テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
#伝奇
#モキュメンタリーホラー
「いや、お前。そこはユカリちゃん達との付き合いを優先させろよ? 言っておくけどな、お前ぐらいの年頃にとっては勉強と同じぐらい、いや、それ以上に友達付き合いが」
「うっさいなぁ。そんなん、言われんでもわかってるわ」
クドクドと続く相手の説教をさえぎり、うちは言った。
知らずと口調がきつくなってしまう。
日曜日の午前。
うちは山中へと続く国道を走る軽トラック――、荷台にスーパーつかもりのロゴが入った配送用社の助手席に座っていた。
「そら、うちかてユカリ達と遊びに行きたかったよ」
ため息交じりにうちは続ける。
「でも、しゃあないやん。童ノ宮の神様がわざわざ夢の中までうちに会いに来たんやから。……それってつまり、うちが何とかしろってことやろ?」
「それは……」
「あんな、養女とは言えうちかて塚森家の一員やろ? それなりに気を遣ってんねん。ちょっとでも氏子の人達に信用してもらお思って。その辺、理解しといてもらわんと……」
「ああ。わかったわかった」
面倒臭そうにため息をつく運転手。
「それで? あいつ――半分、焼けたヌイグルミをお前の夢の中に連れて来たんだって?」
あいつ、というのはうちの養家――、塚森家が先祖代々守って来た神社、童ノ宮の神様のことだ。
神様の名前はカガヒコノミコト。
稚児姿の神様で天狗神・秋葉三尺坊大権現の化身、もしくは生まれ変わりとされている。
最近だとネットの影響で、稚児天狗って言う通り名のほうが有名だ。
「うん。何か頼み事したかったみたいなんやけど途中で話せんようになってもうて――」
「後は察しろってことか。……全く神様ってのは回りくどいよな」
肩をすくめ、苦笑いを浮かべている運転手の名前は鳥羽リョウ。
髪は短く切りそろえ、肌は日によく焼けて浅黒く精悍な顔立ちをしている。
白い無地の半袖のシャツの下にはまるでプロの格闘家のように筋骨隆々とした厳つい体躯をしており、立ち上がれば身長が2メートル近くもある。
仕事着であるエプロンにはスーパーつかもりのロゴとマスコットキャラクターの可愛い天狗がプリントされている。巨体とアンバランスなのが、逆に愛嬌になっていると思う。
見た目は若く大学生ぐらいにしか見えないけれど、童ノ宮の氏子のなかでは最も古参の一人だ。
塚森家の親族とは広く親交があり、お父さんも子どもの頃はよく遊んでもらったそうだ。
うちにとっても何かと世話を焼いてくれる親戚のお兄さんのような存在だけど、本人曰く生まれは平安時代だそうだ。
もし嘘つきや頭おかしい人でないとしたら、リョウはとんでもないお年寄りと言うことになる。
「……大体だな。どうして、いつもあいつはキミカの枕元に立つんだ?」
窓の向こうに流れてゆく景色――鬱蒼と茂った雑木林を眺めているとリョウが問い掛けてくる。その声には明らかに不満の色があった。
「頼るなら生前付き合いの深かった俺じゃないのか? どうなんだ、その辺?」
「さ、さあ……? うちに聞かれても……」