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(襲われるシーンあります。苦手な方はごちください。直接描写はありません)
✴︎✴︎✴︎
「お初にお目にかかります。エリー・ラングトンと申します。
本日よりお世話になります。」
馬車から降り立つと、気持ちを切り替えてエリーは丁寧に挨拶を述べる。
「お待ちしておりました。こちらへ」
出迎えたのは、一人の家令のみだった。
旦那様どころか、誰の姿も見当たらない。
私は、歓迎されていないのだわ……。
こんな対応はあんまりだわ。
お金で買われたみたいじゃない。
結婚は初めてではないとのことだから、2回目以降は、こういうものなのかしら。
それでも私にとっては、初めてのことなのに。
そういえば、お子様のことは耳にしていないわ。
もしかしたら、何らかの理由でお子様がっできなかったのかしら。
子供ができなかったら、私も離縁されるのかしら……。 もしそうなった時は、お父様は、受け入れてくださるかしら。いいえ、あの家にはもう戻りたくはない。
貴族にとって、政略結婚は珍しくない。
泣き言を言っても、意味のないこと。
嫁いだ家に馴染めずに、心を病む者もいると聞くけれど。
離縁すると、女性は傷物として扱われる。
例え男性側に非があったとしても……。
理不尽だわ。
結婚すると女性は、魔力が安定する。
なので、離縁した女性は、再婚は義務づけられていない。
魔力の暴走を防ぐ為に、若い女性の結婚が優先される。
結婚後の魔力の暴走の事例はない。子供の有無に関わらず。
恐らく、男女の営みが関係するのではないかと私は思っている。
結婚まで処女が美徳とされる貴族とは違い、平民の間では割と自由な恋愛が行われている。
魔力の強いものは貴族が多く、平民には生活魔法程度も扱えない者が大半だった。
貴族女性は、魔力の暴走を恐れて20歳まで過ごす。
そのため、魔力の安定のために、仕方なく女性を助けてあげている、という奢った考えを持つ貴族男性が多かった。
男尊女卑とまでは言わないが、必然的に男性優位となっており、女性にとっては生きづらい世の中だった。
自分の意見を言っただけで、暴力を振るわれる家もあった。女性は従順であれ、という暗黙のルールがまかりとおっていた。
家令と共にエリーは長い廊下を歩いて行く。誰一人すれ違うこともない。
自分も、もしかしたら酷い扱いを受けるのではないか、と不安に押しつぶされそうだった。
物音一つしない静寂な空間が続くので、一層不安感が増す。
人の気配を感じられず、花嫁を迎える晴れやかな雰囲気すら感じられなかった。
まるで、エリーを
拒絶しているようだった。
「失礼します」
「入れ」
邸の主人の部屋に辿り着くと、
一礼して家令は立ち去った。
部屋に取り残されてエリーは戸惑いを隠せない。
緊張しながらも、邸に到着した時と同じく自己紹介の言葉を紡ぐ。
淑女として優雅に見えるように、一連の動作に気を配りドレスの裾を掴み、一礼する。
「お初にお目にかかります。エリー・ラングトンと申します。クリフォード・キャンベル辺境伯様」
「そんなに畏まらなくていい。
君が、次の花嫁か。
なんだ……普通だな。
もっと、こう……肉付きの良い感じが好みなんだが。
まぁ、それでも、問題ない。逆に普通の方が、
名誉ある100番目にピッタリの供物かもしれないな。
あぁ、名前も好きに呼ぶといいさ
どうせ一度きりなんだから。」
「──あの?」
頭を上げて声の主の姿を捜すエリー。
意味不明な言葉を口にだしつつ、ゆっくりと距離を詰めてくる。
エリーはその男性の姿を一目みて、息を呑む。
太陽の光のような輝く金髪、中世的な顔立ち、細身の体躯。まるで時を忘れたように魅入ってしまうような美丈夫だった。
この方が、私の旦那様となる方。キャンベル辺境伯様。
「あぁ、君は気にすることはないよ
じゃあさっそく始めようか」
始める? いったい何を?
会話の内容が、意味不明すぎて理解が追いつかないエリー。
胸騒ぎがして、思わずじりじりと後退りする。
不敵な笑みを浮かべるクリフォード。
エリーを逃がすまいと、一気に詰め寄る。
「‼︎」
エリーは、あっという間に抱きしめられて口を塞がれていた。
驚き、硬直するエリー。
そんなエリーを気遣うこともなく、クリフォードは乱暴に貪るように襲い掛かかる。
引きずるようにベッドへと押し倒され、ドレスの胸元が破かれる。
まるでその瞳は獣のようで、恐怖から声も出せないエリー。
逃げ出そうともがいてはみたものの、軽々と押さえつけられる。
「初夜だからって夜まで待つ必要はないよね?
どうせ、式もあげないんだし、全て省略だ。」
「いや!待ってください!こんな、こんな……こんな扱いはあんまりですっ!」
「恨むなら差し出した父親を恨むんだな!
貴族の務めは果たさなきゃ、 だろ?」
「いやーーーー!!!」
必死の抵抗も虚しく、エリーの純潔はクリフォードによって無惨に散らされた。