
(画面が切り替わり、スタジオへ)
トウヤ:
……はい。こんな感じで白虎機関にお邪魔してきました。
二人とも、何か感想とか――。
マリン:
……こんなの、あまりにも非人道的だよ。本人達が望んだからって
、死ななきゃいいってもんじゃないでしょ。
柴崎さんが悪い人じゃないってのは分かるけど――。
だって、考えてみて?トウヤくんはハルがこういう事件の被験者に選ばれたら?
他人じゃなくて、ハルくん自身がこんな実験をやってみたいっていいだしたら?
私は――絶対に嫌だな。(少し涙ぐむ)
トウヤ:
それは――そうかもしれないな……。
ハル:
……ハルも。……好きじゃない。(小声で)
(画面暗転)