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何の罪もない栞ちゃんの悪口を直也さんに吹きこむ元義姉は酷いけれど😱 本気ではなく遊びであちこちと付き合い、簡単にポイ捨てする重森は もっと酷くて最低…😡 二人とも栞ちゃんを執拗に狙っていて厄介だね…😰 直也さんと出逢い 大人の女性として成長し 強くなってきている栞ちゃんは、きっと義姉なんかに負けないと思うけれど…🤔 直也さん、栞ちゃんがピンチな時には全力で守ってあげてね!!!😎👍💕
華子はわざわざ栞ちゃんの悪口を吹き込んで撃沈😮💨 しかもここの学生でも無いし栞ちゃんを貶める魂胆は見抜かれてますが🤬🤬 ますます危険人物ってみなされるだけなのに愚かだよ💦 そして栞ちゃんのバイト先までやってきて何がしたい?マウント? 直也さん〜お迎えに来てくれないかな?((((;゚Д゚))))
マリコ先生、私の浅はかな勘違いならお許し下さい😣 (俺がタイプは、…)の箇所 「が→の」or タイプ「なの」は、 でしょうか🙏💦💦 日本国貧しくてすみません😢💨💨
数日後、直也は大学のカフェにいた。
今日は講義のある日なので、少し早めのランチをしていた。
サンドイッチとコーヒーを注文し、パソコンを見つめながら食事を始めた。
最近、四冊目の執筆の依頼がきたので、構想を練りながらサンドイッチを頬張る。
直也がパソコンに集中していると、突然きつい香水の匂いが鼻を突いた。
思わず顔をしかめて顔を上げると、そこには栞の元義理の姉・華子が立っていた。
華子は、身体にフィットしたオフホワイトのミニワンピースを着ていた。胸元が大きく開いたデザインは、大学生活にはあまりふさわしくないように思えた。
直也は華子と直接面識がなかったので、再び視線をパソコンへ戻して仕事の続きを始めた。
その無関心な態度に苛立ちながら、華子は直也に向かって話しかけた。
「こんにちは、先生! 先生は、栞と顔見知りですよね?」
その瞬間、直也の眉が一瞬ピクリと動いた。
「栞? どちらの栞さんでしょうか?」
「あらやだ、鈴木栞よ」
「ああ、確か教え子の中にいましたね」
直也は、顔色ひとつ変えずに答えた。
「私、三船華子と申します。栞とは昔、義理の姉妹でした。今は訳あってまったくの他人ですが」
華子はそう言い終えると、色気を含んだ微笑みを浮かべた。
「そうでしたか。で、僕に何か用ですか?」
「ええ、先生にちょっとお伝えしておきたいことがあるんです」
「何でしょう?」
「栞は、先生と釣り合うような女じゃないんです。あの子、表向きは初心で純情そうに見えますが、裏の顔は計算高くてずるがしこくて……元姉の私が言うのもなんですが、先生のためにも関わらない方がいいかと……」
華子は、同情に満ちた表情で訴えかける。しかし、直也から見たその表情は、計算し尽くされ演技がかったものに見えた。精神科医である彼には、彼女の企みなどお見通しだ。
「ご忠告ありがとう。でも、ご心配には及びませんよ。僕はピンチヒッターで来た期間限定の教授ですし、彼女は大勢いる学生の一人にすぎない。だから、彼女から被害を被ることなど有り得ないので大丈夫ですよ」
直也はニッコリ微笑んで答えた。
その爽やかな笑顔に、つい華子は見とれてしまった。
しかし、急にハッと我に返るとさらにこう続けた。
「でも、あの子じゃなくても、先生にはもっと相応しい女性がいるのに……」
まだしつこく迫ってくる華子に、直也は少しうんざりしたように言った。
「君はこの大学の何年生? 何学部?」
「えっ……と、実は私、他大学なんです。サークルでこちらにお邪魔しているだけなので……」
「なるほど。他大学の学生なのに、なぜ、僕の事を知っているんですか?」
そこで華子はパッと顔を輝かせた。
「だって、先生は本を何冊も出版されている有名な精神科医の貝塚先生でしょう?」
「はい」
「だからこそ心配して言ってるんです! あなたみたいな有名な方が、なぜ栞と一緒にいるのか理解できません。先生は有名人だから、あんな子と一緒にいるとリスクしかないと思って心配してるんです!」
「リスク? リスクって一体何?」」
「あの子は本当にあざといんです! だから先生が騙されるリスクです!!!」
直也はいい加減、堪忍袋の緒が切れそうだった。しかしなんとかグッとこらえると、冷静にこう言い返した。
「君がどうしてそんなに彼女のことを悪く言うのか、まったく理解できないなぁ。彼女はそんなに悪い子じゃないと思うけど? それに、君と僕は今初めて会ったばかりだよね? 初対面の相手にいきなりあれこれ忠告されても、説得力がないんだなー。つまり僕が言いたいのは、君がいくら彼女の悪口を言っても意味がないってことなんだ」
直也の口調は、きっぱりとしていた。
自己愛の強い華子のようなタイプは、自分は愛され受け入れられて当然だと思い込んでいる。
親や周囲から甘やかされて育った結果、自分の能力を過大評価し、傲慢になることが多い。
こうした性格が他者への思いやりを妨げ、人間関係の距離感を誤ることでさまざまな問題を引き起こしてしまう。
そのようなタイプには、論理的に攻めるしかない。決して相手の主張を認めてはいけない。
案の定、華子は反論されると顔を真っ赤にして怒り出した。
「先生が困らないようにせっかく教えてあげたのに、そんな言い方ひどいです!」
華子は吐き捨てるように言うと、ヒールの音をカツカツと響かせながらその場を後にした。
カフェの入口には、重森が立っていた。
華子は重森の腕に手を絡ませると、彼に何かを訴えるようにしながらカフェを出ていった。
その姿を見届けた直也は、深いため息をついてから再びパソコンへ向かった。
カフェを出た華子は、重森にこう聞かれた。
「お前、あいつと何話してたんだ?」
「栞のことに決まってるじゃない! あの子には注意した方がいいって、せっかくアドバイスをしてあげたのに、あいつったら私の意見を全否定よ! もうムカつく! なんなのよ、もうっ!」
「鈴木栞の何に注意するんだ?」
「もちろん、あの子の腹黒くて計算高いところよ! みんな、あの子の純情そうな表の顔だけ見て騙されちゃうんだもん!」
それを聞いた重森は、少し呆れていた。
(腹黒いのは、お前の方だろう?)
