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「……ところでさぁ、このまま枕に顔を伏せったままでいるつもりなのかい?僕的には、その可愛い顔をじっくりと正面から見ながらしたいんだけどなぁ」 人の背後で、子供みたいに拗ねた声で言われても困る。しかも無駄にイケボとか。別の意味で心臓に悪いからホントやめて欲しい。
男はどうしても私を仰向けにさせたいのか頭をくっと軽く押したが私は必死に抵抗し、顔を突っ伏したままの状態を何とか死守した。だからか今度は残念そうな溜息が聞こえてくる。
「まぁ、君がそのままがいいなら、そのままでも良いけどさ。……後悔する事になると思うぞ?」
絶対に後悔なんかしない。そう言ってやりたいけど、怖くって声が出ない。
「もしかして、うつ伏せになっていれば僕が何も出来ないとでも思っているのか?確かにキスは無理だし、胸への愛撫もすっ飛ばすことにはなるけど——」と言い、男が私のお尻と太ももの隙間に指を入れてきた。そして指先だけで下着越しに、トントンッと秘部を軽く叩く。
「ココには触れるから、結局一番守りたいモノは野晒しのままだな」
意地の悪い声が耳の近くで響いた。言いなりにならない私の態度に悔しがるどころか、むしろこの状況を楽しんでいるみたいだ。
「脱がすから、腰を上げて?」
そう言って、男が私のパジャマのズボンに手を掛けた。だがこの状況で私が『はい』と素直に従う訳がないじゃないか。無言のままじっとしていると、男は「……はぁ」と大袈裟にため息をつき、ごそっと何処かから何かを取り出した。……そんな気がする。
「切るしかねぇか」
物騒な物言いにビクッと肩が跳ねた。パジャマを、であるとは思うが、この態度が気に入らないと急に刺されでもしたらと恐怖心が増していく。だが幸いにして切られていくのはパジャマだけの様だ。肌を傷つけない様になのか少し布地を引っ張りながら切っている。…… お気に入りだったのに。そんなぼやきも口に出来ないでいる間にもう、素肌が少しヒヤリとした空気に晒された。
「……パンツはどうすっかな。穿かせたまま横からハメるのも興奮するけど、今日は脱がすか」
続いてブラジャーも容赦なく切られ、パジャマの袖だけが腕に残っているというバカみたいな格好にさせられてしまった。恥ずかしくって、情けなくって、そしてやっぱり怖くて涙が出てくる。震えながら一人枕を涙で濡らしていると、男の手が私のお尻に直接触れてきた。
「愛撫も無しじゃやっぱ濡れてないか。……あぁ……こっちの穴にも挿れてみたいなぁ、流石に今日はやめておくけど。僕達の『初めて』がアナルからとか笑い話にしかならないしな」
(笑い話にもなりません!)
心の中だけで思いっきり叫んだ。こんな状況であるという時点で笑える要素なんか一つもないから。
「でも、いつかはこっちでもヤろうなー。やっぱひばりの全部を愛したいから」
お尻の穴辺りを指先で撫でながら言われて体が震えた。赤の他人に、そんな箇所を性的な目でまじまじと見られているのかと考えるだけで顔から火が出そうだ。
「やっぱ、顔も知らない男にはまだあれこれ触られたくはない、よな。んな訳で、自分でアソコが濡れる様にちょっと頑張ってみてよ」
「……?ど、どうやって」
そんな事言われても困る。さっぱりわからず、つい訊いてしまった。
「んー……ド定番だと自分の指を濡らして自慰をスルとか?もしくは、敢えて、強姦されて酷い目に遭う状況を想像するとかも案外ありかもな。女性は感じていなくっても、自衛の為に濡れるそうだから。……ほら、まさに今がそれに近いだろう?僕は君を心から愛しているけど、ひばりは僕をこれっぽっちも好きじゃないからな」
