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#だてなべ
milk
<7:38>
次に向井が目を覚ましたのは早朝だった。
朝日がカーテンから差し込み時計を見なくとも時間の経過を感じた。
🧡「……んぅ?」
眠る前はブランケットを被ったはずが、毛布になっている。
床で寝たはずがなぜかソファで寝ている。
そして背中が温かい。
🧡「……ファ!?」
首だけ後ろの方に向けると眠っている目黒の腕の中にいることに気づいた。
向井は現在目黒の抱き枕状態だ。
寝息がかかるほどに近い。
頭が若干のパニック状態になっている。
🧡(今めめに抱きしめられとる……!)
動くと目黒を起こしそうで中々動けない。
机に置いてあるスマホをどうにか取れないかと腕を頑張って伸ばす。
絶妙に届かない。
🧡(もうちょいで届きそうなんやけどな…)
少し身を乗り出して腕を伸ばす。
すると心做しか目黒の腕の力が入りグイッと引き寄せられた気がした。
🧡「……ん?」
もう一度動いてみる。
やはり目黒の腕の中に引き戻される。
目黒の方を見るも瞳は閉じたままで一定のリズムで呼吸をしている。
🧡「……めめ……起きとるやろ」
🖤「…………起きてないよ」
🧡「起きとるやんけ笑」
🖤「んふふふ」
🧡「どしたん俺が離れるんが寂しいん?笑」
🖤「いや寒くてさ」
🧡「めめちゃんツンデレやなぁ」
🖤「ちょ康二離れないで寒い。俺まだ寝るから」
🧡「スマホだけ取らせてぇや」
渋々目黒は向井を離し、ようやくスマホが取れる。
再び向井を腕の中に収め目黒は寝息を立て始めた。
🧡(めめがちっさい頃は俺がめめを抱きしめて寝とったのにな…ほんまに大きなって……)
そうしみじみと感じながらひたすらスマホで時間を潰すことにした。
10:27
🖤「……んぅ…」
🧡「おっ、めめ起きた? 」
🖤「……おはよこーじぃ…」
あれから3時間、目黒はずっと向井を抱きしめたまま寝ていた。
目黒は寒いからと言っていたが向井は胸の高鳴りのせいで暑いくらいだった。
🧡「め、めめ……ごめんやけど……水入りたい…」
🖤「いいよ、捕まって」
向井を風呂場に運び浴槽にそっと降ろしたあと水を貯める。
🧡「ごめん、結構頻繁に入らんとキツいかも…」
🖤「大丈夫大丈夫、好きなだけ入りな。はい、上脱いで」
寝る前にも入ったはずだが半日もしないうちに体が乾く。
目黒に頻繁に運んでもらうのも申し訳なくなってくる。
🧡「ホンマありがとうな、めめ昨日風呂入ってへんやろ」
🖤「気にしないで、俺今日はシャワーでいいから」
そう言って目黒は風呂場から退出していく。
1人になり蛇口から水が流れる音だけが響く中で向井は天を仰いだ。
🧡(明日仕事やけど……俺どうしよ…在宅に変えてもらう……?休職……? いっそ辞めるか…?)
今日が日曜日で明日からまた仕事が始まる。
もちろんこの姿で仕事なんて行けない。
今日中に決めなければ……
<ガラッッ>
そう考えていると風呂場のドアが開く音がした。
🧡「おん?めめどした…ってウェァアァァ!?」
向井は驚きのあまり奇声を発する。
目黒が全裸で入ってきたからだ。
🖤「驚きすぎじゃない?シャワー使うよ」
🧡「いや確かにシャワーでええて言うとったけど!」
🖤「昔はよく一緒に入ってたし温泉とかも行ってたじゃん」
🧡「……それはそうやけど…!」
たしかに昔は一緒に風呂に入ったこともあるし家族同士が仲が良く、家族ぐるみで温泉旅行に行ったこともあった。
ただ向井が目黒に対して片思いしだすようになる頃には裸を見る機会なんてなかった。
故にまともに顔を見れない。
🧡(おっ……俺の気も知らんで……!!)
向井が分かりやすく目を逸らしているのを横目に目黒は手早くシャワーを済ます。
🖤「康二もシャンプーする?」
🧡「…しよかな」
🖤「そのままでいいよ後ろ向いて」
🧡「えっめめがするん?」
🖤「うん」
🧡「…ほんなら甘えよかな」
向井は浴槽に入ったまま目黒に背を向け頭だけ委ねる。
🧡「あれやってや。お痒いとこないですか〜ってやつ」
🖤「……お痒いとこないですか?」
🧡「ないですね〜」
🖤「なんなの笑」
シャンプーの気持ちよさに向井がうっとりした顔になってるの目黒が微笑む。
🖤「はい流すよ〜」
泡を流して頭がさっぱりした所で目黒の方をむく。
🧡「ありがとうな」
🖤「どういたしまして笑……ん?」
🧡「どしたん?」
目黒が何かに気づいたような顔をした。
と同時に顔を一気に近づけてきた。
🧡「うぉ!な、なんやのん!?」
🖤「康二……首…痛くないの?」
🧡「え?なんも?」
🖤「だって……首切り傷みたいなのできてるよ」
🧡「え?」
言われて向井は自分の首を撫でてみる。
確かにそこには切り傷、というよりは切れ込みが入っているようだった。
🖤「まってまって反対もあるんだけど。ほんとに痛くないのこれ?」
🧡「ほんまに痛ない、見たいんやけど」
🖤「鏡で見る?おいで」
目黒は恐らくまた浴槽から出そうとしてくれたのだろう。しかし……
🧡「……じ、自分で出る!」
🖤「あ、そう?すべんない?」
🧡「大丈夫やって!」
目黒も向井も当たり前だが全裸状態だ。
密着するのはさすがに緊張する。
向井は勢いよく自分で浴槽から出て シャワー横にある鏡で首元を見てみる。
🧡「……ほ、ほんまや…なんこれ?」
🖤「それ……もしかして…鰓なんじゃない…?」
🧡「まさか!そんなこと……!!」
向井は意識して首に力を入れてみる。
すると、首の両側にある切れ込みがクパッと開きその動きは魚が水中で呼吸する時に動かす鰓その物であった。
🧡「そんなこと……!あるかもしれん」
🖤「やっぱり?ってことは康二水ん中で息できるってこと? 」
🧡「せやったら俺……オリンピック出れるんちゃう?」
🖤「あぁ、息継ぎしないでいいから?笑」
🧡「そう笑 」
🖤「人魚の時点で反則負けかも笑。というか飛び込みできなくない?」
🧡「夢くらい見させてぇや!」
目黒が受け止めてくれるおかげか、向井は自身の体の変化に少しポジディブに考えるようになり始めた。
2人に待ち受けている運命がどんなものか、露知らずに。
𓏸 𓈒 𓂃 EPISODE 1. END𓂃 𓈒𓏸
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