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私のクラスには陰キャが居る。
メガネと黒マスクをつけた男子。
そんな私も人のことを言えない。
だってほぼ同じ格好だし。
みんな私にもその男子にも興味は無い。
当たり前だ。
みんな恋だとか彼氏彼女とか。
ずーっとそんな話ばっかしてるし。
そんな恋愛とかしてる暇あるならゲームした方が絶対楽しい。
『あるところに詩人が──』
そんなことを言いながら小さく可愛げのある声で教科書を読む男子。
私と同じ陰キャのあの男子。
カタコトの日本語で読んでいることから、
だいぶ緊張していることが分かる。
その時、キランと何かが反射で光る。
その正体は彼のリュックについている
キーホルダーだった。
しかもそれは、
私が好きなゲームの限定版キーホルダーだった。
『っ…、すいません、具合悪いので保険室行ってきます..』
そう言って彼は駆け足で保健室に向かって行ってしまった。
もしかしたらチャンスかもしれない。
もしかしたら話が合うかもしれない。
そう思い、私は少し時間が経ってから
「先生、お腹痛いので保健室行ってきます」
と言い、教室を後にした。
保健室に行くとすぐに彼の姿が見えた。
「ねぇ、佐原くんだっけ?」
『ぇ..あ、うん..』
『なんの用..?』
オドオドしてて少し腹が立つ。
もっと自己主張すればいいのに。
そんなことを思いながらも自分に嫌気がさす。
「リュックにつけてたキーホルダーってスザノウルフだよね?」
『知ってるの?!ルリアイ!!』
急に大声を出され、思わず驚いてしまう。
「知ってるよ」
「それなんだけどさ..」
『なに?』
「今週の土曜日、バッジ販売されるじゃん?」
「一緒に買いに行かない?」
『いいよ!!行こ!!』
そう私が誘うと、
さっき教科書を読んでた雰囲気と一変して、
ニッコニコの笑顔に変わる。
「じゃあ私、教室戻るね」
「サボりみたいになってるし..多分..」
『あ、そうだよね..』
『じゃあ土曜日に○○駅に13:00待ち合わせで!!』
「分かった」
そう言って私は保健室から教室へ戻った。
気がつけばもう約束の日だった。
待ち合わせ場所には一応時間より5分前に着いたところだった。
だけど、明らかに人が多すぎて
佐原くんを見つけれない。
キョロキョロと私が探していると
「鈴谷さんだよね?」
と知らないイケメンが話しかけてきた。
「…誰ですか?」
そう私が言うと、
「やっぱり気づかないよね」
「俺、佐原なんだけど」
と笑う。
待って、佐原って言った?
あのオドオドしてて声が可愛い佐原くん?
「てか鈴谷さんの雰囲気学校と全然違うね」
「学校の鈴谷さんって陰キャみたいじゃん」
「人のこと言えないじゃん」
「確かに」
私がそう言うと笑いながら納得する。