背後から男が覆い被さり、お尻の双丘に硬いモノを擦り付けてくる。『近い』どころかまさにソレなので想像自体は容易そうだ。
「ほーら、コレが腹ん中に挿入るんだって想像して?ぐちょぐちょになっている肉壁を容赦無くコレで擦られて、激し過ぎてお互いの肌がぶつかって、ぐぽぐぽ音をたてながら否応なしに気持ち良くされるのが気持ち悪くって、心と体の反応が一致しなくって混乱していってさぁ。子宮口とかもガンガン亀頭で突かれて苦しいのに、強い快楽で泣いちゃう姿を、さ」
体に男の体重がのしかかり、ただでさえうつ伏せのせいで苦しい呼吸が更に苦しくなる。窒息プレイでもされているみたいで全然言われた通りの想像なんか出来ない。
「……なぁ、今までココに何本挿れてきたんだ?——あぁ、やっぱ言わないで!聞いたら嫉妬で、絶対に相手を社会的に殺すから」
そんな相手はいないけど、それを言うのは癪に触る。でも沢山してきたと思われるのも何か嫌だった。
男が己の陰部を私の双丘に擦り付けるたびに体が否応無しに揺れる。そのせいで揉まれてもいないのに、うつ伏せで潰れた胸がちょっと気持ちいい。切られたせいで不自然に残っているショーツが肉芽に軽く当たったりもし、段々と変な気分になってきた。
「あーくそ!自分が、ひばりの最後の男になれるんだって喜ばないとなのに、やっぱ前の奴の存在を考えるだけでイライラしてくんなぁ」
ゴリゴリと強く、彼の猛りらしきモノがお尻の穴の方に当たる。布越しじゃなかったら、もし彼のモノが濡れでもしていたら、もうそのまま挿入ってしまいそうな勢いで。
「ひばりの可愛い姿は、エロいこの体は、もう俺のモノなんだから、とやかく言わないで落ち着かないと……くそっ」
素が出た様な言葉をボソボソと小さく男が吐き捨てる。重なっている体から伝わってくる彼の心音の方が大きいくらいの声量だ。
(……うぐぐっ。なんか、ちょっと可愛い、かも?)
揺さぶられているせいか、呼吸困難で酸素が足りないせいか、こんな相手に絆されつつある自分が信じられない。そのうえ次の瞬間には不覚にも、「…… シタ事、無い、です…… 」と自白してしまっていた。
「……。——っ!ほ、本当か⁉︎嘘じゃないよな?」
一瞬処理し切れなかったのか最初は無言だったが、男はすぐに言葉の意味を理解し、今度は子供みたいにはしゃぎだした。『本当だ』と頷きだけ返すと、「じゃ、じゃあ、ちゃんと解さないとだ」と興奮混じりの声で言いながら一旦体を離し、早々に蜜口の方へ指を当ててきた。
「俺の、俺のだ……俺だけ、の……ははっ!……あーくそ!自分のも大事にとっておくべきだったな…… んな相手にいつかは逢えるってわかってたら、テキトウな肉オナホ相手に性処理なんかしなかったのに」
やたらと早口だし、苛立ちを隠せてはいないが、手付きはやたらと優しい。けど……言葉が汚い。
「あぁ良かった、少し濡れてきたな。もしかして無理矢理とかが本当に好きだったのか?——あ、いや、違うか。この、非日常的な状況ってやつに君も少し興奮してんだな」
無自覚であっても図星だったのか、ストンとその言葉が腑に落ちてしまった。平凡や普通の生活ってやつに飽き飽きなんかちっともしていなかったつもりでいたけれど、常に足りていなかった『刺激』に自分は案外脆かったみたいだ。
「あはは、アソコがきゅーってした!もう早く挿れて欲しかったのか?あぁぁ、ヒクッって素直に返事してこっちのお口も可愛いなぁ。でも今は僕の指で我慢しようなぁ」と諭すみたいに言い、男の指が蜜口を軽く撫でで、その指に愛液を纏わせてからゆっくり入ってきた。自分のとは全然違う硬くて太い感触で体が跳ねる。
(う、う、嘘。コレで指一本、なの?)