重森は、華子と四年間関わってきて、おおよそ彼女については熟知していた。
その華子が、栞の方が腹黒いと言っているのだから、思わず笑いがこみ上げてくる。
「お前がアドバイスしたって、なんの説得力もないんじゃない? それに、告げ口されても、男は萎えるだけだぞ」
「えーっ、なんでよぉ、あの子、本当に狡賢いのよぉ~」
「俺にはそうは見えないけどな。思いっきり純粋に見える」
「やだ、もしかして悟まで騙されちゃったの? 魔性だか何だか知らないけど、純粋そうな女ほど、厄介なものはないのよぉ~」
華子はかなりイラついた様子で、そう言い放った。
そして、心の中でこう思う。
(あの子が私よりいい男をつかまえるなんて、絶対に許さないんだから!)
一方、重森は冷めた気分でこう思っていた。
(医学部の勉強もいよいよ忙しくなってきたし、そろそろこいつを切るかな……)
そんな重森の頭には、あの日、正門の前で華子に堂々と言い返した栞の凛とした姿が浮かんだ。
(俺がタイプは、一見おとなしそうでも芯をしっかりと持った栞のような女なんだよ)
そう思った重森は、自分の腕を掴んでいる華子の手を雑に振り払い、彼女を置き去りにしてその場を立ち去った。
「ちょ、ちょっと悟? 悟ったら、待ってよー!」
驚いた華子は、慌てて重森の後を追った。
その日、講義を終えた栞はバイト先へ向かった。
今日は夜10時までのシフトだった。
ロッカーへ行くと、ちょうど瑠衣がいたので土産のクッキーを渡した。
「瑠衣、これお土産」
「うわぁ、可愛い♡ ムーミンのテーマ―パークの? ありがとう!」
瑠衣は嬉しそうにクッキーの缶を受け取ると、ニヤニヤして言った。
「で? 誰と行ってきたの?」
「それは…….」
「貝塚先生とでしょ?」
「え? なんで分かるの?」
「だって、顔に書いてあるもん」
瑠衣はケラケラと楽しそうに笑う。彼女は、かなり前から栞が直也に好意を寄せていることに気づいていた。
「嘘! 書いてないもん」
「書いてあるってば! そっかぁ~、とうとう初デートしたんだね~」
「うっ……瑠衣の鋭さには降参!」
「ふふっ、鋭い瑠衣様を誤魔化してもダメよ! で、どんな感じだったの?」
そこで栞は、さくっとデートのことを瑠衣に話した。
その際、直也から交際を申し込まれたことも正直に報告した。
「ヒャーッ、栞、やったじゃん! 想いがようやく叶ったんだね! おめでとう!」
「ありがとう! でも、あんまり実感ないんだけどね」
「それは、これからだよ! あ~、でも、とうとう栞にも彼氏ができたかー! となると、私も真剣に頑張らないとな―!」
「そうだよ、瑠衣! 頑張れ!」
「うーん、そうなんだけどさぁ~……おっと、もう時間だ。詳しい話は、また今度ね!」
「了解!」
それから二人は、仕事場へ向かった。
店内は午後八時過ぎまでは満席だったが、八時半を回る頃から空いてきて店内も落ち着きを取り戻した。
「やっと一息つけるね」
「ほんと、今日はなんか忙しかったねー」
その時、また一組の客が入ってきた。
「いらっしゃいませ!」
客の方を向いて声をかけた栞は、そこにいる人物を見た途端、急に青ざめた。
そこに華子がいたからだ。
今日の華子の連れは、重森ではなく、栞が見たことのない男性だった。
シルバーフレームの眼鏡をかけたスリムで背の高い男性は、重森とは正反対のタイプのインテリ系だ。
昔、華子が話していた法学部の学生だろうか?
栞は一瞬躊躇したが、意を決して華子たちがいる席へ向かった。