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君の温もりを忘れない

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君の温もりを忘れない

3 - 第3話 消える事の無い大切な記憶

♥

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2025年08月18日

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――翌日


俺は、いつも通り高校に向かっていた。

足取りは重い。


今日は、俺以外の家族が全員体調を崩したために 一人で学校に行っていた。


なぜだか分からないが、嫌な予感がよぎっていた。

頭痛がする。

吐き気もする。


俺、大丈夫か…?

あ、でも、今日はしんどい日なのかも知れないな。


俺はそう思い、特に気にしてはいなかった。


だが、明らかに俺がおかしい事を確信したのは、高校に着いてからだった。


「おはようございます。」


俺は門の前に立っていた先生に、いつものように挨拶した。

すると、毎回笑顔で返してくれていたのに、今日は恐ろしい顔をして俺の顔を覗いたんだ。

そして、戸惑う俺にこう告げた。


「君、誰だ?うちの生徒じゃないな?」

「へ…?」

「その制服、春川高校だろう?ここは夏海高校だぞ。どうしたんだ?何か用か?」


「え、ここ、夏海高校?そんな…、馬鹿な!」


俺はいつも通り登校したはずなのに、どうして別の高校にたどり着いたんだ?

おかしい、おかしいだろ?

道は迷わないはずだろ?

どうして?

どうして____?


俺の精神は、しだいにおかしくなっていく。

何かが壊れていく気がした。

崩れる、ダメだ…

もう間に合わない……っ


目が自然と閉じていく。

だんだん視界が歪んでいく。


昨日と同じだ。


俺、一体―――

どうな―――る―――






―――俺が目を覚ますと、どこかで見た光景が目に飛び込んできた。

同じ感覚だ。

なぜか落ち着く。

周りには、家に居るはずの那子と海青が居た。


「お、お兄ちゃんっ!!目、覚ました…?分かる?私だよ?」

「え?分かるけど…」


一体何を聞いているんだ?

当たり前じゃないか。


「よ、良かった……私の名前、言ってみてくれる?」

「那子。」

「即答だ――良かった!本当に良かったっ!」


那子の事が分からないはずが無い。

何故名前を呼んだだけで、そんなに喜んでいるんだろう――


「じゃ、じゃあ俺も分かるよな…?」

「海青。」

「当たりだ!やった、忘れられてなかった…」

「は…?」


俺が混乱していると、医者らしき人がやって来て、俺に現在の状況を話してくれた。


「……つまり、俺は頭を強打したから、記憶が一部無くなっている可能性があるって事ですか?」

「そうなりますね。意識が遠のいた時、後ろに転倒してしまったんでしょう。」

「そのため、頭に重症を負っています。幸い、命に別状はありませんでしたが。本当に良かったです。

亡くなっていてもおかしくなかった状況ではあります。」


その言葉に、俺は何も返せなかった。

奇跡的に助かって、俺は今ここに居る。

最後まで人生を全うできる資格があるんだ___!


“神様、ありがとうございます。”

“一生この恩を忘れません。”


俺は涙を流しながら、心の中でそう感謝を伝えた。


だけど、まだ問題はある。


「ですが翔太さん、先程言いました通り、一部の記憶が喪失している可能性があるんです。」

「試しにテストをしてみようと思います。ご家族の事から問題を出しますね。」


そして医者は、次々と俺の家族についての問題を出した。

好きな食べ物、旅行先、朝食に飲んだ物、普段の生活習慣―――

などなど、俺が知ってるはずの内容ばかりだった。


だけど、その多くは思い出せなかった。

考えても考えても、出てこない。

家族の事のはずなのに―――

那子達の名前は出てきたのに―――


悩みに悩んでいる所で、悔しくも時間切れとなった。


「……残念ですが、記憶が喪失していると見て間違いないです。」

「っ…!」


泣きそうになっている俺に、医者は優しく俺に話してくれた。


「ですが、覚えていらっしゃる事も沢山あります。全て失った訳ではありません。」

「希望を持ちましょう、翔太さん。前を向いて生きていれば、きっと良いことは起きます。」

「思い出を作りましょう。」


俺は何度も何度も 首を縦に振り、溢れた涙を拭き取った。

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