「狭っ。自分でもあまりしていなかったのかな……。それとも小柄だからか?すぐには無理そうだな、コレじゃ」
男の指が肉壁を優しく撫でていく。悔しい事にゆっくりと動く動作が少し焦ったい。だからか、ちょっと自分の腰まで動いてしまう。幸いにしてその事には気が付かれてはいないっぽい。そうであって欲しい。
「もっと欲しいのかい?じゃあ、さっきよりもまた濡れてきてるから、もう一本増やそうなぁ」
イイコイイコでもしているみたいな雰囲気で更にもう一本の指が入ってきた。指までもがゴツイのか圧迫感で腹がナカから押される感じがする。彼の指がナカで少し動き、解す為にまた入ってきた時、とうとうクチュッと卑猥な音が微かに鳴った。男にもそれが聞こえたのか、「あははは!」と興奮を隠さずに笑い、少し指の動きが雑になる。
「あぁぁぁぁぁ!可愛い、可愛い可愛い可愛い!僕の指と君の愛液で段々ココがとろとろになっていってるよ。あーめっちゃくちゃ興奮する、んなの鼻血出るわ。もうめっちゃ勃ち過ぎてちんこ痛い」
随分と雑な指淫になっているのに、愛液でトロットロになっているソコは主の心境なんか無視して快楽を貪り出す。指で肉壁を擦られるたびにまるでもっと太いモノを挿れられた時みたいにビクビクッと体を跳ねさせた。
(指だけでコレって……やだ、こんなの……もう無理ぃぃっ)
今まではこういった行為なんて想像上のモノでしかなかった。好奇心とか色々な感情で触れる事はそりゃ自分だってあるけれど、未経験からくる怖さと羞恥心のせいかココまでの快楽は得られない。なんかちょっとだけ欲求不満を解消出来た気がするって程度のものだったのに、コレはまだ本番ですらないのに、今からこんなんではこの先が恐ろしい。
心に反してへこへこと腰が勝手に動いてこの先を求めてしまう。そのせいで動きが大胆になっていき、男の呼吸が雑になっていることに気が付いた。絶対私の行為をじっと観察しているに違いない。見られてしまっている事実が恥ずかしくて堪らないのに、この快楽の先を求めてしまって動きが止まらない。
(あ、も、くる、何か大きいの、くるくるぅっ)
顔を枕から少しあげ、「あぁ!あ、も、いっ——」と甘くも情けない声をあげた。聞かれたくない、聞きたくない。でも、軽いパニック状態なせいで声を我慢も出来ない。未知なる大きな波が近づいてきている気がする。なのに、絶頂が近いのだと本能的に悟った瞬間、急にナカから熱いモノが消え去ってしまった。
「あぁぁ……や、そ、んな、なん、でぇ?」
どうやら男に寸止めされてしまったみたいだ。もう目の前に迫っていたのに、強い快楽を急に取り上げられたせいか、少し頭の中が混乱している。切なくって余計に涙が止まらない。への字になっている口元に力がはいって震えてしまう。
「ダメだろう?一人だけで先にイッたら、さ。僕達は明日には夫婦になるんだ、結婚前夜の初エッチくらいは一緒にイこうな」
背後から慌てた手付きでベルトを外す音と気配を感じる。ズボンのファスナーを下ろす様な音もだ。
「だ、ダメ!無理、で、す!」
意味不明な発言をする変質者相手にこのまま本番、しかも処女喪失なんか冗談じゃない。
男の行動を止めようと、でも恐怖心のせいで振り返らぬまま後ろへ必死に手を伸ばす。するとその瞬間、ぬるんっとした熱いモノに触れてしまった。『肌だ』と自分を騙そうにも随分と硬く、妙に滑ってやけにデカイ。
「……ひばりは、意外に大胆だなぁ。その小さな手で初めて触れた僕の体の箇所がソコとか。本当に、もう挿れて欲しくて堪らなかったんだな」
私の顔の側に両手を置き、互いの体で挟んで、私の手をとんでもない状況のままにしやがった。手を抜き取ろうとでもすればコレを擦る感じになるし、だからってこのままでは握ったままみたいになってしまう。そのせいで私の手はペットボトルと大差ないかと思われるサイズのモノに手を添えた状態になってしまった。
「よーく覚えておくんだよ。長さとか、硬さとかを、さ。…… しっかし、そんなに離したくないなんてなぁ。もうコレは君のモノなんだ。好きに使ってもいいんだよ?」
