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部屋の隅のみかん🍊@活動休止
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#ぷちひなフレンズ
米好き
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ねむい
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養護の教師が職員室へ連絡を入れている間、日下部は廊下で待っていた。
拳を握ったまま、何度も開いては閉じる。
さっき見た遥の姿が頭から離れない。
濡れた制服。
動かなくなった身体。
周りで笑っていた連中。
そして、倒れる直前まで遥が何も言わなかったこと。
もっと早く止められた。
そう思う。
けれど、同時に分かっている。
今日だけじゃない。
自分が気づいたあとも、遥は何度も同じ目に遭っていた。
それなのに、自分は「大丈夫か」と声をかけるだけだった。
怒りが込み上げる。
誰に向ければいいのか分からない。
遥を追い詰めた連中にも、見て見ぬふりをした教師にも。
そして何より、自分自身にも。
「日下部くん」
養護の教師に呼ばれ、顔を上げる。
「学校からご家庭への連絡はします。ただ、今日は本人を一人にしないほうがいいと思います」
「……はい」
「ご家族に連絡がつかなかった場合は、学校から改めて対応します」
日下部は頷いた。
「俺の家で休ませることについては、保護者の了承を取ってもらえますか」
「分かりました。あなたのご家族にも確認が必要ですね」
「お願いします」
必要な確認が済むまで、日下部は保健室の外で待った。
しばらくして、養護の教師が戻ってくる。
「日下部くんのご家庭からも了承をもらいました。学校からも保護者へ連絡します」
「……分かりました」
それでようやく、日下部は保健室へ戻った。
遥はベッドの上で目を閉じていた。
「遥」
「……ん」
「今日、俺の家に行くことになった」
遥の目が開いた。
「……嫌」
即答だった。
日下部は少し驚いた。
「なんで」
「行かない」
「でも今日は教室に戻れない」
「帰る」
「家に?」
遥は黙った。
それから、小さく首を横に振った。
「……どこでもいい」
「じゃあ、俺の家でいいだろ」
「よくない」
声が少し強くなる。
「迷惑だから」
「迷惑じゃない」
「迷惑だよ」
遥は布団を握った。
「俺が行ったら、迷惑かける」
「遥」
「俺、帰るから」
ベッドから起きようとする。
けれど、身体がついてこない。
上半身を起こしたところで、ふらついた。
日下部が支える。
「触らないで」
遥が反射的に身体を引いた。
日下部は手を止めた。
遥は息を整えながら、俯いている。
「……俺、こういうの無理なんだ」
「何が」
「誰かの家に行くとか、世話になるとか」
「どうして」
「借りを作るから」
「借り?」
「助けてもらったら、返さなきゃいけない」
日下部は何も言わなかった。
遥は続ける。
「返せなかったら、嫌われる」
「……誰がそんなこと言った」
「誰も」
「じゃあ、なんで」
遥は答えなかった。
その沈黙だけで、日下部には十分だった。
ずっとそうやって生きてきたのだろう。
誰かに何かをしてもらう前に、自分が何を返せるかを考える。
返せないなら、最初から頼らない。
日下部は奥歯を噛みしめた。
「俺はお前に返せなんて言わない」
「今は、だろ」
「違う」
「……分かんない」
遥の声が震える。
「優しくされても、あとで嫌になるかもしれない」
「俺が?」
「俺が」
遥は顔を上げた。
「俺なんか家に置いたら、絶対後悔する」
日下部はしばらく遥を見た。
怒鳴りたくなる。
そんなふうに自分を扱うなと言いたい。
でも、今それをぶつけても届かない。
だから声を落とした。
「後悔するかどうかは、俺が決める」
遥が黙る。
「お前が決めることじゃない」
「……」
「今日は俺の家に来い」
遥はまた首を横に振ろうとした。
けれど、もう抵抗する力が残っていなかった。
「……嫌だ」
それでも最後まで、拒む言葉だけは消えなかった。
日下部はその言葉を否定しなかった。
「嫌でもいい」
遥が顔を上げる。
「でも、一人で帰すつもりはない」
その声には、怒りが滲んでいた。
遥に向けたものではない。
もっと早く気づけなかった自分と、遥をここまで追い込んだもの全部に向けた怒りだった。
コメント
1件
この話、胸が痛かったです……。日下部くんの「後悔するかどうかは俺が決める」って台詞、すごく刺さりました。遥くんの「借りを作るのが怖い」って感覚、リアルで苦しくなる。助けを素直に受け入れられない気持ち、わかる気がする。あと「嫌でもいい」って言葉に込められた怒りと優しさの混ざり方が、ruruhaさんらしいなって思いました。続きが気になります。