この世界には、
「四次元スポット」と呼ばれる場所が、
無数に存在している。
数は、十億。
島の形をしたものもあれば、
街だけの場所、
建物ひとつ分しかない場所、
ほとんど大陸のような広さを持つ場所もある。
空が紫が多く、緑・黄色のところのスポットがある。
それぞれのスポットは、
距離や国境ではなく、
番号で管理されている。
人は、
四次元装置を使い、
行きたい番号を押す。
それだけで、
場所が切り替わる。
移動は、
特別な行為ではない。
買い物に行く。
学校に通う。
少し遊びに出る。
その延長として、
人はスポットを行き来している。
料金は、
どこへ行っても同じ。
遠いも、
近いも、
意味を持たない。
便利で、
平等で、
簡単な仕組みだ。
けれど、
行けることと、
住めることは違う。
人が暮らすスポットには、
生活があり、
積み重なった時間があり、
簡単には動かせない事情がある。
ときどき、
スポットは、
静かに除外される。
理由は、
はっきり示されない。
ある日、
そこから先へ、
行けなくなる。
それでも、
世界は止まらない。
人は、
新しい番号を覚え、
新しい場所へ行き、
また日常を続ける。
番号で管理される世界の中で、
それでも人は、
帰る場所を、
感覚で選び続けている。
この物語は、
その選択の途中にいる、
ひとりの話だ。