(自分で挟んでおいて、どの口が言うの⁉︎)
こんなモノ初めて触った。人体の一部にしてはやけに熱くって、硬くって、大きくって困惑してしまう。どうしようと混乱しながら体を震わせていると、「…… でも、もうそろそろ挿れよっか。僕がもう限界だ」と言われた。
「駄目です!」
骨髄反射的にお断りをいれる。強く言い過ぎたが、男の怒りを買っていたらどうしようと今更ゾッとした。
「顔も知らない相手だから、か?」
いいや、そもそもそれ以前の問題だ。だけど絶対に話が通じる程まともな相手ではない。色々すっ飛ばしてこんな行動に出るくらいの男だから。
「ちょっと振り返るだけで確認出来るぞ?」と顔のすぐ側で言われたがその姿を見るはやっぱり何か怖い。どうせ、目が合ってもいっそう頭の中が真っ白になって、獣に睨まれた小動物みたいに震え終わるのがオチだ。轢かれる前の鹿みたいにフリーズしてバカな姿を晒すに決まっている。
「……強情」
呆れながらそう言い、男は己のイチモツから私の手を避けさせると、シーツの上にそっと置いた。そしてその手に自分の手を重ねる。まじまじとその手だけは見てみたけど予想通りの大きな手だ。骨や血管が浮き出ていて男性らしいその手に少しだけ、本当に少しだけドキッとしてしまう。
「んじゃ、そろそろ挿入るな」
まともな抵抗一つしないまま遂にココまで来てしまったからか、私の中には後悔の念しか無い。このままじゃ本当に挿れられてしまう。しかも生で。確か危険日が近い気がするから絶対に駄目だ、そう思って遅ればせながらも「——いやぁぁ!」と声をあげてバタバタと脚を動かしたりしてはみたが、男が覆い被さっているせいで抵抗らしきものにすらならなかった。
ぐっと大きなモノの先端が私のナカに押し入ってくる。異物のせいで蜜口が広がる感覚が痛い。多少は解したとはいえ初めてのソコではこの男の持つ熱塊を押し込むには相当無理があるのだろう。
「無理ぃ、抜い、てぇぇ」と涙声で訴える。でも聞き入れてなんかもらえず、男は私の耳元で熱い吐息を何度も吐き出すばかりだ。
「やば……きも、ちぃ……何だコレ、処女で名器って、もう俺の為のもんじゃん」
訳がわからん。もう嫌だ、いっそ早く終わって出て行って欲しい。
「ふぐっ、うぅぅ……」
ボロボロと大粒の涙が次々にこぼれていく。悔しくって、苦しくってしょうがない。
ゆっくりゆっくり、己の形を私の体に仕込むみたいに男のモノが挿入ってくる。もう全て挿入ってしまったんだろうか?と思った時、こちらの考えでも読んだみたいに「おいおい、安心すんのはまだ早いぞ。まだ半分だけだかんな」と言われて空寒くなった。
半分しか挿入っていない。そう言っていたのに、男は何故だかゆっくり抜き始めた。止めてくれるの?と一瞬安堵しそうになったのに、次の瞬間には『もうこのくらいならヤレる』とでも思っているみたいに一気に熱塊が挿入ってきた。でもさっきよりも少し浅く、その熱塊の切先にナカの一番敏感な箇所をぐぐっと押される。肉芽を腹の内側から刺激されているような感じだ。そのせいで目の前にチカチカと火花が散った。頭が大きくふらつき、「んおっ!」と変な声が出てしまう。
「言っただろう?この体位で後悔すんなよって。寝バックだと、ココを可愛がるには最適なんだぞ?脚をぴっちりと閉じてるから膣も一層狭くなるし、正常位よりも気持ちよくなっちゃうだろ?中イキしやすい体位でもあるし、赤く腫れたクリも布に当たって擦れちゃうしで、散々だな」
笑いながらそう言い、男がまたゆっくり熱塊を奥へ奥へと挿れ始めた。濡れに濡れた互いのモノが抵抗を緩めてソレをきちんと受け止めてしまう。嫌だ、無理、やめてと頭の中では思っていても、口から出るのは不思議と甘さの混じる声ばかりだ。強姦なのに、顔すらも知らない相手なのに、それでもこんな反応をする自分が理解出来ない。
「気持ち?気持ちいいよなぁ、だって俺はひばりの事がだーい好きだから。こうやって一突きするたびに『好き』って気持ちを込めてんだからさ、感じちゃわないはずがないよな」
