十二月中旬のある日、詩帆の元へ涼平からメールが来た。
【明後日の日曜日は詩帆も休みだったよね? よかったら土曜日からうちに来ないか?】
詩帆はカフェの仕事を終えた夜9時半頃そのメールを見た。
キャンプから帰って二人はその後も何度か会っていた。
涼平は詩帆の家に何度か泊まったが、お互いに忙しくしていたのでなかなかゆっくりと二人で過ごす時間は持てずにいた。
詩帆はそのメールを見て喜ぶ。詩帆も涼平とゆっくり一緒にいたいと思っていたからだ。
【うん行く。でもその日仕事だから4時くらいじゃないと行けないかも】
詩帆がそう返信すると涼平からすぐに返事が来た。
【もちろんその時間でOKだよ。夕飯は一緒に買い物に行ってうちで作ろう。そういうなんでもないデートもいいだろう?】
涼平のメッセージを見た詩帆は嬉しくて思わず笑顔になった。
【うんわかった。じゃあ4時にお邪魔します】
【了解】
その後涼平から住所が送られてくる。涼平の部屋へ行けると思うと詩帆は嬉しくてなんだかワクワクした。
鼻歌を歌いながら詩帆は元気に自転車を漕ぐ。冬の澄んだ空には数えきれないくらいの星が瞬いていた。
そして土曜日がやってきた。
詩帆は早番で朝早くから元気に仕事をこなしていた。
あまりに溌溂とした詩帆を見て同僚達は皆「今日はなんだか楽しそうねー」と口を揃えて言う。
この日詩帆は涼平に家へ遊びに行く事になっていたので嬉しくてつい顔に出てしまったようだ。
詩帆は仕事を終えるとアパートへ帰り、昨夜作っておいたチーズケーキを手に涼平の家へ向かった。
涼平のマンションは詩帆の家から歩いて5分で着いた。
大体の場所は知っていたが正確な場所は知らなかったので今日初めてそのマンションを見た。
白いマンションの前には大きなヤシの木が植えられていた。その横は駐車場になっていて車が七台ほど停まっている。その中に涼平の車もあった。
マンションのエントランスの横には海から上がって来てそのまま体やボードを洗えるシャワーがついている。そしてその奥にはサーフボードを収納できる倉庫があった。
(サーファーの為に作られたようなマンションなのね)
詩帆はそのマンションが菊田の所有するマンションである事を思い出し納得する。
それから詩帆はエレベーターに乗り涼平の部屋まで行った。
インターフォンを押すとすぐにドアが開き涼平が笑顔で出迎える。
「いらっしゃーい、さあどうぞ」
「おじゃまします」
詩帆が部屋に入るとリビングは南向きのとても明るい部屋だった。
間取りは1LDKでウッディーな家具に観葉植物がアクセントになっているとても素敵な部屋だった。
オシャレなラグが何枚か敷かれ窓際には木枠にブルーグレー布製のソファーが置かれている。
白い壁にはサーフボードが二つ掛かっていていかにもサーファーの部屋という雰囲気だった。
「まるで海にいるみたいで素敵ねー」
詩帆が素敵な部屋を見て感動していると涼平はこう言って笑った。
「海の中へようこそー」
その後涼平がコーヒーを淹れてくれたので詩帆はチーズケーキを出した。
ケーキの準備は詩帆がする。
二人はチーズケーキを食べて会話を楽しみながら久しぶりに二人だけの時間を過ごした。
好きな人の家でこうしてお茶を飲みながら楽しくお喋りをする。ただそれだけの事が今の詩帆にとってはとても幸せでかけがえのない時間だった。
涼平も自分の部屋に詩帆が入った瞬間、言葉では言い表せない幸せを感じていた。
今までなんとなく無機質に感じていた部屋に詩帆が入っただけで急に温かみのある部屋へと変わる。
詩帆がいるだけで居心地の良い安らげる空間へと変化した。
涼平はコーヒーカップの先に見える夢中でお喋りを続ける女性の事をこのうえなく愛しく感じていた。
その後二人は手を繋いでスーパーへ行った。
夜は鍋にしようと意見が一致し、鍋の材料と美味しそうな日本酒を一本買って帰った。
二人仲良くキッチンに並び鍋の準備をする。
詩帆は涼平と知り合って以降料理をするようになり包丁の扱いもだいぶ上手になっていた。
好きな人に美味しい物を作ってあげたいという気持ちが詩帆の料理の腕を上達させていた。
準備が出来ると二人はテーブルへ行き鍋パーティーを始める。
熱々の鍋が出来上がるとフーフー言いながら食べた。そして買って来た日本酒を楽しむ。
食事の後片付けが終わると涼平がコーヒーを淹れ、詩帆が持ってきたチーズケーキの残りをデザートに食べた。
その後二人はソファーに並んで座り映画を観た。
海を舞台にした大人の恋愛映画はとても切ないラストで詩帆は涙ぐみながら観ていた。
映画が終わると二人はソファーでキスを始める。そしてそのまま熱い抱擁へと変わって行った。
詩帆はこの頃になると恋人同士のスキンシップにもだいぶ慣れていた。
この日も詩帆の方が積極的にキスを求める。そんな詩帆を涼平は嬉しそうに受け入れていた。
コメント
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涼平のお部屋でおうちデート💑 あのキャンプ以降、 二人の間の信頼感と 愛も、更に深まってきましたね💖✨ 出逢った最初の頃と比べ 積極的になってきた二人.... 詩帆ちゃんは料理の腕を上げ、二人で仲良く食事作り🍳🔪🎽 お互い 愛する人が傍にいる幸せを噛みしめていて💏♥️ これは結婚も もうすぐ...⁉️💝💒💍✨
詩帆ちゃんも涼平さんも出会った当初の頃の初すぎて手も繋げず話もそこまでではなくて、という頃を思い出すと本当に恋人同士でお互いを信頼して愛してて身体の相性も抜群で❤️❤️と良い風に大きく変化したなぁ👨❤️💋👨って思えてとても嬉しいです😊🥹💞 お泊まりでも詩帆ちゃんが積極的だったりこれから先夫婦になってもお互いを尊重して愛し合う2人でいてくれそう😊😭💓