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鏡を見るたび、思う。
──この顔に、何の意味があるんだろう。
笑えば誰かが冷たくなる。
黙れば「無愛想」と言われる。
どんな表情をしても、誰かの不快を呼ぶ。
それなら、何も映さないほうがいい。
心を空っぽにしてしまえば、
少なくとも、誰かを傷つけずに済む。
「自分を大切にしろ」
そう言われても、どうやって、と思う。
大切にするほど、壊したい気持ちが強くなる。
だって、この身体の中にいる自分が、
世界でいちばんの“汚れ”みたいに感じるから。
──なんで生まれてきたんだろう。
子どものころ、何度も考えた。
でも、答えはいつも同じ場所に戻る。
“仕方なかった”という言葉。
それだけが、自分を許してくれるようで、
それだけが、自分を縛り続けている。
誰かに優しくされても、怖い。
いつか裏切られるってわかってるから。
信じたいと思っても、信じることが裏切りの始まりみたいで、
心を開く前に閉じる癖がついた。
泣きたいときもある。
けれど、涙を出す力がどこかへ消えてしまった。
痛みを感じても、「ああ、またか」と思うだけ。
痛みよりも先に、諦めが来る。
たぶん、自分はもう“人”として壊れてるんだと思う。
感情を隠すことが生きる術になって、
傷つくことさえ、日常の一部になってしまった。
それでも、生きてる。
呼吸をして、朝が来たら起きて、
人の声を聞いて、何も言わずに笑う。
それが“生きてる”ということなら、
きっと自分は、ちゃんと生きている。
──でも、それが生きる意味だとは、思えない。
心の奥で、誰かが小さく囁く。
「もういいよ」って。
だけど、その声に答える勇気も、
もうどこにも残っていない。
だから今日も、静かに目を閉じる。
明日もまた、自分という欠片を
壊さないように抱えながら。