また謎理論を展開しながら更に奥へ男が挿入ってきた。大きな快楽を叩き込まれた直後だからか、腹の中が苦しいのに、ただ苦しいだけじゃない。
「……全部、挿入ったぁ……はははっ」
本当に幸せそうな声でそう呟き、男が私の体に体重を少しかける。そのせいでうっと呼吸が少し辛くなった。
「全部は流石に無理だろって事前に覚悟してたんだけどな、僕達はどうやらココの相性が抜群に良いみたいだ」
触れた時に知ってしまったアレのサイズを思い出して納得した。よくまぁアレだけのモノが腹の中に入り切ったものだと我ながら驚いてしまう。
「んでも、俺のが全部挿入るって事は、逆に、他の男のじゃ全然奥に届かなくって気持ちよくなれないって事だよな。良かったな、ひばりの初めてが僕で。最初っからずっと気持ちいいセックスを楽しめるって、きっと最高だろうよ」
感情がぶれているのか一人称がずっとめちゃくちゃだ。そんなに下手くそなら猫を被るのなんて止めて終えばいいのに。
トントンッと軽くノックでもするみたいに男が動きだす。その度に奥が刺激されて変な声が止まらない。まだきっと子宮が降りたりなんかしていないのに、コレでは先が思いやられる。
男も気持ちいいのか、甘い吐息をこぼしている。慣れているからなのか動きが丁寧に優しい。……所詮コレは強姦だっていうのにだ。
(こういうのに慣れていて、気持ちよく、されちゃって、る……)
そう考えた瞬間、何でかモヤッとした気持ちになった。今までにこうされたのは自分だけじゃない。合意の元なのかそうじゃないのかは聞かされていないから知らないが、少なくとも初めての相手をこうも容易く快楽に叩き落とせるってだけで百戦錬磨の猛者である事は間違いないのだろう。でもまさかそれに対して自分が悪感情を抱くとは思いもしなかった。
「あぁ、好きな相手と、スルって……んな最高、なんだな……」
背面全てと腹の奥に男の熱を感じるからか、『好き』の言葉がダイレクトに響いてしまう。わからせようとされ、わかろうと頭も心も誤作動を始めそうで必死に抵抗を試みるが、ごちゅっと子宮口を突かれただけでその考えは霧散してしまう。駄目だ、このままでは。でも気持ちいいだけしか考えられない。愛されているのだから私がこの男の子供を孕むのも当然なのかもとさえ思えてくる。そのせいか早く性液が欲しいと強請るみたいに腰が勝手に動き出す。
お互いの動きが快楽を助長し、男の動きが段々と激しくなっていく。深くを擦られ、抜けそうになり、ナカに戻る過程で容赦なく気持ちいい箇所を切先で抉っていく。何度も何度も激しい抽挿が繰り返され、もうどのくらいの時間が経過したのかもわからない。絶頂して終わってしまいたいのに、大きな波が来ると私の声でわかるのか動きを緩ませ、終わりが見えずに苦しさと切なさは増すばかりだ。
「ちょ、ちょっと、休ませ、せて、んんーっ!」
「自分も腰をずっと振ってるくせいに、『休みたい』?あぁ、何度も寸止めされてキツイんだ?ごめんなぁ、でも数時間後にはもう俺らは夫婦になるんだ、一回目だけは一緒じゃないとさ。それ以降はイキッぱなしにさせてやるから楽しみにしておいてな」
知らない男のモノでイキッぱなしとか、そんな地獄行き宣言を聞かされているのに腹の奥がキュンッと疼いた。もう私の体は男に調教されて完全にバカになったみたいだ。
「もっと『共同作業』頑張って、赤ちゃん孕もうなぁ」
私の手を握る男の手に力が入る。すっかり挿れられ慣れしてしまったナカは男を拒絶する事なく享楽を与え続けてるみたいだ。ただただ気持ちよくって、こんな私の体を貪っている男の様子がまた可愛く思えてきた。
この男は本気なんだ。
心から子供が欲しいんだ。しかも、私との子を。
そんな事実が本能に刺さり、男の熱塊をギュギュッと食い締めた。自分の体が勝手にやった事なのに、私の方が感じてしまい、理性と羞恥心が一気に消し飛んでしまう。
「あぁぁ!はっ、んんっー!きもっちぃぃぃっ♡」
はしたなく開いた口から唾液がこぼれ出る。涙と唾液とで顔はきっとぐちゃぐちゃで酷い有様だろう。この枕はもう捨てた方が良さそうだ。
