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Ren .
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「消えろよ」
短く落ちる。
笑いが広がる。
軽いはずの言葉が、そのまま残る。
「それが一番マシ」
重なる。
「空気悪くなんねえし」
誰かが言う。
視線が集まる。
逃げ場がない。
「どうすんの?」
続く。
「できる?」
答えは求められていない。
ただ詰めるための言葉。
遥は何も言わない。
言葉が出ない。
喉が引っかかる。
「黙るなよ」
肩を掴まれる。
揺らされる。
「さっきまで喋ってたよな」
顔を近づけられる。
「今は何?」
逃げ場がない。
「……無理だろ」
出る。
小さく。
それでもはっきり。
間。
その一瞬で、空気が落ちる。
「は?」
低い声。
「無理?」
繰り返される。
「何が無理なの?」
詰められる。
「消えるのが?」
笑いが混じる。
だが温度は低い。
「当たり前だろ」
遥が言う。
止まらない。
「できるわけねえだろ」
続けてしまう。
一瞬、静まる。
そのあと、衝撃が来る。
腹。
深く入る。
息が完全に抜ける。
体が折れる。
「口だけは回るな」
上から落ちる。
背中を蹴られる。
床に崩れる。
「じゃあさ」
誰かが言う。
「消えられねえなら、どうすんの?」
逃げ道がない。
答えを出させる形。
遥は息を吸おうとする。
うまく入らない。
それでも出る。
「……できるだけ、関わらない」
言葉が途切れながら出る。
「目立たないようにする」
続ける。
「邪魔しないようにする」
出す。
間。
そのあと、すぐに崩れる。
「それもうやってるだろ」
誰かが言う。
「それでこれだろ」
重なる。
「意味ねえじゃん」
笑い。
肩を掴まれる。
引き起こされる。
足がふらつく。
「なあ」
顔を近づけられる。
「結局さ」
少し間を置く。
「何してもダメなんだよ」
言い切られる。
逃げ場が完全に消える。
遥は何も言えない。
その沈黙に、また言葉が重なる。
「だったらさ」
誰かが言う。
「やっぱ消えるしかなくね?」
笑い。
軽く言う。
だが外れない。
「なあ」
肩を押される。
バランスが崩れる。
「どうすんの?」
繰り返される。
遥は口を開く。
止められない。
「……なんで俺だけなんだよ」
出る。
小さく。
それでも止まらない。
「他にもいるだろ」
続けてしまう。
「遅いやつも、ミスるやつも」
呼吸が乱れる。
「なんで全部こっち来るんだよ」
言い切る。
一瞬、完全に静かになる。
空気が止まる。
そのあと、ゆっくり歪む。
「へえ」
誰かが言う。
低く。
「言うじゃん」
笑いが混じる。
だが軽くない。
「じゃあさ」
前のやつが言う。
距離が詰まる。
「選ばれてんだよ」
短く。
「分かる?」
視線が刺さる。
「他は違うから」
重なる。
「お前だけそうだから」
断定される。
遥は何も返せない。
喉が動かない。
「ほら」
誰かが言う。
「納得した?」
笑い。
答えは求められていない。
ただ押し込むための言葉。
遥は立ったまま動けない。
さっき出した言葉だけが残る。
ここでは、理由はあとからいくらでも付けられる。何を言っても、それに合わせて形が変えられるだけで、外れる方向には進まない。出した本音も、そのまま材料にされて、逃げ道を狭くするために使われる。
コメント
1件
読んだよ……第12話。 この空気、本当に息が詰まるね。逃げ場のない言葉の重なり、一歩も動けない遥の心情がひしひしと伝わってきた。特に「理由はあとからいくらでも付けられる」って部分、リアルすぎて苦しくなった。相手の理不尽さと、それに飲み込まれていく感覚、すごく丁寧に描かれてると思う。 ruruhaさんの描く「閉塞感」、いつも心の奥まで刺さるよ。続きもちゃんと受け止めさせてください。