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そして今、通学路を一人トボトボと歩いている。
日差しがきつく、影は短かった。
足元がふわふわして、何だか現実味がない。
久しぶりに登校して、いろいろ情報や刺激が多くて頭の中の情報処理が追い付いていないんだと思う。
早く帰ろう。早く帰って休みたい。
そう思って、少し歩調を速くしようとした時だった。
プッ、とクラクションの鳴る音が聞こえた。
驚いて振り返ったうちの視界に飛び込んできたのは、一台のみ知らぬ車。それは黒いアルファードだった。窓はスモークで処理されており、中を窺い知ることはできない。
うちを追い越し――、行く手を阻むように車体を歩道に乗り上げさせてくる。
「えっえっ、何?」
うちは狼狽していた。記憶をたどってみても、あんな厳めしい車に乗っている知り合いはいない。
ま、まさか、誘拐犯とか……?
物騒な想像が頭の中を駆け巡り、思わず後退った時だった。
アルファードのスライドドアが開き、出てきたのは、厳めしい車体とは不釣り合いな柔和でまだ若い、大学を卒業したくらいのお姉さんだった。
#異能
#伝奇