「いい声だなぁ。ちょっと横向こうか。もっと気持ちよくなれるぞー」
素直に声に従い、顔を軽く横に向けると男に唇を奪われてしまった。ファーストキスだっていうのに舌が口内に入ってきて好き勝手に蹂躙する。涙の邪魔もあり、近過ぎてピントが合わず男の顔は相変わらずわからないままなのに、私の『初めて』がまた容赦なく消え去ってしまった。
「ふぐっ、んっ」
男の唾液は不思議ととても甘く、分厚くて熱い舌が美味しくって堪らない。
上も下も男に侵入されてまた大きな波が私を襲い始めた。コレを避けるのは無理そうだ。例え男が堰き止めようとしても私の全てを支配するに違いない。そう思える程の快楽で脳みそが喜悦に塗れていく。
「あーもう流石に俺もイキそ。ひばりも、だよなぁその顔は」
重なっていた唇が離れた事が少し寂しい。濁音混じりの変な声ばかりが出てしまうからいっそずっと塞いでくれたらいいのに。
「なぁ、欲しい?奥にたっぷり注いでやろうか?」
「ほ、ほしっ、奥、奥ちゅい、てぇぇ」
「いいよ、奥にたっぷり注いでやろうなぁ。孕んで、俺のモンになって、一生こうしていような。……んでも、処女だったのにこんなに溶けるなんてなぁ。——ホント最っ高だよ、ひばりは」
「あ、あぁ、あぁぁぁ!いいっ♡」
「……聞こえてないかぁ。まぁ、んな簡単に快楽堕ちしてくれて良かったよ。監禁して、俺が家事やら育児に勤しんでいる最中にはずっと、可愛いココに俺のを模ったオーダーメイドのバイブを突っ込んだ状態のまま放置プレイして調教してやんないとなぁとかまで考えてたからな」
緩急をつけながら男が終わりを誘う。チカチカと目の前に火花が散って、心や体どころか魂までもがこの男が与えてくれる愉悦に溺れていく。
(も、イク——)
ギュギュッまた容赦なく膣壁が男の熱塊に喰らい付いたと同時に最奥をズンッ!と強く男が穿った。小刻みに動き、そしてナカで男の熱塊が更に大きくなったせいでもっと大きな快楽が私を包む。それに続きドクドクッと熱塊よりも更に熱いモノが体内に注がれたのを感じた。
「——んんっ!」
こすこすと少しだけ男が動いて残りも吐き出すと、少し経ってから名残惜しそうにゆっくりと男が熱塊をぬるりと引き抜く。するとナカからごぽっと白濁液と愛液と、そして少しの血が混じり合った液体が溢れ出てきた。ソレはベッドのシーツに広がっていって水溜りになっていく。どうもこの男は相当な量を吐精したみたいだ。
(こんなん、絶対に、子供できちゃった、でしょ……)
甘い痺れが全身に走っていて全然動けない。雑に呼吸を繰り返し、ビクビクと震えるばかりでほぼ全裸の体を隠したいという羞恥心さえ抱けない出いると、男は私を横向きにさせてまた背後を陣取り、イッたばかりでまだドロドロのふわふわな状態にある蜜口に切先に突きつけてきた。
「ごめんなぁ、こんなに早くイッて。ひばりのナカが最高過ぎて持ちが悪かったわ。だけど俺は復帰が早いタイプだから、次はもっと沢山沢山気持ちよくしてあげるから許してくれよな」
充分過ぎる程に長かった。あの快楽がもう延々続くのかと思う程だったのに、アレでもこの男的には早漏扱いとか、よく知らん私だってソレは絶対に誤認だとわかる。
「仕事を辞めろとは言わないけど、帰宅したらずっとこうしていような。待ってるから絶対に直帰するんだぞ?家事とかは俺が昼間にやっておくから、ひばりはこんなふうにずーっと気持ちよくなってるだけでいいんだから、幸せだよな?」
ぐぐっと蜜口からまた男に侵入されてしまう。腕を虚空に延して強過ぎる快楽から少しでも逃げようと試みたが、後ろから体を掴んで阻まれた。
「僕から逃げようなんて、絶対に思えないくらいにもっともっと——」と言い、耳元に男の唇が近づいて軽く触れる。
「一晩かけて、もっと君の心をへし折ってやるから覚悟していて」
この時点でもう反抗したい気持ちなんかとっくに折られている。だけどその事を伝える隙も無く硬い熱塊に再び肉壁を抉られ、擦り上げられ、平穏だった私の人生は顔も知らぬ男に全て奪われてしまったのだった。
【本編・完結】